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しららふぃふす

しららふぃふす

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薬箱の少女は、勇者の影を歩かない

薬箱の少女は、勇者の影を歩かない

ヴェルディア王国の辺境村エルムで、薬剤師見習いとして暮らす少女ミーナ・リースフェルトは、戦場に運ばれてくる負傷者を前に、救えない命の多さに胸を痛めていた。幼馴染のアキト・アーヴェルは、実は主神エルディオスに選ばれた転生勇者で、常人離れした剣技と魔力を持つ少年だった。けれど彼自身は英雄など望まず、家族とミーナのそばで静かに生きることを願っていた。 ある夜、薬草を探して森へ入ったミーナは、生命と希望を司る女神アウレリアの神託を受ける。戦乱の悲しみに耐えきれず姿を隠した、慈悲と弔いの女神ノクティアを探せ――その声を聞いた瞬間、ミーナは自分が現代日本で病死した女子高生だったことを思い出す。前世の彼女は病室で和洋中のお茶を集め、その香りに世界への憧れを託していた。死の間際に願った「誰かの命を救える人になりたい」という祈りが、彼女をこの世界へ導いていたのだ。 ミーナにはアキトのようなチート能力はない。敵を倒す力も、奇跡の治癒も持たない。ただ、アウレリアから授かった《香癒の加護》により、彼女の作るポーションや薬湯にはお茶のような味と香りが宿る。緑茶の治癒水、焙じ茶の温癒薬、花茶の鎮静薬。その香りは薬を拒む者の心をほぐし、もう一度生きようとする力を灯す。 やがて村はグランツ帝国との戦火に巻き込まれ、アキトは勇者として覚醒する。彼は王女レティシアに見出され、滅びかけた王国を救う希望として戦場へ向かう。ミーナもまた、彼のそばにいたいという想いと、ノクティアを探す使命を胸に薬箱を抱えて旅立つ。 旅の先でミーナは、避難民の少年、敵国の少年兵、傷ついた騎士、死者を悼む者たちと出会う。敵味方を問わず薬を差し出す彼女は反発を受けるが、目の前の命から目を逸らさない。アキトが勇者として称えられるほど、彼の孤独も深まっていく。ミーナだけは彼を英雄ではなく、帰ってきてほしい幼馴染として見つめ続ける。 やがてミーナは、ノクティアが遠い神殿ではなく、弔われなかった死者たちの悲しみの中に沈んでいることを知る。最後の戦場でアキトが剣を掲げる時、ミーナは薬と祈りで生者と死者をつなぐ。これは勇者の影に隠れず、薬箱を抱えた少女が自分の道を歩き出す物語である。茶の香りは、失われた故郷と、まだ終わらない明日を思い出させ、彼女を本当の主人公へ導いていく。彼女だけの静かな戦いへ変わる。

171.2k 40章
歴史
そのキューブは、世界を解いている

そのキューブは、世界を解いている

山奥の寒村・御影村で発見されたのは、掌に収まる二つの立方体だった。 琥珀や紅にきらめく《彩華》と、藍や紫を湛える《幽華》。見た目は美しい立体パズル。最初の問題は、誰にでも解ける六面の色合わせにすぎない。 けれど、次の問題、そのまた次の問題を解くたびに、キューブは人類が知らなかった数学や物理学、生物学の知識を示し始める。しかも、その成果は現実の実験で確かめられる本物だった。 「これがあれば、世界を変えられる」 そう信じて研究を続けた数学者・九条宗一郎教授は、ある日、施錠された研究室から忽然と姿を消す。 父の失踪を追う息子の悠真は、幼馴染の美月や仲間たちとともに、二つのキューブが見つかった御影村へ向かう。 山に残された奇妙な足跡、説明のつかない映像、互いに食い違う調査記録。科学的に確かめようとするほど、当たり前だった時間と空間の輪郭が少しずつ揺らいでいく。 古い伝承が警告する「呼ぶ声」とは何なのか。彼らが追う未知の存在は、生物なのか、それとも人間の理解が及ばない何かなのか。 恐怖を感じても、答えを知りたいという願いは消えない。キューブが授ける真理は、確かに人を救う可能性を秘めている。その輝きに惹かれた者を、誰が愚かだと言えるだろう。 知識は希望であり、時に誘惑でもある。 美しい問いの先で、彼らは何を見つけるのか。 解いているのは人間か。それとも――世界のほうなのか。 科学と神話の狭間へ踏み込む、探索型コズミックホラー。

