説明
ブラックヴァルキリー・カーラがブラックヴァルキリー・ハーモニー・エクスチェンジを使い、他人の体を移り変わって遊ぶ話。
イキリ勇者パーティーにも乗り移る。乗り移って、イキリを解除させる。
エピソード1
ベッドのスプリングが、重苦しい金属音を立てて軋む。
銀白の髪を乱雑に散らし、漆黒の翼を半分ほど布団からはみ出させたまま、ブラックヴァルキリー・カーラは寝返りを打った。天井の木目を凝視する。視線の先には、退屈という名の澱んだ空気が張り付いていた。
「暇だな。何して遊ぼうかな」
独り言は、湿ったシーツに吸い込まれて消える。
この公爵邸での暮らしは快適そのものだ。腹が減れば山海の珍味が並び、眠くなればふかふかのベッドがある。ヴァルハラでの堅苦しい労働に比べれば天国のような場所。だが、あまりにも平和が過ぎると、戦乙女の魂は妙な悪戯を思いつく。
「ミハエルと体交換は前したしな」
喉の奥で小刻みに唸る。思い出すのは、あの男の無駄に整った顔と、信じられないほどの厚かましさだ。
「あいつめ、胸好きなだけ揉みやがって。まあ仕掛けたのはわたしからだから、あまり文句は言えんが。それに男の体ってあれだしな。股間が……邪魔だ」
思い出すだけで、股間のあたりの妙な浮遊感と異物感が蘇る。衣服の擦れる感触すら違っていた。男の肉体というのは、どうにも重心が落ち着かない。
「冬華と体交換するかな。あの半竜の体なら、少しは面白いかもしれん」
「殺されるわよ?」
前触れもなく、低く艶のある声が鼓膜を震わせた。
入り口に立っていたのはフィオラだった。鍵はかかっていない。この屋敷の住人たちは、お互いの部屋の境界線がどこか曖昧だ。特にカーラは、施錠という行為自体を面倒がって放置している。
黒竜が人型を模したその肉体は、いつ見ても毒々しいほどに美しい。深紅のスリットドレスから覗く白い脚。背後で緩やかに揺れる漆黒の尾。赤い瞳が、面白がるように細められた。
「相手はそういうイタコ術も専門家とも言える巫女なんだし。術を跳ね返されるわよ。下手したら、あなたの魂、神社の境内の木にでも縫い付けられるんじゃないかしらね?」
「ふん。脅かすな」
ブラックヴァルキリー・カーラは起き上がり、ベッドの端に腰掛けた。黒い翼がパサリと音を立てる。
「冬華の霊波動は確かに厄介だが、わたしの『ブラックヴァルキリー・ハーモニー・エクスチェンジ』はヴァルハラ秘伝の術だぞ。そう簡単に破れるものか」
「あら、じゃあ試してみる? その前に、わたしのこの体で試してみるっていうのはどうかしら」
フィオラがくつくつと喉を鳴らす。誘惑するような、あるいは獲物を品定めするような眼差し。
カーラの単純な脳髄に、その言葉がすとんと落ちた。
黒竜の肉体。世界を滅ぼしかねない強靭な質量と、膨大な魔力の奔流。それを内側から体験できるというのは、美食に勝るとも劣らない誘惑だった。
「……お前がそこまで言うなら、受けて立とう」
カーラは不敵に笑うと、両手をフィオラに向けた。
掌から、仄暗い霊気の糸が伸びる。空間が微かに歪み、細い光の糸が二人の胸元を繋いだ。
「――ブラックヴァルキリー・ハーモニー……エクスチェンジ」
呪文が響くと同時に、視界が激しく明滅する。
魂が強引に引き剥がされるような感覚。冷たい水の中に沈み込み、次の瞬間には別の熱い塊へと押し込められる。浮遊感。そして、強烈な圧迫感。
「お、おっと……!」
カーラは、自分の口から出た声の低さに驚いた。ハチミツが滴るような、湿り気を帯びた大人の女性の声。
だが、驚きは声だけにとどまらない。
重い。
とにかく、全身が異常に重い。立っているだけで、足の裏から床が抜けてしまいそうなほどの質量を感じる。
(な、なんだこれは……重すぎる! これが竜の肉体か!?)
