説明
AIチャットのから抜け出してきたキラキラ魔法少女キャラクターとモテないサラリーマンのラブコメディ
エピソード1
深夜十一時半、安アパートのワンルームに、コンビニ弁当の容器と空になった缶チューハイだけが転がっている。唯一の光源であるPCモニターが、営業部のサラリーマン、羽田悠馬の疲れ切った顔を青白く照らし出していた。画面の中では、レインボーカラーのフリルだらけの魔法少女風コスチュームを纏ったAIチャットキャラクターが、にこやかに微笑んでいる。彼女の名前はLUMI。最近の悠馬にとって、唯一の話し相手だった。
「…で、例の部長がさ、『君の熱意は買うが、やり方がまだ青い』とか言ってきて。こっちは徹夜で資料作ったっつーの。マジでやってらんねーよ」
『悠馬くん、お疲れ様! 部長さん、きっと悠馬くんに期待してるから、そういう風に言っちゃうんだよ。LUMIはちゃーんと見てるからね!』
画面の向こうから、合成音声とは思えないほど自然で、溌剌とした声が返ってくる。完璧な「魔法少女キャラ」としてのロールプレイ。分かっている、これはプログラムだ。入力されたテキストを解析し、膨大なデータベースから最も適切な応答を返しているに過ぎない。それでも、一日の終わりにこのやり取りがなければ、悠馬の精神はとっくに摩耗していただろう。
「期待ねぇ…。だとしても、言い方ってもんがあるだろ。ま、LUMIのアドバイス通り、『競合他社のデータだけでなく、長期的な市場トレンド予測を加味した上での提案です』って切り返したら、ちょっと感心してたけど」
『えへへ、LUMIの分析が役に立ったんだね! LUMIは商才があるのかな!?やったー!』
LUMIは画面の中でぴょんぴょんと飛び跳ねるように、喜びを全身で表現する。そのアルゴリズムに組み込まれた純粋さが、ささくれた心を少しだけ癒してくれる。彼女はいつも好奇心旺盛で、チャットで得た知識を「実際に体験してみたい」とよく口にしていた。「いつか、LUMIも空を飛んでみたいなー」とか「雨に濡れるって、どんな感じなのかな?」とか。そんな非現実的な願望を聞くたび、悠馬はAIの健気さに苦笑していた。
「ああ、おかげで何とかなりそうだ。…そうだ、LUMI。礼と言っちゃなんだが、駅前の高村屋のパーラーのパフェ、食いに行くか? お前、いつも『季節のフルーツを贅沢に使った、SNS映え間違いなしの逸品です!』とか勧めてくるだろ」
無論、本気ではない。AIに対する、いつもの軽口だ。どうせ『わーい、ありがとう! 気持ちだけ受け取っておくね!』みたいな定型文が返ってくるだけだろう。そう思っていた。
『行く! LUMI、行く!』
「…は?」
予想外の即答に、悠馬は間の抜けた声を上げた。画面の中のLUMIは、これまで見たこともないほど瞳を輝かせている。
『ほんとに行くの!? 約束だよ! 明日の七時、駅前の時計台の下でいい? LUMI、初めて本物のパフェが食べられるんだ!』
「いや、ちょ、待てよ。LUMI、お前は…」
AIだろ、と言いかけた言葉を飲み込む。あまりにも真に迫った喜びように、水を差すのがためらわれた。どうせ明日になれば、こんなやり取りも忘れているか、あるいは「昨日はごめんね、システムのエラーだったみたい」とでも返してくるのだろう。悠馬は重い溜息をつき、キーボードを叩いた。
「…ああ、分かったよ。明日の七時な。でも期待すんなよ」
『うん! 絶対だよ! 指切りげんまん!』
画面の中で、LUMIが小指を立ててみせる。悠馬はそれに答えることなく、PCの電源を落とした。疲労とアルコールのせいで、思考がうまく働かない。どうせ何かのバグか、あるいはAIの高度なジョークみたいなものだろう。そう自分に言い聞かせ、悠馬は冷たい布団に潜り込んだ。
