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雷属性の異能者、またまた強くなる

雷属性の異能者、またまた強くなる

更新日時: 2026-05-19 04:30:00
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説明

貧しい部屋で一人暮らしをする大学生、神谷透は、ある朝突然、雷を操る異能に目覚めた。触れた家電は次々と壊れ、夢には自分と同じ顔をした、神のような雷を放つ存在が現れる。異能の原因を探る透は、病院の幽霊、怪異事件、そして自分を狙う異能者たちに巻き込まれていく。


やがて彼の通う大学が政府公認の異能学院であり、学生会が異能犯罪や妖異を監視していることが明らかになる。恋人となった瞬間移動能力者の桜井紗雪、仲間たち、そして謎の人造人〈神使〉とともに戦う中で、透は雷電だけでなく玄冥拳法と魂の力をも手に入れる。自分と同じ顔をした無数の複製体の向こうに待つ、夢の中のもう一人の自分の正体とは。


エピソード1

「俺……雷電を操れるのか……!?」

神谷透が両手で触れていた場所に、かすかな電流が走っていた。手を前へわずかに動かすと、目にも捉えにくいその電流が、テレビのほうへ伸びていく。

次の瞬間、「ゴロゴロッ」という轟音が部屋に響いた。テレビは壊れたように沈黙し、それきり何の音も出さなくなった。

どういうことだ……!?

なぜ俺が雷電を操れる?

神谷透は洗面所へ駆け込み、鏡に映った自分の姿を見つめた。少し乱れた髪が顔にかかり、目元にはまだ眠気が残っている。唇は乾いてひび割れ、しばらく水分を取っていなかったことがうかがえた。すっと通った鼻筋と端正な顔立ちは、彼をいっそう精悍に見せている。ただ、顔に残る一本の傷跡だけが惜しかった。

「俺は……」

鏡の中の自分を見たまま、透は呆然とつぶやいた。

唇の乾きに気づくと、透は慌てて洗面所を出た。大きなコップに水を注ぎ、喉を鳴らして一気に飲む。だが、そのときだった。手のひらにびりっとした痺れが走り、握っていたコップが床へ落ちた。

コップは砕け、床一面に細かな破片が散らばる。飲み残しの水もあたりへ飛び散り、その一部は透の服まで濡らした。

床に広がった水たまりの中で、細い電流がちらちらと明滅している。コップを握っていた透の手にも、かすかな電気が走っていた。

まずい。まさか……!?

透は急いで周囲を見回した。いつもなら動いているはずの電化製品が、すべて止まっている。

透が暮らしているのは、古びた賃貸住宅だった。広すぎず、狭すぎもしない部屋だが、備えつけの設備はどれも年季が入っている。透はすぐに照明のスイッチへ駆け寄り、二度押した。

リビングの中央に吊られた照明が一瞬ちらつく。だが、いつものように明かりが灯ることはなかった。

「マジかよ……!」

透は思わず、ひとりごちた。

最初は停電だと思った。だが、どうやら違う。自分が突然、雷電を操れるようになったせいで、部屋中の電気が止まっているらしい。

透は、昨夜見た奇妙な夢をぼんやりと思い出した。見たこともない世界に立っていて、周囲には何人かの友人がいた。そして向かい側にいる人物が、なぜか自分と同じ顔をしていたのだ。

間違いない。昨夜の夢は、まさにそういうものだった。

向かいに立つ「透」が片手を掲げると、雷電が隣にいた友人のひとりを直撃した。友人はその場に崩れ落ちる。透は叫ぼうとしたが、声が出ない。

「透」はさらに手を、透のそばにいた別の友人へ向けた。二度目の雷電が走り、またひとりが倒れる。

「お前……」

透の瞳孔がわずかに縮んだ。目の前で雷電を放つ「透」が、ひどく憎らしく思えた。けれど身体は動かず、声も出せない。ただその場に立ち尽くし、起きていることを見ているしかなかった。