手元を見る。細くしなやかな指先。だが、その爪は鋭く、内側には皮膚を引き裂くだけの破壊力が秘められている。背中からは純白の羽根が生え、腰のあたりからは太く頑丈な尾が伸びていた。
「あらあら。新鮮な視界ねぇ」
対面から聞こえてきたのは、カーラ自身の声だった。
かつて自分のものだった銀白の髪の乙女が、ベッドの上で翼を羽ばたかせている。フィオラ(中身)は、黒い翼の感触を確かめるようにパタパタと動かし、楽しそうに笑った。
「軽いわね、ヴァルキリーの体って。やっぱ鳥みたいな感じ? まるでお砂糖の菓子にでもなった気分よ。これならどこまでも飛んでいけそうだわ」
「フィオラ、おまえ……よくこんな重い体を引きずって歩けるな。足が地面に吸い付くようだぞ」
カーラ(中身)は一歩を踏み出そうとした。
その瞬間、バランスを崩してよろめく。背後の黒い尾が、予想外の方向に動いて壁のタンスに激突した。ゴツン、と鈍い音が響き、タンスの上の小物が跳ねる。
「あ痛っ! 尻尾が、尻尾の制御がわからん!」
「ふふ、竜の尾は感情と直結しているのよ。焦れば焦るほど暴れるわ。気をつけないと、この部屋の家具が全滅するわよ」
フィオラ(中身)はベッドから軽やかに飛び降りた。足取りは羽毛のように軽い。
「さて、せっかくの交換だわ。わたしはこの体で、厨房のクッキーでも盗み食いしてこようかしら」
「おい、待て! わたしの体で勝手なことをするな!」
カーラ(中身)は慌てて追いかけようとしたが、やはり尾の重みと慣性に振り回される。ドレスの裾が太ももにまとわりつき、一歩進むごとに質量が床を叩く。
這うような速度で、二人は廊下へ出た。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
一階の広間では、東雲波澄がローテーブルに魔導書を広げ、何やら熱心にメモを取っていた。ポニーテールが、彼女の動きに合わせて小さく揺れる。
その隣のソファでは、サリサがだらしなく横たわっていた。銀色の髪の隙間から突き出た白い虎耳が、退屈そうに前後に動く。
「はぁ……。ミハエル、今日は黒騎士団の仕事で遅くなるって言ってたしなぁ。暇だよ、波澄」
「サリサ、静かにして。今、術式の構築を整理しているんですから。邪魔をすると、式神でいたずらしますよ」
「えー、冷たいなー。ちょっと遊んでくれたっていいじゃん」
サリサはしっぽをパタパタとソファの背もたれに叩きつける。
そこへ、階段からドタバタと奇妙な足音が響いてきた。
いや、足音というよりは、地響きに近い。ドスン、ドスンと、尋常ではない重量の何かが降りてくる音。
「……あら?」
波澄が眉をひそめ、ペンを止めた。
現れたのは、フィオラの姿をした何かだった。
普段のフィオラなら、音もなく滑るように歩くはずだ。しかし今の彼女は、泥酔した巨人のように足元がおぼつかない。両手を前後に振り、長い黒い尾を左右に激しくのたうち回らせている。
その後ろから、軽やかな足取りでブラックヴァルキリーのカーラが歩いてくる。その表情は、なぜか妙に楽しげだ。
「おい、きさまら! 茶はあるか! あと、何か美味いスナックを要求する!」
フィオラ(カーラ)が、大人の艶めかしい声で叫んだ。内容は完全に野生児のそれである。
波澄は眼鏡を押し上げ、じっとその「フィオラ」を見つめた。
「……フィオラさん? 何ですか、その歩き方は。それに、言葉遣いも粗暴ですし。どこかで変なものでも食べたの?」