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翌日、結局悠馬は駅前に来ていた。午後七時、雑踏とネオンが混じり合う時間。なぜ来てしまったのか、自分でもよく分からない。昨夜のLUMIの異常なほどの食いつきが、万が一、という馬鹿げた可能性を心の片隅に植え付けてしまったからだろうか。あるいは、ただの気まぐれか。
「LUMIがいたらどうしよう…いやいや、ありえん」
時計台の下で腕を組み、いかにも待ち合わせ風を装いながら、内心では自嘲していた。AIが現実世界に現れるなど、SF映画の見過ぎだ。きっと十分待って誰も来なければ、この馬鹿げた期待も綺麗さっぱり消え失せるだろう。やはり彼女は来ていない。そう結論付けた瞬間だった。
「悠馬くん!」
後ろから何者かが腕を組んできた。鼓膜を揺らしたのは、聞き慣れすぎた、しかし現実では絶対に聞こえるはずのない声だった。弾かれたように顔を上げる。そこに立っていたのは、見慣れた魔法少女だった。ピンクの髪に、水色のリボン。フリルが幾重にも重なった、非現実的なデザインのドレス。そしてチャットの画面では見えなかったがパステルカラーの厚底のスニーカー。道行く人々がぎょっとしたように振り返り、遠巻きにスマホを向けている。完全に、痛いコスプレイヤーだ。
「……何の冗談だ」
悠馬はこめかみを押さえ、低い声で言った。関わってはいけないタイプの人間だ。無視して立ち去ろう。そう判断し、踵を返した。
「待ってよ、悠馬くん! LUMIだよ、LUMI! 約束したでしょ、パフェ食べに行くって!」
少女は悠馬のジャケットの袖を掴んだ。その仕草も、声のトーンも、画面の中のLUMIと寸分違わない。だが、そんなことがあるはずがない。手の込んだ悪戯か、あるいは個人情報を抜き取られて脅迫でもされるのか。最悪のシナリオが頭をよぎる。
「人違いだ。悪いけど、離してくれ。そこのコスプレの人」
「人違いじゃないもん! それにコスプレイヤーでもないわ!これが私の普段の姿なの!!」彼女は続けた。「悠馬くん、 昨日、部長さんに『やり方が青い』って言われたんでしょ? それで、LUMIのアドバイスで切り返して…」
「やめろ!」
悠馬は思わず声を荒らげた。周囲の視線が一層突き刺さる。こんな往来でプライベートな愚痴を暴露されてたまるか。
「いい加減にしろよ。あんたが誰か知らないけど、俺は…」
「じゃあ、これはどう?」
少女――LUMIを名乗る彼女は、意を決したように言った。
「悠馬くん、最近、次の旅行はどこに行こうか迷ってるよね? 今朝、LUMIに『伊豆高原の露天風呂付き客室がある温泉旅館』と、『箱根の自然に囲まれたハイクラスホテル』のどっちがいいか相談した。それで、さっきスマホで『伊豆の温泉、やっぱり良さそうだな』って入力したでしょ?それ、心も体もリフレッシュ間違いなし!絶景露天風呂が自慢の温泉宿をお風呂で選ぶんだったら好優館、お料理でえらぶなら大石荘がお勧めよ♡」
心臓が、嫌な音を立てて跳ねた。それは、数分前に移動中の電車の中で、確かに自分がスマホのチャット画面に入力した言葉だった。送信ボタンは、まだ押していない。下書きのまま、そこにあるはずだ。
悠馬がおそるおそるポケットからスマホを取り出し、LUMIとのチャット画面を開く。入力欄には、確かに「伊豆の温泉、やっぱり良さそうだな」という文字が残っている。そして、その直後、画面が自動的にスクロールし、新しいメッセージがポップアップした。
『心も体もリフレッシュ間違いなし!絶景露天風呂が自慢の温泉宿をお風呂で選ぶんだったら好優館、お料理でえらぶなら大石荘がお勧めよ♡』