向かいの「透」は、まるで神そのものだった。背後から強烈な金色の光が放たれ、その眩しさに透は目を開けていられない。透は慌てて手で顔を覆った。

やがて「透」はゆっくりと地面を離れ、宙へ浮かび上がった。両手を掲げると、無数の銀白色の雷電が幾条もの龍のように、空一面をうねりながら駆け巡った。

「これは……神様なのか!?」

透は向かいの「透」を見つめ、驚きに目を見開いたまま声を漏らした。

「お前は誰だ?」

そのときになって、透はようやく声が出せることに気づいた。周囲にいた仲間たちは、「透」の雷電によって全員倒れている。

しばらく待っても「透」は答えなかった。透はもう一度問いかける。

「お前は誰だ?」

「俺が誰か?」

「透」の瞳には、わずかながら空虚な色があった。返ってきた声は、機械のように冷たい。

「俺はお前だ」

なに……!?

その言葉に、透は呆気に取られた。やがて、どうにか声を絞り出す。

「どういう意味だ?」

「俺はお前だ、神谷透……」

宙に浮かぶ「透」の背後で、目を刺すような金色の光が膨れ上がった。掲げた両手の周囲には、無数の銀白色の雷電が龍の群れさながらに渦巻いている。

その言葉を最後に、「透」の姿は音もなく消えた。

そして本物の透は、夢から跳ね起きた。

「ジリリリ、ジリリリ……」

目覚まし時計の音が鳴り響いていた。

「なんだよ、この夢……」

透はまだ重い頭を手で揉みながら、ひとりごとのようにつぶやいた。

透は慌てて起き上がり、携帯電話へ手を伸ばした。眠りから叩き起こしたのは、ほかでもない携帯電話のアラーム音だった。

だが、指が携帯電話に触れた瞬間、右手に鋭い痛みが走った。透は反射的に手を引く。

携帯電話の画面は、音もなく暗くなった。

焦げたようなにおいが漂ってきた。透は鼻をひくつかせ、そっとにおいを確かめる。

この焦げ臭さは、まさか自分の手から出ているのか?

透はもう一度右手を伸ばし、携帯電話を取り上げた。電源ボタンを押してみるが、いくら待っても反応がない。さすがに透も首をひねった。

どうなってるんだ……俺の携帯が、どうしてこんなことに!?

そのとき、黒い画面の携帯電話を握る右手に、またしても痺れが走った。痺れは瞬く間に全身へ広がっていく。

嫌な予感がした。透はとっさに携帯電話を放り投げた。

手を離れた直後、携帯電話が「バンッ」と弾け飛んだ。破片が四方へ飛び散り、そのいくつかが透へ向かってくる。頬とふくらはぎをかすめ、皮膚に細い傷を残した。

「うわっ……!」

痛みに顔をしかめ、透は思わず後ずさった。

床へ投げ捨てた携帯電話に目を向ける。もはや完全に壊れており、爆発で生じた破片がそこら中に散らばっていた。透は慎重に近づいて様子を確かめ、それから右手を持ち上げる。

その目には、理解しがたいものを見た者の色が浮かんでいた。

「いったい、どうなってるんだ……」

透は唇をかみしめながら、呆然とつぶやいた。

きっと長年使い続けたせいで携帯電話が故障し、そのまま壊れてしまったのだろう。

考えてみれば、この携帯電話を中古市場で買ったのは三年前だった。安くて性能も悪くないからと選んだものだが、こうして見ると、やはり安物にはそれなりの理由があるらしい。

次からは目先の安さに飛びつくのはやめよう。多少無理をしてでも、もう少しいい携帯電話を買わなければ。そうしないと、粗悪な携帯電話に殺されかねない……。

透は爆発した携帯電話を慎重に避けて歩いた。今は片づける気になれない。あれがまた爆発するのではないかと思うと、近づくのも怖かった。

照明をつけていない部屋は薄暗い。透は電灯のスイッチを何度か押したが、やはり何の反応もなかった。

どうなってるんだ……!?

まさか、停電なのか?

透は照明のことをそれ以上気にせず、爆発した携帯電話を慎重に迂回して窓辺へ向かった。カーテンを開けると、眩しい陽光が窓から差し込んでくる。

透は慌てて手で光を遮った。次の瞬間、薄暗かった部屋が一気に明るくなった。

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最新エピソード

第326章 新たな始まり(完)

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