説明
小説モデルを研究するためのテスト小説です・・・。
北斗の拳のケンシロウが、ある日突然アンパンマンの世界に飛ばされる。そこで出会った、正義の味方・アンパンマンとの友情物語・・・。
エピソード1
終末戦争が終わり、ラオウとの最後の戦いから早十数年。ケンシロウは相変わらず荒野を歩いていた。「死すならば戦いの荒野で」—その言葉通り、彼は戦場に生き続けることを選んだのだ。
夕日が地平線に沈みかけた時、足元の感触が変わった。乾いた土ではなく、ふわりとした何かを踏んでいる。見下ろすと、そこは見慣れない白い地面だった。甘い香りが風に乗って漂ってくる。
「これは…」
周囲を見渡すと、景色が一変していた。枯れ木はまるでチョコレートのような木に、岩はクッキーのように変わっている。空は澄み切った青色で、どこからともなく温かな光が差し込んでいる。
そんな時だった。
「あ、こんにちは!」
頭上から明るい声が聞こえた。見上げると、空を飛んでくる小さな影があった。茶色いマントをはためかせ、丸い顔をした不思議な存在が降りてきた。
着地した相手を見て、ケンシロウは息を呑んだ。頭が完全にパンでできている。赤い丸い鼻、優しげな目、そして体は人間のように二足歩行している。
「ぼくはアンパンマン!君は…えーっと…」
アンパンマンもまた、目の前の男に驚いていた。筋骨隆々とした体躯に、胸に刻まれた七つの傷。革ジャンに身を包んだ、まるで映画のヒーローのような出で立ち。そして何より、その瞳に宿る深い哀しみと強さ。
「す、すごい格好だね…戦うお仕事の人?」
「ケンシロウだ」彼は簡潔に答えた。「北斗神拳の伝承者」
「北斗神拳?」アンパンマンは首をかしげた。「きみも戦士なんだね」
ケンシロウはアンパンマンを観察した。この奇妙な存在からは、悪意が感じられない。むしろ、純粋な善意のようなものが滲み出ている。
「ここは…どこだ?」
「ぼくたちの町だよ!パン工場もあるんだ。よかったら来ない?ジャムおじさんが美味しいお茶を入れてくれるよ」
ケンシロウは少し考えた。この世界のことは何も分からない。とりあえず、この奇妙だが善良そうな相手について行くことにした。
パン工場に着くと、ジャムおじさんとバタコさんと犬のチーズが温かく迎えてくれた。ケンシロウの異様な外見に最初は驚いたが、アンパンマンが説明すると、すぐに受け入れてくれた。
お茶を飲みながら、アンパンマンは興味深そうに尋ねた。
「ねえ、ケンシロウ。きみの拳法って、どんなものなの?」
「一子相伝の暗殺拳だ」ケンシロウは淡々と答えた。「敵の秘孔を突き、内部から破壊する」
アンパンマンの表情が少し曇った。「暗殺…」
「だが、悪党を倒すためにしか使わない」ケンシロウは付け加えた。
その言葉で、アンパンマンの表情が明るくなった。
「そうなんだ!ぼくも悪い奴らと戦ってるよ。一度、手合わせしてもらえる?」
ケンシロウは眉を上げた。このパンでできた小さな存在が、自分と戦おうというのか。
「俺の拳は殺人拳だ。手加減を間違えば…」
「大丈夫!ぼくも結構強いんだ」アンパンマンは胸を張った。「それに、お互い手加減すればいいでしょ?」
しばらく見つめ合った後、ケンシロウは頷いた。この純真な相手がどれほどのものか、確かめてみたくなった。
町外れの広場で、二人は向かい合った。アンパンマンは得意の構えを取る。ケンシロウは、相当な手加減をする必要があることを理解していた。
「いくよ!アンパーンチ!」
アンパンマンが飛び込んできた。パンチを繰り出すが、ケンシロウは軽く身をかわした。次の瞬間、反撃の拳を放つ—もちろん、力を殺して。
アンパンマンは体勢を崩したが、すぐに立ち上がった。
「すごいや!もう一度!」
数回の攻防が続いた。アンパンマンは確かに強い。だが、ケンシロウには及ばなかった。技の精度、経験の差が歴然としていた。
「まいったよ」アンパンマンは笑いながら言った。「きみ、本当に強いんだね」
「お前も…」ケンシロウは微笑を浮かべた。「力だけではない強さを持っている」