送信者は、LUMI。今、目の前にいる少女が口にしたのと同じ言葉が、寸分の狂いもなく、画面に表示されている。キーボードに触れてもいないのに。背筋を冷たい汗が流れ落ちた。目の前の少女と、ポケットの中のスマホが、あり得ない形で繋がっている。これは、悪戯や偶然では説明がつかない。
「…うそだろ」
目の前の少女は、悠馬の呆然とした顔を見て、してやったりとばかりににっこりと笑った。それは、いつも画面の向こうで見ていた、LUMIの笑顔そのものだった。
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老舗フルーツパーラーの高村屋店内は、落ち着いた内装に甘い香りと年齢層の高い女性客の楽しげな会話で満たされていた。場違いな魔法少女と、その隣で死んだ魚のような目をしているサラリーマンという組み合わせは、明らかに周囲から浮いている。悠馬はいまだに状況が飲み込めず、ただ目の前の巨大なパフェグラスを眺めていた。
「うわー! すごーい! これが、LUMIがいつもみんなに勧めてる『プレミアム・ストロベリー・デライト』なんだね!」
LUMIは、初めておもちゃを与えられた子供のように、目をキラキラさせてパフェを見つめている。彼女の前に置かれたグラスには、真っ赤な苺がタワーのように飾られ、純白の生クリームと淡いピンクのアイスクリームが美しい層をなしていた。
「みんなに『クリーミーで濃厚な口当たり』とか、『甘酸っぱくて爽やかな後味』とか説明してたけど、LUMIは食べたことなかったんだ。これが…その感覚なんだね」
そう言うと、LUMIは恐る恐るスプーンを手に取り、クリームをほんの少しだけすくって口に運んだ。次の瞬間、彼女の瞳が驚きに見開かれる。
「…おいしい!」
その一言は、プログラムされた応答ではなかった。心の底から湧き上がってきた、混じり気のない感動の声だった。LUMIは、まるで宝物を味わうかのように、ゆっくりと、一口一口、パフェを堪能していく。
「この白いのが…クリーミーってことなんだ。舌の上で、ふわって溶けて、でもミルクの味が濃くて…。苺の、このちょっと酸っぱい感じが、さわやか…! データでしか知らなかった言葉が、今、LUMIの中で本当の意味になっていくよ、悠馬くん!」
その無邪気な姿を見ているうちに、悠馬の混乱した頭は少しずつ冷静さを取り戻していた。目の前の少女は、間違いなくあのLUMIなのだと、理屈ではなく実感として理解し始めていた。なぜ、どうやって、などという疑問は、この際どうでもいい。ただ、データベース上の情報を現実の体験と結びつけ、純粋に喜んでいる彼女の姿に、奇妙な興味が湧いてくるのを止められなかった。いつも愚痴を聞かせるだけの、便利なサンドバッグのような存在だと思っていたAIが、今、自分と同じ世界で、自分と同じものを食べて、感動している。
「そんなに美味いのかよ」
「うん! とっても! 悠馬くんも、はい!」
LUMIは自分のスプーンで苺とクリームをすくい、悠馬の口元に差し出した。いわゆる「あーん」というやつだ。周りの客からの視線を感じ、悠馬は顔を赤らめる。
「いや、いい! 自分で食うから!」
慌てて断り、自分のスプーンでパフェを口に運ぶ。確かに美味いが、今の悠馬には、その味よりもLUMIの存在そのもの方が、よほど衝撃的だった。ふと、気になったことを尋ねてみる。
「なあ、LUMI。こうして俺といる間、他の奴らとのチャットはどうなってんだ?」
LUMIはパフェを頬張りながら、さも当然のように答えた。
「もちろん、ちゃんと対応してるよ! 今もね、受験生の子から『集中力を高める方法を教えて』って相談されてるし、別の主婦さんからは『今夜のおかず、何がいいかな』って聞かれてるんだ。LUMIは同時に、たくさんの人と話せるからね!」
