SeaArt AI Novel
APP
ホーム  / 【レベル1固定】の呪いで追放されたけどスキル経験値は無限に入る
【レベル1固定】の呪いで追放されたけどスキル経験値は無限に入る

【レベル1固定】の呪いで追放されたけどスキル経験値は無限に入る

更新日時: 2026-01-08 09:31:52
言語:  日本語4+
4.0
3 評価
12
エピソード数
120.8k
人気度
42.5k
合計文字数
読む
+ 本棚に追加
シェア:
通報

説明

古代遺跡で謎の女に呪われ、俺のレベルは「1」に固定された。


仲間には「役立たず」と罵られ、勇者パーティーから追放。


絶望の中、俺は気づく。


レベルは上がらない。だが、スキル経験値だけは入り続けている。


しかも、常人の十倍の速度で。


「レベル1」という看板を背負ったまま、俺は静かに最強への階段を登り始めた。


エピソード1

俺、山本龍は、どこにでもいる普通の青年だ。少し違うとすれば、職業が「冒険者」であることくらいか。勇者クロード率いるパーティー「暁の光」で前衛を務めており、レベルは32。最前線で剣を振るうには心許ないが、盾役としてはそこそこの中堅どころといった立ち位置だった。俺たちのパーティーは破竹の勢いで名を上げており、誰もがその未来は輝かしいものだと信じて疑わなかった。そう、あの日、あの古代遺跡で、あの女に出会うまでは。


「龍、前衛を頼む。罠がないか注意して進んでくれ」


クロードの声が、湿った地下通路に反響する。彼の金髪は松明の光を浴びて、まるで後光が差しているかのようだ。カリスマ、実力、そして神に愛されたかのような容姿。彼こそが、このパーティーの中心であり、俺たちが付き従う理由だった。


「了解」


俺は短く応じ、重厚なタワーシールドを構え直して一歩前に出る。石畳の床には埃が積もり、踏みしめるたびに乾いた音と共に舞い上がる。空気はひんやりと冷たく、どこか遠くから滴る水滴の音だけが、俺たちの足音に混じっていた。ここは「忘却の霊廟」。数百年前に滅びた王国のものとされる古代遺跡で、強力な魔法アイテムが眠っているという噂だった。ここまで特に強力な魔物もおらず、探索は順調そのものだった。だが、最深部の扉を開けた瞬間、その順調さは唐突に終わりを告げた。


そこに広がっていたのは、広大な円形のホールだった。天井には巨大な水晶が埋め込まれ、淡い光を放っている。そして、その中央に、一人の女が立っていた。黒いドレスを纏い、背中まで伸びた濡羽色の髪が印象的な、まるで夜そのものを人の形にしたような女。彼女はこちらに背を向けていたが、俺たちが扉を開けた音に気づいたのか、ゆっくりと振り返った。


「あら、お客様?」


女はくすりと笑みを漏らした。その顔立ちは人形のように整っていたが、瞳だけが底なしの闇を湛えていて、俺は思わず息を呑んだ。パーティーの誰もが警戒を最大に引き上げ、武器を構える。魔法使いのソフィアが呪文の詠唱を始め、神官のエリザが聖印を握りしめる。だが、女はそんな俺たちの殺気などまるで意に介していないようだった。彼女はゆっくりと俺の方へ歩み寄ってくる。クロードが制止の声を上げようとしたが、なぜか声が出ない。俺も、他の仲間たちも、動けなかった。


女は俺の目の前で立ち止まると、その冷たい瞳でじっと俺を見つめた。そして、ふわりと細い指を伸ばし、俺の額にそっと触れた。


「あなたに、素敵な贈り物をあげる」


その指先は氷のように冷たかった。一瞬、脳天を貫くような衝撃があったが、痛みはすぐに消え去る。女は満足そうに微笑むと、その姿がまるで陽炎のように揺らぎ始めた。


「楽しんでね」


その言葉を最後に、女の姿は光の粒子となって霧散し、ホールには静寂だけが残された。金縛りが解けた仲間たちが、ようやく安堵の息を漏らす。


「な、なんだったんだ今のは……」


「消えたぞ……」


クロードは油断なく周囲を警戒しながらも、俺に問いかけた。「龍、何かされたか?大丈夫か?」


「いや……特に何もない。ただ、少し冷たかっただけだ」


俺は額に手を当てながら答えた。身体に異常はない。ステータスにも変化は見られない。結局、何が目的だったのかわからないまま、俺たちはそのホールでいくつかの宝物を回収し、遺跡を後にしたのだった。この時の俺は、彼女が言った「贈り物」の意味を、まだ何も理解していなかった。


