九龍魔法魔術学校〜鉄屑の獅子〜
説明
香港上空に浮かぶ「九龍魔法魔術学校」。 魔力制御ができず「鉄屑(ジャンク)」と蔑まれる少年レオンは、実は10年前に世界を救った英雄の息子であり、邪悪な開祖「張無夜」の力を封印された器だった。
学園最強を決める「龍王戦」の決着直後、闇の結社「黒蓮会」が襲来。レオンの宿敵であり親友のアーサーが、張の完全復活のための生贄として連れ去られてしまう。 「鉄屑でも、輝けることを証明してやる」 レオンは亡き父と母が遺した封印(ペンダント)を力に変え、発明家のシルヴィア、怪力のバオ、そしてかつての英雄である教師たちと共に、学園の地下深くへ攻め込む。
覚醒した獅子の拳が友を救い、150年の因縁を断ち切る! 落ちこぼれが世界を揺るがす、熱血魔法バトルファンタジー。
エピソード1
それは、とても古い、火傷のような記憶だ。
世界は壊れていた。
空はドス黒い雲に覆われ、そこから絶え間なく混沌とした瘴気が溢れ、腐敗の雨が降り注いでいた。
視界の端で、高い建物が音もなく崩れていくのが見えた。
遠くで、獣の咆哮のような、あるいは地鳴りのような低い音が響いている。
瓦礫の山となった路地裏。
鼻を突くのは、焦げた鉄の臭いと、湿った血の臭い。
「……ッ、はぁ……はぁ……」
母さんが、僕を抱きしめていた。
いつも石鹸のいい匂いがした母さんの服は、泥と煤(すす)で汚れ、所々が赤黒く染まっていた。
母さんの体は、小刻みに震えていた。
それが恐怖のせいなのか、痛みによるものなのか、幼い僕には分からなかった。
「……ごめんね」
母さんの声が、掠れて聞こえた。
彼女は僕の顔を、汚れた両手で包み込んだ。その瞳からは、ボロボロと大粒の涙が溢れ出し、僕の頬を濡らした。
「ごめんね、レオン……。本当に、ごめんね……」
なぜ謝るの?
僕は何も悪いことなんてしていないのに。
どうして母さんは、そんなに悲しそうな顔で僕を見るの?
母さんは、震える手で懐から何かを取り出した。
薄暗い廃墟の中で、それだけが異質に、美しく輝いていた。
深い緑色をした、勾玉のような形をした翡翠のペンダント。
「……これを、決して離さないで」
母さんはそれを、僕の首にかけた。
ひやり、とした冷たさが胸元に触れ、すぐに母さんの体温と混じり合った。
重い。
小さな石なのに、まるで鉛の塊を背負わされたような、ずしりとした重みがあった。
「あなたが生きるための……たった一つの守りだから」
母さんは僕を抱きしめた。
強く、痛いくらいに強く。
僕の視界が母さんの胸に埋もれ、世界の崩れる音がこもって聞こえた。
その温もりだけが、僕の世界の全てだった。
でも、その温もりが急速に冷たくなっていくことを、僕はただ、怯えながら感じていた。
降り止まない灰。
遠ざかる意識。
そして、耳に残る「ごめんね」という言葉。
――それが、僕の始まりの記憶。
鉄屑の獅子が目覚める、ずっと前の、長い雨の日の夢。
最新エピソード
### 17:夜明けの空
地響きが止んだ。
崩壊しかけていた龍脈炉が、静かな青い光を取り戻し、正常な脈動を刻み始める。
浄化された
### 12:深淵からの声
「そんな……じゃあ、どうすれば……」
レオンは膝をつき、口元の血を拭った。
攻撃で
### 9:地獄の最深部へ
大人たちが体を張ってこじ開けてくれた道。
レオン、バオ、シルヴィアの三人は、ついに最深部の巨大な扉の前に立った。
### 6:背中合わせの英雄
学園の最下層。
重厚な封印扉の先は、黒い粘膜に覆われた異界と化していた。
そして、螺旋階段を降りよう