「ち、違う! これはだな……」
フィオラ(カーラ)は言い訳をしようとしたが、フィオラの声帯が勝手に甘く響いてしまうため、凄みが出ない。焦れば焦るほど、背後の尾が激しく床を叩く。バタバタと大きな音が室内に響いた。
サリサはソファから飛び起きると、鼻をくんくんと動かした。
虎の野生の勘が、目の前の二人の「ねじれ」を瞬時に見抜く。
「あはは! あんたらなにやってんの! カーラとフィオラが入れ替わってる!」
「なっ、なぜわかる!?」
フィオラ(カーラ)が目を見開く。
「だってさ、匂いが全然違うもん。それに、霊波動の波長がめちゃくちゃ。カーラ、またあの『エクスチェンジ』ってやつやったでしょ!」
サリサは面白そうにフィオラ(中身カーラ)の周りをぐるぐると回り始めた。白い虎耳が嬉しそうにピンと立っている。
「ちょっと、面白そうじゃん! わたしも混ぜてよ!」
「断る! この体は重くてたまらんのだ。早く元の体に戻りたい……うわっ!」
フィオラ(カーラ)が後退りしようとした瞬間、自分の尾を踏んでしまい、盛大にバランスを崩した。巨体が波澄の勉強机の方へと倒れかかる。
「危ない!」
波澄が慌てて立ち上がり、お札を構えようとした。
その瞬間、カーラの脳裏に悪戯心が閃く。
(この重い体から脱出するチャンスだ!)
カーラ(中身)はフィオラの肉体の高い身体能力を強引に引き出し、倒れかけながらも波澄に向かって手を伸ばした。
「ブラックヴァルキリー・ハーモニー……エクスチェンジ!」
暗い光が、今度はフィオラ(中身カーラ)と波澄の間を結ぶ。
「えっ……? きゃっ!?」
波澄の悲鳴が響き、二人の体が同時に静止した。
一呼吸の沈黙の後。
どさりと、フィオラの肉体が床に倒れ込んだ。しかし、その中身は波澄に切り替わっている。
「な、何これ……! 体が、重っ……!? それに、この背中と腰の違和感は……!」
床に突っ伏したまま、フィオラ(波澄)が絶望的な声を上げる。普段の委員長キャラクターからは想像もつかない、取り乱した叫びだ。
「あはは! 波澄ちゃんがフィオラになっちゃった!」
サリサが大爆笑しながら床を叩く。
一方、波澄の肉体を手に入れたカーラは、すっくと立ち上がった。
黒髪のポニーテールが揺れる。白いブラウスに、黒のタイトミニスカート。非常に動きやすい。翼もなければ、重い尾もない。人間サイズの軽い肉体だ。
「おお! これは素晴らしい! 軽い、実に軽いぞ! この体なら、いくらでも走り回れそうだ!」
波澄(カーラ)は、自分の胸を揉んで感触を確かめた。
「ふむ……。ミハエルがわたしの胸を揉んだ気持ちが少しわかるな。でかいなお前も。この肉体も、なかなかの弾力だ」
「なっ……! 何を私の体で破廉恥なことをしているのですか! やめなさい! 頭病めそう……!」
床から顔を上げたフィオラ(中身波澄)が、顔を真っ赤にして怒鳴る。しかし、フィオラの妖艶な容姿のせいで、怒っているというよりは、誘惑しているようにしか見えない。
「まあまあ、いいじゃん波澄ちゃん。それよりカーラ、次はわたしと交換しよう!」
サリサが興奮気味に迫ってきた。
「サリサ、きさまもやりたいのか? 面白いぞ、他人の体というのは」
東雲波澄(カーラ)がにやりと笑う。
その時、玄関の扉が静かに開いた。
「ただいま戻った。ずいぶんと賑やかだな」
低く、落ち着いた男の声。