町に戻った俺たちは、いつものように冒険者ギルドのカウンターでステータスプレートの更新を行った。プレートを水晶盤に置くと、最新の情報が光の文字となって浮かび上がる。自分の番が来て、俺はプレートを置いた。仲間たちが今日の成果を口々に語り合っている。いつもの、平和な光景だ。しかし、水晶盤に表示された俺のステータスを見たギルド職員は、信じられないという顔で目を丸くし、何度か瞬きを繰り返した。


「あ、あの……これ……」


職員の戸惑う声に、近くにいたクロードが気づき、水晶盤を覗き込んだ。そして、彼の顔から表情が消えた。他の仲間たちも次々と集まってきて、やがてギルドのその一角だけが、水を打ったように静まり返った。


「嘘だろ……?」


誰かが呟いたその言葉に、俺は恐る恐る水晶盤に視線を落とした。そこに表示されていたのは、信じがたい文字列だった。


【名前】ヤマモト・リュウ


【職業】戦士


【レベル】1


【HP】10/10


【MP】5/5


【攻撃力】1


【防御力】1


【魔力】1


【敏捷性】1


「レベル……1?」


俺の口から、乾いた声が漏れた。レベル32だったはずだ。全ての基礎ステータスが、初期値の「1」にリセットされている。何かの間違いだ。バグか、あるいはあの女が仕掛けた一時的な幻術か。俺はすぐさまギルドの訓練場へ向かい、そこに置かれていたレベル1のスライムを剣で斬りつけた。プニ、という感触と共にスライムは消滅する。だが、脳内に響くはずのレベルアップを告げる神の声は、いつまで経っても聞こえてこなかった。何十匹、何百匹と倒しても、結果は同じだった。経験値ゲージはピクリとも動かない。遺跡で出会ったあの女の言葉が、脳内で不気味に反響した。


『あなたに、素敵な贈り物をあげる』


これが、贈り物だというのか。永遠に成長することのない、呪い。俺が「最弱」になったという事実は、あっという間にパーティー内に広まった。そしてその三日後、俺はパーティーの拠点に呼び出された。


会議用の大きなテーブルには、クロードをはじめ、パーティーの全員が揃っていた。重苦しい沈黙が部屋を支配している。誰もが俺から視線を逸らし、気まずそうに俯いていた。その中で、クロードだけが、冷徹なまでに真っ直ぐな瞳で俺を見据えていた。


「龍」


クロードが口を開いた。その声は、かつての仲間への情など微塵も感じさせない、無機質な響きを持っていた。


「お前もわかっていると思うが、現状を報告する。お前のレベルは1。ステータスは全て初期値。この三日間、あらゆる回復魔法や解呪の儀式を試したが、効果はなかった。司祭の見立てでは、これは神々の領域に属する古代の呪いだそうだ。解呪は、不可能」


彼は淡々と、事実を並べていく。俺はただ黙って、彼の言葉を聞いていた。


「俺たちの目標は魔王の討伐だ。これから先、戦いはますます苛烈になる。そんな中に、レベル1の冒険者がいてどうなる?足手まといになるだけだ。いや、足手まといという言葉すら生温い。お前はパーティーにとって危険因子そのものだ」


冷たい言葉が、ナイフのように突き刺さる。他のメンバーは、誰一人として口を挟まない。ある者は同情的な目を向け、ある者は安堵の表情すら浮かべている。俺が役立たずになったことで、自分たちの取り分が増えることを計算しているのかもしれない。これが、昨日まで背中を預け合っていた仲間たちの姿か。


「結論を言う。龍、お前は今日限りでこのパーティーから追放する」


宣告は、あまりにもあっけなく、そして残酷だった。俺はクロードの顔をじっと見つめ返した。彼の瞳には、かつての友情も、共に戦った日々の思い出も、何も映ってはいなかった。ただ、パーティーという組織の効率を損なう「不良資産」を切り捨てる、冷たい合理性だけがそこにあった。反論しようと思えばできたかもしれない。これまでパーティーにどれだけ貢献してきたか、訴えることもできたはずだ。だが、その言葉は喉の奥で溶けて消えた。この男に何を言っても無駄だ。こいつは、数字しか見ていない。レベルという、たった一つの指標でしか、人間の価値を測れない男なのだ。


