説明
地下鉄の延長工事で掘り当てたものとは?
エピソード1
考古学者・アーサー・レイトン博士のデスクに、無骨な円柱状の土塊が置かれていた。それはボーリング調査で引き抜かれたコアチューブの中身であり、通常の地層サンプルであればただの地質学的なデータに過ぎない。しかし、その断面には極めて滑らかで人工的な研磨の痕跡が残されていた。
「レイトン博士、私たちの懸念がお分かりいただけたでしょうか?」と、沈黙を破ったのは東部鉄道会社の開発部長であるエリック・ヴァン・ダールだった。彼は強張った表情でその土塊を見つめている。
「これは明らかに人為的な加工が施されている。それも、高度な技術で作られた道具によるものだ」アーサーはルーペを置き、慎重に言葉を選んで答えた。
エリックの隣に立つ、政府の情報機関に所属すると名乗った男、リン・チェンが静かに口を開いた。「そのサンプルは、現在進行中の東部地下鉄・延伸工事の現場から持ち込まれたものです。地下八十メートルを掘り進んでいた最新型のシールドマシンが、昨日未明に完全に停止しました」
「シールドマシンが停止した? それほどの深度であれば、せいぜい強固な岩盤に衝突したか、想定外の地下水脈にでも当たったと考えるのが妥当だろう」アーサーは腕を組み、疑念を隠すことなくリンの言葉に反論した。
エリックは首を横に振り、事態の核心を告げた。「そうではないのです、博士。シールドマシンが止まった理由は、突如として前方の抵抗が完全に消失し、巨大な空洞に貫通してしまったからです。しかも、その空洞の壁面が、このサンプルのように不自然なまでに平滑でした」
その言葉に、アーサーの心臓が重く脈を打った。地下八十メートルという深さは、近代のインフラや過去の防空壕などが存在する領域を遥かに超えており、そこにこれほど明確な人工物が存在するなど、彼の長い研究人生においても全くの規格外の出来事であった。
「巨大な空洞……文字通りの空洞だと言うのか? 陥没帯や自然の洞穴ではなく?」アーサーの問いかけに対し、リンはただ無言で一度だけ深く頷き、革製の鞄から一枚の許可証を取り出してデスクの上に置いた。
「事態の性質上、我々はこの件を極秘裏に処理する必要があります。政府としても、ただの地質異常として処理するにはリスクが大きすぎると判断しました」リンの目は鋭くアーサーを射抜き、その背後にある巨大な権力の意思を暗示していた。「だからこそ、正統派の権威でありながら、外部のしがらみが少ないあなたに専門家としての立ち会いを依頼したいのです。我々と共に、あの地下へ降りてください」
アーサーは、この誘いが学者の探求心を刺激する一方で、後戻りのできない深淵への入り口であることを理解した。しかし、目の前に提示された不可解な物質の正体を知らずに余生を過ごすことなど、彼には到底できなかった。
「分かった。私の知識が役に立つ保証はできないが、その空洞をこの目で確認しなければならない」アーサーがそう答えると、エリックはあからさまに安堵の息を吐き出し、リンは微かに口角を上げてすぐに立ち上がった。
最新エピソード
それから半年後のことだった。
アーサー・レイトン博士、リン・チェン、そしてエリック・ヴァン・ダールの三人は、巨大な露天掘りの採掘現場の縁に並んで
空間の歪みが収束し、視界が晴れると、彼らは再び土の広場へと帰還していた。
周囲の空気は先ほどの静寂とは全く異なり、地下都市の岩盤全体を不気味に揺るがすような断
強烈なめまいと光の奔流が収まり、彼らの視覚はゆっくりと回復し始めた。そこは先ほどまでとは全く異なる空間だった。滑らかな壁面の内部には青白い光の脈動が静かに流れ、まるで巨大な静脈のように通路の先
「止まっている!助かったのですか!」エリックが荒い息を吐きながら、信じられないという顔で深い溝の向こうを指差した。
「あの溝からからこっちには来られないみたい