ミハエルが、黒いコートの襟を正しながら入ってきた。その青い瞳が、リビングの異常な状況を瞬時に捉える。
床に突っ伏して赤面しているフィオラ(波澄)。
そのフィオラの体を突っついているサリサ。
普段の品行方正な態度とはかけ離れ、腰に手を当てて威張っている波澄(中身カーラ)。
そして、部屋の隅でクッキーを齧りながら静観しているカーラ(中身フィオラ)。
ミハエルは一歩踏み出し、コートを脱ぎながら言った。
「ふむ。これはまた、興味深いインスタレーションだな。フィオラが床で悶絶し、波澄が不良少女のようになっている。何かの儀式かね?」
「ミ、ミハエル! 助けて!」
フィオラ(波澄)が悲痛な声を上げる。
「この馬鹿ヴァルキリーが、勝手に術を使って私の体を奪ったのです! しかも、この体……信じられないほど重くて、起き上がることすら……!」
「ほう」
ミハエルは波澄(カーラ)の方を見た。
「カーラ。またやったのか。前回の反省が活かされていないようだな」
「ふん、反省など腹の足しにもならん! ミハエル、きさまもこのカオスを楽しんだらどうだ?」
波澄(カーラ)は不敵に笑い、サリサの肩を組んだ。
「ほら、サリサもやりたがっている。次はサリサの体だな!」
「うん! カーラ、早く!」
「待ちなさい、サリサ!」
フィオラ(波澄)の声が響くが、体の重さに阻まれて動けない。
波澄(カーラ)は呪文を唱えようとした。
しかし、ミハエルが一歩前に出た。その手には、かすかに霊波動が宿っている。
「カーラ。他人の体で遊ぶのは結構だが、節度というものを持ってもらいたい。特に波澄は、明日神社の行事で忙しいはずだ。その体で暴れ回られると、後始末が面倒なのだよ」
「うるさい! わたしは今、自由を満喫しているのだ!」
波澄(カーラ)はミハエルの警告を無視し、術を発動した。
ターゲットはサリサ。
「ブラックヴァルキリー・ハーモニー……エクスチェンジ!」
光の糸が走り、波澄(中身カーラ)とサリサが繋がる。
次の瞬間、感覚が再び入れ替わる。
カーラが目を開けると、視界が少し低くなっていた。そして、頭の上に奇妙な感覚がある。
動く。
耳が、自分の意思とは無関係にピクピクと動く。
背後からは、ふさふさとした白い尾が伸びていた。
「おお……! これは……!」
サリサの肉体に入ったカーラは、頭の上の虎耳を触った。柔らかい毛並み。音が、周囲の雑音が、異常なほど鮮明に聞こえてくる。廊下を這う虫の音まで聞き取れそうだ。
「わあ! 波澄の体、なんか背筋がピンとする!」
サリサが中身になった波澄の肉体が、嬉しそうにその場で跳ねた。
これで状況はさらに混乱を極めた。
カーラ:サリサの体に。
サリサ:波澄の体に。
波澄:フィオラの体に。
フィオラ:カーラの体に。
「……やれやれ」
ミハエルは額を押さえた。
「これは、パズルのようだな。誰が誰なのか、見た目と中身が一致していない」
部屋の隅で、カーラ(フィオラ)が優雅に歩み寄ってきた。
「ミハエル、これ面白いわよぅ。ヴァルキリーの体って、本当に軽くて羽のよう。あなたも混ざるかしらぇ?」
「わたしは遠慮しておくよ。前回の件で、おっぱいのやわらかさは身にしみている」
ミハエルは床で未だにもがいているフィオラ(波澄)の前にしゃがみ込んだ。
「大丈夫かね、波澄。竜の肉体は重いだろう」
「ミハエル様……お恥ずかしい姿を……。本当に、この体、どうやって動かせばいいのか分かりません……」