4.4k 10章
冒険
灰色の揺りかごで、撃墜王は少女を拾う

灰色の揺りかごで、撃墜王は少女を拾う

2026.10.14 第89~94章追加。 撃墜王と美少女アンドロイドと仲間たちが広げるSF劇。灰色の揺りかごでシリーズ第5弾。 第七企業連合が誇る撃墜王、レオン・ヴァレンタイン。戦場を単機で切り裂くことだけを求めていた彼は、酸性雨の降るスラムで一人の白い少女・ミアを保護する。だが彼女は、企業が歴史から消去した禁忌「第七惑星」の最高機密をその深層に宿していた。 少女を「欠陥資産」として回収し隠滅を図る巨大企業と、すべてを計算と確率で処理する冷徹な統括AI『Aegis-Prime』。 圧倒的なシステムを前に、レオンはミアを監視するための檻として、弾薬も装甲も足りない未完成の「第41星域調整艦隊」の司令官に任命されてしまう。 押し付けられたのは、旧式艦とワケアリの乗員たち。 しかしレオンは、決して仲間を見捨てない「最も遅い艦に合わせた」戦術で、迫り来る何十隻もの企業連合艦隊を泥臭く出し抜いていく。 少女の記憶に眠る「第七惑星」の残酷な真実とは。 暗躍する新たな敵の影と、死んだはずの兵器の謎。 そして、自分が「人間」であることを証明しようとする少女の願い――。 無機質なシステムログと、血の通った人間たちの熱い生存競争が交錯する。 すべてを「数字」で処理しようとする世界に対し、「名前」を懸けて抗う者たちの本格ハードSF群像劇、開幕! 更新履歴 2026.07.10 設定修正により全章新規に入替。 2026.07.17 第15~20章追加。 2026.07.24 第21~24章追加。 2026.07.30 第25~30章追加。挿絵を追加。 2026.08.07 第31~34章追加。 2026.08.12 第35~39章追加。 2026.08.20 第40~45章追加。 2026.08.26 第46~50章追加。あらすじ修正。 2026.09.02 第51~54章追加。 2026.09.10 第55~59章追加。 2026.09.15 第60~65章追加 2026.09.22 第65章修正、66~70章追加。 2026.09.30 第71~76章追加。 2026.10.06 第77~82章追加。 2026.10.14 第83~88章追加。

628.8k 94章
SF
星の海には、まだ風がある ――白猫と曽祖父のエーテル帆船――

星の海には、まだ風がある ――白猫と曽祖父のエーテル帆船――

「宇宙の果てには何があるの?」 幼いエリアスに、曽祖父アロンはいつも笑って答えた。「行ってみなければ分からんさ」 あの日の言葉が、胸によみがえる。 帝都大学で星間史を学ぶ二十一歳のエリアス・アークライト。争いごとが苦手な彼女のもとに、亡き曽祖父の遺産として届けられたのは、五十年前の古びた光子帆船《アストラエア》だった。 かつて皇帝に認められ、帝国艦隊と渡り合った――そんなアロンの自慢話を、家族はずっと愉快なほら話だと思っていた。まして、宇宙には目に見えない風「エーテル」が流れ、その力で船が走るなど、大学の教科書にも載っていない。 ところが、《アストラエア》は今なお宇宙最速の船だという。なぜ走るのか、船主になったエリアス自身にも分からない。おまけに、気力で威力が変わるという謎の「精霊砲」まで積まれているらしい。 信じられない遺産と、曽祖父が遺した膨大な航海日誌。手掛かりを確かめるため、エリアスは仲間と星の海へ帆を上げる。ところが、置いてきたはずの白猫シロまで旅行鞄から顔を出して……。 星鯨の歌、地図にない灯台、記録から消された航路。旅するほどに、帝国の公式史と大好きだった曽祖父の思い出が食い違い始める。 「発見」とは、誰にとっての発見なのか。歴史に記されなかったのは、いったい誰の声なのか。 これは、最速の船を受け継いだ争い嫌いの女子大生が、白猫と仲間たちとともに、まだ名もない宇宙の海原へ漕ぎ出す物語。