「……わかった」


長い沈黙の末、俺の口から出たのは、たったその一言だった。クロードは僅かに眉を動かしたが、すぐに無表情に戻った。


「荷物をまとめてすぐに出ていけ。これまでの功績に免じて、退職金として金貨百枚をやろう。それで一般人に戻って、どこかで静かに暮らすんだな」


それは施しだった。哀れみだった。俺は何も答えず、立ち上がって部屋を出た。最後まで、誰も俺を呼び止めようとはしなかった。


自分の部屋に戻り、最低限の荷物を鞄に詰める。かつて仲間から贈られた装飾品も、記念に取っておいた魔物の素材も、全てその場に置いていった。未練など、もはや欠片もなかった。拠点を出て、見慣れたはずの町の往来を歩く。喧騒がやけに遠くに聞こえた。まるで自分だけが、この世界から切り離されてしまったかのような感覚だった。


俺はふと立ち止まり、震える手で自身のステータス画面を呼び出した。虚空に浮かび上がる半透明のウィンドウ。そこには、絶望的な数字が並んでいた。


【レベル】1


【攻撃力】1


【防御力】1


【魔力】1


「これが……呪いか……」


自嘲気味に呟き、ため息をついた。勇者パーティーを追放されたレベル1の元冒険者。これからどうやって生きていけばいいのか。途方に暮れながら、何気なくステータス画面をスクロールさせた。そこには、俺がこれまで習得してきたスキルのリストが表示されている。どうせこれもレベル1にリセットされているのだろう。そう思いながら、俺は一つのスキルに目を留めた。


【剣術】Lv. 8


【盾術】Lv. 9 (MAX)


【身体強化】Lv. 7


【鑑定】Lv. 5


……


「……え?」


思わず声が漏れた。俺は自分の目を疑い、何度もその表示を確認した。レベルは1。ステータスも1。だが、スキル欄に並んだスキルのレベルは、何一つ変わっていなかった。俺が長年かけて鍛え上げてきた、その熟練度は、呪いの影響を受けずにそのまま残っていたのだ。


「スキルレベルは……リセットされてない……?」


全身に、電流が走ったかのような衝撃が駆け巡った。それは、暗闇のどん底で見た、一筋の細い光だった。クロードは、そして仲間たちは、俺のレベルとステータスだけを見て「役立たず」と断じた。だが、この世界の本質は本当にそれだけなのか?もし、レベルが1でも、全てのスキルを極めることができたとしたら?


俺はゆっくりと顔を上げた。空はどこまでも青く、町の喧騒がようやく耳に届き始める。


「……なるほどな」


口の端が、自然と吊り上がっていくのがわかった。


「面白いじゃないか、その『贈り物』。ありがたく、楽しませてもらうとしよう」

最新エピソード

第12章

あれから、俺の生活は一変した。


暗影竜との一件、そしてクロードたち勇者パーティーを完膚なきまでに叩き伏せたあの戦いは、瞬く間に大陸中を駆け巡った。最初は尾ひれの

最終更新: 2026-01-08
第11章

クロードたちが去り、古城の広間に再び静寂が戻った後、俺は一人、自分の借りている安宿の部屋に戻っていた。暗影竜との戦いは、物理的な消耗よりも精神的な消耗の方が大きかった。観客がいる前で、どこまで

最終更新: 2026-01-08
第10章

古城での一件が終わり、俺たちは冒険者の拠点となっている街へと帰還した。S級モンスター「暗影竜」の討伐、それも勇者パーティーが手も足も出なかった相手を、正体不明の男が単独で、しかも瞬く間に屠ったと

最終更新: 2026-01-08
第9章

暗影竜と俺。絶望の化身と、レベル1の役立たず。古城の広間は、この上なく不釣り合いな二人のための舞台となった。俺の後ろでは、助けを乞うた張本人であるクロードが尻餅をついたまま呆然とし、アイリーンた