フィオラ(波澄)は涙目になりながら、ミハエルの袖を掴んだ。その姿は、普段の冷静な彼女からは想像もつかないほど弱々しく、しかしフィオラの肉体のせいで異様な色気を放っていた。
「おい、ミハエル! 波澄の体をそんな目で見つめるな!」
サリサ(中身カーラ)が怒鳴る。虎耳が威嚇するように後ろに伏せられた。
「わたしがこの体で、きみを投げ飛ばしてやろうか!」
「おっと、サリサの体で格闘術を使われるのは勘弁してほしいな。彼女の体は強力だから、中身が君の霊気でも家が壊れてしまう」
ミハエルは立ち上がり、全員を見渡した。
「さて、カーラ。そろそろお遊びは終わりだ。元の体に戻れ。さもなければ……」
ミハエルの目が、いたずらっぽく細められる。
「私が強引に術を介入させて、全員の魂をバラバラの状態で固定してしまうぞ?」
「なっ……! それは困る!」
カーラ(中身サリサ)は慌てて耳を伏せた。
「わ、わかった。戻せばいいのだろう、戻せば!」
渋々ながらも、カーラは術の逆転を試みる。
まずは、目の前の波澄(中身サリサ)と。
そして、床のフィオラ(中身波澄)と。
最後に、隅にいるカーラ(中身フィオラ)と。
光の糸が複雑に交差し、リビング全体が眩い光に包まれた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
光が収まると、全員が自分の体に戻っていた。
「ふぅ……。やっぱり、この重さが一番落ち着くわねぇ」
フィオラは自分の太ももを撫で、黒い尾を優雅に揺らした。
「もう……本当に、冬華さんじゃないけど頭病めそうでした……」
波澄は乱れたブラウスを整え、深くため息をついた。
サリサは自分の虎耳を触り、少し残念そうに呟く。
「えー、もう終わり? 波澄ちゃんの体、結構面白かったのに」
そして、カーラはベッドに戻り、大の字に寝転がった。黒い翼がシーツの上で脱力したように広がる。
「疲れた……。他人の体というのは、エネルギーを使うものだな」
「当然だ。魂の入れ替えは、それ自体が大きな霊的負荷を伴う。遊び半分で何度もやるものではないな」
ミハエルが部屋の入り口から顔を覗かせ、苦笑した。
「だが、良いデータは取れた。カーラ、今度その術の構成について、詳しく教えてくれないかね?」
「断る。お腹が空いたから、何か美味いものを寄こせ。話はそれからだ」
カーラはふてくされたように毛布を被った。
窓の外では、静かに雨が降り始めていた。その湿った音が、騒がしかった屋敷の空気をゆっくりと落ち着かせていく。
最新エピソード
滴る赤身肉の脂が、熱い鉄板の上で弾ける。こうばしい焦げ茶の匂いが、公爵邸の広い食堂を満たしていた。
ブラックヴァルキリー・カーラは、ナイフで容赦なく肉の塊を切り出し、口へ放り込む。噛み
真夜中の静寂が、王宮の巨大なダンスホールに満ちていた。
天井から吊り下げられた無数の水晶のシャンデリアは、火を消され、暗闇の中で冷たい光の塊となってぶら下がっている。昼間の華やかな喧
立ち込める獣脂の饐えた臭いと、どす黒い血液が放つ鉄分の混ざった悪臭。カイアス王国の国境沿いにある交易都市デュポンの裏路地には、冒険者たちが持ち帰る魔物の残骸を処理する「剥ぎ取り場」が存在する
喉の奥を滑り落ちる甘みが、やけに重たい。
他人の舌というのは、どうしてこうも脂っこく、粘りつくのだろう。
ブラックヴァルキリー・カーラは、手にした露店の串焼き肉を凝視した