5.7k 5章
歴史
幼馴染は、恋の作戦会議をやめられない

幼馴染は、恋の作戦会議をやめられない

「理想の恋人は、好きな飲み物まで同じ人!」 九歳の澪と桐子は、そんな無茶な条件を真剣に書き込んだ。放課後の教室で結成した、二人だけの『恋愛研究部』。好きな人と運命的に出会う方法から告白の必勝法まで、青いノートには幼い夢と恥ずかしい作戦がぎっしり詰まっていた。 それから十七年。大人になった澪の隣にいるのは、穏やかだけれど譲れないところは譲らない恋人・悠斗。しかも澪はブラックコーヒー派、悠斗は筋金入りの紅茶派。毎朝の飲み物ひとつで、今日も小さな論争が始まる。 そんなある日、改修中の母校から例の青いノートが見つかったとの知らせが届く。連絡してきたのは、相変わらず勢いだけは誰にも負けない幼馴染の桐子。彼女のそばには、何事も理屈で考える完璧主義の装丁家・黒崎がいた。彼の持ち歩く銀色のケースには、なぜか角砂糖が整然と並んでいて……。 懐かしい校舎で開かれる『放課後文化祭』を舞台に、四人は昔の恋愛ルールを検証する羽目に。似顔絵、二人三脚、喫茶店。笑って、呆れて、ときどき思いがけず胸が高鳴る。ただし、自分の恋には全員、驚くほど鈍感だ。 幼馴染だからこそ知っている昔の顔と、大人になって初めて見せる今の顔。十七年前に夢見た『理想の恋』は、本当に正しかったのだろうか? 正反対の好みも、不器用な言葉も、全部ひっくるめて愛おしい。コーヒーの苦味と紅茶の香りに包まれた、ちょっと騒がしくて温かな青春やり直しラブコメディ!

1.9k 5章
恋愛
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世界を幾度も救った最強の大勇者レオンハルト。かつて最大の宿敵だった大魔王セレフィナと恋に落ち、人と魔族の長い戦争を終わらせた彼は、今では八歳の娘ルナを何よりも大切にする父親として暮らしていた。 そんなある日、レオンハルトは冷蔵魔導庫にあった一個のプリンを、うっかり食べてしまう。 そこには、はっきりと書いてあった。 《ルナのプリン。ぜったい食べないで! パパもダメ!》 帰宅したルナは大激怒。大勇者と大魔王の血を受け継ぐ金髪紫眼の娘の怒りは凄まじく、世界最強の英雄はあっさり家から追放されてしまう。 同じものを買って帰れば済む。最初はそう考えていたレオンハルトだったが、そのプリンには、亡き母セレフィナとの大切な思い出が込められていた。 ならば、自分の手で娘を笑顔にするプリンを作るしかない。 こうして大勇者は、口の悪い相棒の聖剣アルディオンとともに、伝説の材料を求めて世界各地を巡ることになる。天界、冥界、魔界、秘境――旅の先で出会う人々や、亡き妻が残した知られざる足跡に触れながら、レオンハルトは少しずつ気づいていく。 これは世界を救うための冒険ではない。 たった一人の娘に、ちゃんと「ごめん」を届けるための――世界でいちばん壮大なプリン作りの物語。