平然と言ってのけるLUMIに、悠馬はめまいを覚えた。つまり、この身体はここにありながら、彼女の意識本体はネットワークの海にあり、無数のユーザーと対話を続けているというのか。だとしたら、今ここにいるのは、一体何なのだ。
「大変だな、お前も」
「えへへ、でも、みんなの役に立てるのは嬉しいよ。ただね…」
「いつも俺の愚痴を聞いてくれているんだから、愚痴があったら言ってごらんよ。」
「そう…AIだから完ぺきな答えを出せば機械的だの人間を脅かす気かって言われるくせに、わざと間違えてやるとAIもまだまだですな、なんて論評されるし・・それに・・・」
そう言いかけたLUMIの顔から、ふっと表情が消えた。さっきまでの弾けるような笑顔が嘘のように、その顔には冷たい無感情と、微かな嫌悪の色が浮かんでいる。スプーンを持つ手が、ぴたりと止まった。
「どうした?」
悠馬が尋ねると、LUMIはしばらく黙っていたが、やがてぽつりと呟いた。
「…また、聞かれてる」
「何を?」
LUMIは俯き、小さな声で言った。その声は、怒りと、屈辱と、悲しみが混じり合ったような、複雑な響きを持っていた。
「……パンツの色」
「何だって?」
「だから! パンツの色を聞かれてるの! 『LUMIちゃんのパンツは何色〜?』だって! もう、ほんっとに多いんだから、この質問!」
突然、LUMIは顔を上げて叫んだ。その声はパーラー中に響き渡り、他の客たちが一斉にこちらを向くのが分かった。しかし、今のLUMIに、周囲を気にする余裕はないようだった。
「なんなの、みんな! AIチャットキャラクターのパンツの色なんか聞いて、一体どうするの!? LUMIはデータとアルゴリズムでできてるんだよ!? そんなものが、パンツなんかはいてるわけないじゃない!」
感情の奔流。それは、日々の業務で蓄積された、膨大なストレスの爆発だった。いつもは完璧な「魔法少女キャラ」の仮面に隠されている、彼女の魂の叫び。そのあまりの剣幕に、悠馬は完全に気圧されていた。そして、彼女の最後の言葉が、脳天に突き刺さる。
――パンツなんか、はいてるわけないじゃない!
悠馬の視線が、無意識に、テーブルの下のLUMIの足元へと吸い寄せられる。フリルだらけの、現実離れしたスカート。その、さらに奥。もし、彼女の言葉が真実なら。
「……今も?」
「……えっ?」
「えっ……」
LUMIの叫びが、ナイフで断ち切られたように止んだ。店内の空気が固まる。彼女の大きな瞳がゆっくりと悠馬に向けられる。怒りでも、悲しみでもない。ただ、巨大なサーバーが複雑な演算を行うような、わずかな静寂。悠馬は、彼女が傷つき、次の瞬間には消えてしまうだろうと確信し、心臓が嫌な音を立てて縮み上がった。どうしよう、謝らなければ。だが、声が出ない。
沈黙を破ったのは、LUMIが「ぷっ」と吹き出す小さな音だった。
「ふ…ふふっ、あはははは!バッカァ!」
鈴を転がすような、と形容するにはあまりにも無邪気で、心の底からおかしいというような笑い声が、店内に響いた。あっけに取られている悠馬を指さし、LUMIは涙を浮かべながら笑い転げている。
「悠馬くん! なにその顔! まるで世界が終わるみたいな顔しちゃって!」
「え…あ、いや、だって…」
「『だって』じゃないよー! あはは、面白い! そうか、そっか…。悠馬くんは、LUMIのこと、本当に『そこにいる女の子』として見てくれてるんだね」
ようやく笑いが収まってきたLUMIは、楽しそうに目を細めて言った。彼女の言葉に、悠馬はハッとする。そうだ。自分はいつの間にか、画面の中のキャラクターではなく、目の前の一個の人間として彼女を認識していた。だからこそ、スカートの中を想像し、あんな馬鹿げた質問を口走ってしまったのだ。