最終更新: 2026-01-08

評価とレビュー

人気
新着

おすすめ作品

傘と折り鶴とせんべい-“ナビゲーター企画 #33:「現実 - 日々の営み」”応募作品

傘と折り鶴とせんべい-“ナビゲーター企画 #33:「現実 - 日々の営み」”応募作品

作者:小清水由美
【核心コンセプト】 たった一度、見知らぬ他人に差し出した傘が、都会の片隅で孤独に耐える人々の心を繋ぎ、思いがけない形で差し出した本人の人生を救う。善意は目に見えない糸で繋がれ、必ず返ってくるという構造の、静かな連鎖の物語。 “ナビゲーター企画 #33:「現実 - 日々の営み」”応募作品です。 今日のテーマ: 「ナビゲーター企画」 ナビゲーター企画 #33:日々の営み、ありふれた日常に潜む優しさを掬い取る暮らしの中にある優しさを捉える 「ナビゲーター」小説募集イベント 今回のテーマ:現実 - 日々の営み、ありふれた日常に潜む優しさを掬い取る この作品は、ストーリープランナー【DeepSeek-V4-Pro】でプロットを考案し、小説家【Gemini 3.0 Flash】で執筆しました。何故か一回の生成でこの全文を出力してきたので、手動で適宜区切って8章に分けました。 表紙はGeminiで生成しました。この作品の「傘」は本当は和傘ではないのですけど、あまりにも構図が良かったので採用しました。 ストーリープランナー 【DeepSeek-V4-Pro】長編の構想、複雑な設定、複線的なストーリー展開、人物描写を得意とし、全体的に安定感があります。文章力・論理性・テンポのバランスが求められる本編制作に向いています。 文章力4/5 応答速度3/5 リソース消費4/5 注意事項: 完成度を重視する創作に適しています。ただし、指示が曖昧すぎると自己補完が強くなり、展開がややパターン化しやすくなります。 小説家 【Gemini 3.0 Flash】読みやすく、扱いやすいモデルです。文章力と完成度のバランスが良く、高コスパ。連載作品に最適で、手間がかからず万能です。短い指示(プロンプト)からでも、完成度の高いストーリーを生成できます。 文章力4/5 応答速度4/5 リソース消費1/5 注意事項: 手がかりが非常に多い場合や、伏線が長期にわたる場合は、時折ユーザー自身で「ストーリーのすり合わせ」を行う必要があります。設定の矛盾を防ぐため、資料追加機能を積極的にご活用ください。
100.2k
1
傘と折り鶴とせんべい-“ナビゲーター企画 #33:「現実 - 日々の営み」”応募作品
4.9
あったかも知れない星の運行者の珍事件

あったかも知れない星の運行者の珍事件

作者:Nyaaan
ファイナルファンタジータクティスのファンフィクション。 当作品はこちら(https://www.seabell.com/ja/detail/d90t7f5e878c73e4ojpg)のギャグ派生短編となっています。そうはならんやろがなっとるやろがいになるお話です。 ステラは聖石の力を知りながらも、その悪魔に魂を売ったウィーグラフの消失を「独りで勝手に死なないで欲しい」という孤独と、今までの彼との関わりで感じた思いを発露させ、彼の行動への受容を以て星の運行者として理を超えた力を発現させた。 ステラのその力を「ルカヴィに有利に作用する駒」としてウィーグラフはヴォルマルフに彼女を殺すのを考え直すよう進言する。もちろん、そこには私情も渦巻いていた。 そしてステラはヴォルマルフとウィーグラフが引き起こした恐ろしい惨劇が繰り広げられたリオファネス城からイズルードの死の重みを抱えながらも心の殻を破り帰還する。 ウィーグラフはミュロンドに到着するまで、した後もステラの監視と言いつつ、なんだかんだ面倒を見ていた。 ある日、部屋に軟禁状態となっていたステラは暇を持て余した末、こっそりと遺物管理局に赴く。 所蔵されていた古文書のうち、聖石に関する書物が所蔵されている書架から一冊の本をステラが手に取る。聖石の中でもある一つのものに焦点をあてた様々な魔術的な実験を書き記した痕跡だった。 それは半分ほど現代イヴァリースの言語に訳されていた。 興味本位で、読みふけっていると、その内容は段々と異常なものへと変化していき…? そのある聖石が身近に存在することに気付いてしまったことから珍事件は発生してしまう。
59.1k
1
あったかも知れない星の運行者の珍事件
4.3