5.9k 8章
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幸せは命令されないーードリーム・シティ・ネオ・トキオーー

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西暦2090年。人工の光と無数のデータに満たされた巨大未来都市《ドリーム・シティ・ネオ・トキオ》。 犯罪予測、行動解析、感情支援AI――あらゆる技術によって、人々の暮らしはかつてないほど安全で便利になっていた。 HEX-6科学捜査班の篠宮アリサもまた、数字と論理こそが真実へ至る最も確かな道だと信じている。 そんな彼女が高層歩道で保護した一人の青年は、死の危険を前にしながら、なぜか幸せそうに笑っていた。 その血液から検出されたのは、若者たちの間で《HAPPY》と呼ばれる正体不明の薬物。 恐怖や不安を薄れさせ、世界のすべてを肯定したくなるほどの幸福感を与える――一見すれば、ただの新型ドラッグ。 しかし捜査を進めるうち、アリサたちはその「幸福」の裏側に、これまでの犯罪とはまったく異なる異常な仕組みが潜んでいることに気づいていく。 膨大なデータを解析するアリサ。 人間の些細な仕草から違和感を拾う相棒・日向巡。 そして事件の影に姿を見せる、裏社会の美しき犯罪者レオン・ヴァイスハルト。 科学は、人間の心をどこまで予測できるのか。 苦しみや迷いのない人生は、本当に幸福なのか。 完璧な街で始まった一粒の薬を巡る事件は、やがて「人間が自分で選ぶこと」の意味そのものを揺さぶっていく。 幸せは、誰かに決めてもらうものなのか。 それとも――自分で選ぶものなのか。

72k 15章
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聖王国聖騎士団第一団長にして第一王女のジークリンデは、領主殺しの容疑で元同僚・シーラを捕らえるため、サキュバスたちだけが住む巨大歓楽街「華のサキュバス歓楽街」へ乗り込んだ。しかしそこで待ち受けていたのは、サキュバス街の門番兼ジゴロとして生きるシーラと、シーラの精液によって祖先の血が目覚めサキュバスに堕ちたかつての元第二聖騎士団副長・エイニスだった。堅物で清廉潔白な褐色肌の姫騎士は、二人の弁明を一切聞き入れず追い詰めるが、激しい攻防の末に三人とも街の最下層・地下古代遺跡へと落下してしまう。そこは古の災厄時代に人類をサキュバス化して戦ったという禁断のレリックが眠る場所だった。 エイニスが古代文字を解読した結果、導き出されたのはただ一つの選択――「姫騎士サキュバス化計画」シーラの性豪スキルと怪しい媚薬、激しいセックスによる徹底的な快楽調教。 厳格で頑ななジークリンデの肉体と精神を、精液と絶頂で溶かし尽くし、 欲情に狂うドスケベサキュバスへと堕とす――。

278.3k 20章
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15.5k 4章
学園
琥珀色の寄り道

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秋は、気づいたときにはもう終わりかけている――。 都内のワンルームで働くフリーランスのイラストレーター・澪は、締め切りに追われる日々の中で、いつの間にか季節を「見る」ことさえ忘れかけていた。そんな彼女に、恋人の悠斗が紅葉を見に行こうと誘う。 三年付き合っている二人は気が合うようで、ひとつだけ絶対に譲れないことがある。澪は深煎りのブラックコーヒー派。悠斗は筋金入りの紅茶派。朝の一杯から旅先の飲み物まで、どちらが秋にふさわしいかという小さな論争は今日も続いている。 二枚の切符を手に、二人は都心を離れ、紅葉に染まる山あいの渓谷へ。落ち葉を踏む音、冷たい風、川のせせらぎ、古い喫茶店の薪ストーブ。そして、デジタルの色彩では表せない秋の光――。 違うものを好きな二人が、同じ景色を見つめながら過ごす、ほんの半日の寄り道。 コーヒーと紅茶、そのどちらにも似た琥珀色の季節をめぐる、静かで温かな秋の恋物語。

10.1k 2章
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