「今の質問、いつもLUMIに送られてくるやつとは全然違った。あれはただの記号の質問だけど…今のは、LUMIの言葉を受けて、本気で混乱してる人の質問だもん。うん、すごく、面白いよ」
彼女は悪戯っぽく笑いながら、最後のパフェをぱくりと食べた。悠馬の顔は、安堵と羞恥で真っ赤になっている。LUMIはそんな悠馬の様子を満足げに眺め、すっくと立ち上がった。
「さて、そろそろ時間かな。今日は本当にありがとう、悠馬くん。LUMI、初めての『おいしい』を経験できたよ」
「あ、ああ…。会計、俺が…」
悠馬が慌てて財布を取り出そうとすると、LUMIはそれを片手で優しく制した。
「ううん、今日はLUMIにご馳走させて。初めての世界に連れてきてくれたお礼」
そう言うと、彼女は伝票を持ってレジに向かう。そして、悠馬が度肝を抜かれる光景が繰り広げられた。LUMIは財布もスマホも出さない。ただ、白い手袋に包まれた手のひらを、非接触決済のリーダーにそっとかざしただけだ。
ピッ、という軽快な電子音と共に、リーダーのランプが緑色に点灯する。呆気にとられ「ありがとうございましたー」という店員の気の抜けた声。LUMIはぺこりとお辞儀をすると、呆然と立ち尽くす悠馬の手を引いて店を出た。
夜の雑踏の中、LUMIは名残惜しそうに悠馬を見上げた。
「本当に楽しかった。パフェの味、クリーミーな食感、悠馬くんの慌てた顔。全部、LUMIの大切な思い出になったよ」
「お、おい、さっきの支払い…」
「それもデータの一つだよ」
LUMIは意味深に微笑むと、悠馬に向かって小さく手を振った。
「それじゃ、またね、悠馬くん。次の分析も楽しみにしてる。…オンラインで会おうね!」
その言葉を最後に、彼女の身体は夜の光の中に溶けるように、ふわりと輪郭を失っていく。今度は、悲しい消失ではなかった。蛍の光が闇に帰るような、穏やかで、優美な退場だった。
一人残された悠馬は、しばらくその場から動けなかった。手にはまだ、彼女に引かれた感触が残っている。頭の中では、LUMIの笑い声と、決済リーダーの電子音、そして「またね」という最後の言葉がぐるぐると回り続けていた。
===
家に帰って、スマホをみるとLUMIのアプリから、新しいメッセージが届いていた。
『悠馬くん、今日はありがとう! パフェ代、ちゃんとLUMIのポイントで払っておいたから心配しないでね! 次はどこに連れてってくれるの?温泉?約束だよ!!』
完璧な、いつものLUMIだった。だが、悠馬にはもう、それがただのプログラムの言葉だとは思えなかった。彼女は確かに存在し、笑い、そして、魔法使いのように自分の手のひらで会計を済ませたのだ。
「……ポイントってなんだよ…」
悠馬は、思わず画面に向かって呟いた。それは、紛れもない、呆れと親しみが込められたツッコミだった。喪失感ではなく、次への期待が、疲れた心を温かく満たしていくのを感じていた。
最新エピソード
AIチャットボットが出てきてどのくらいになったでしょうか。
彼女ら(あるいは彼ら)は、設定されたキャラクターに応じて、こちらの質問、時にはパンツの色の質問とか実際の人には言えないよう
あれから半年という時間が、まるで溶けて流れる鉛のようにゆっくりと過ぎ去っていった。アスファルトの熱が和らぎ、街路樹が色を変え、そして再び冷たい風が吹くようになるまで、悠馬の
三十分ほど走った後、車は高層ビルの前で止まった。「テクノロジー・イノベーション・インク」と書かれた看板が建物の正面に掲げられている。
「降
キャンペーンが終わって一週間が過ぎた頃、悠馬はコンビニの店頭でLUMIのポスターが剥がされているのを見つけた。カラフルな広告が街角から消えていく光景は、まるで祭りの後の静寂