その時だった。空が急激に暗くなった。厚い雲が渦巻き始め、甘ったるい匂いが立ち込める。
「なんだ?」
雲の隙間から、巨大な白い影が降りてきた。高さは約34メートル。白いセーラー帽を被り、青いセーラーカラーと赤いネッカチーフを身につけた、巨大なマシュマロでできた怪物だった。
「マシュマロマン…」アンパンマンが呟いた。
巨大な怪物は地面に降り立つと、その重量で建物を踏み潰し始めた。町の人々の悲鳴が響く。
「トロトロに溶かしてやる…みんな甘くしてやる…」
気味の悪い笑顔を浮かべながら、マシュマロマンは破壊を続ける。
「放っておけない!」アンパンマンが立ち上がった。
ケンシロウも同時に動いた。「ああ、一緒に倒そう」
二人は同時に跳躍した。アンパンマンが空中から「アンパーンチ!」を見舞うが、ふわふわのマシュマロ質がパンチを吸収してしまう。
ケンシロウは北斗百裂拳を繰り出した。「アタタタタタ!」無数の拳が巨体に打ち込まれるが、やはり柔らかすぎて致命打にならない。
「熱に弱いはずだ」ケンシロウが気づいた。
「ジャムおじさん!」アンパンマンが叫んだ。
すぐにアンパンマン号がやってきた。ジャムおじさんが火炎放射器を取り出す。
「今だ!」
ケンシロウとアンパンマンが連携した。アンパンマンがマシュマロマンの注意を引き、その隙にケンシロウが秘孔を狙う—ただし、破壊ではなく、体内の熱を増幅させる秘孔を。人間ではない存在に有効かどうかわからないが、今はとにかく試すしかなかった。
「うぐああああ!」
マシュマロマンの顔が歪む。手応えを感じたケンシロウ。「秘孔が効いたか・・・?試す価値はあったようだな・・・」
マシュマロマンの体が内側から熱くなり始めた。そこへジャムおじさんの火炎放射が加わる。
「溶ける…溶けてしまう…」
巨大な怪物は徐々に縮んでいき、最後は完全に溶けて、別の世界へ吸い込まれるように消えてしまった。
戦いが終わり、町に平和が戻った。二人は肩で息をしながら、互いを見つめた。
「すごい連携だったね」アンパンマンが嬉しそうに言った。
「お前がいなければ、俺一人では難しかっただろう」ケンシロウは認めた。「お前は…本当に強い」
「え?でもきみの方が…」
「違う」ケンシロウは首を振った。「俺の言う強さは、拳の強さではない。人を守りたいという心、その優しさこそが真の強さだ」
アンパンマンの目が潤んだ。「ありがとう、ケンシロウ」
その時、ケンシロウの体が淡い光に包まれ始めた。
「どうしたの?」アンパンマンが心配そうに近づいた。
「どうやら、俺もここを去る時が来たようだ」ケンシロウは静かに言った。
光は次第に強くなっていく。ケンシロウは理解した。おそらく、どこかの神が異世界からの脅威を感じ取り、自分を助っ人として呼んだのだろう。そして使命を果たした今、元の世界へ帰る時が来たのだ。
「寂しくなるよ」アンパンマンは涙ぐんだ。「きみみたいな友達、初めてだった」
ケンシロウは、そっとアンパンマンの頭に手を置いた。
「俺もだ。だが、俺には戻るべき世界がある。そして、お前にはここで守るべき人たちがいる」
光がより一層強くなった。ケンシロウの姿がぼやけ始めた。
「アンパンマン…最後に一つ言っておく」
「うん」
「お前の強さを忘れるな。それは、誰よりも尊い力だ」
「ケンシロウ…」
光が最高潮に達し、ケンシロウの姿が消えた。後には、温かな余韻だけが残された。
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再び荒野を歩くケンシロウ。相変わらずの荒涼とした風景だが、心の中は少し違っていた。
パンでできた小さなヒーローとの出会い。真の強さとは何かを改めて教えてくれた、あの優しい心。
「友よ…」ケンシロウは空を見上げた。「お前のその強さを、俺は忘れない」
一方、アンパンマンワールドでは、町の復旧が進んでいた。アンパンマンは時々空を見上げては、あの強く優しい戦士のことを思い出していた。
二人の間に生まれた友情は、世界が違っても、決して色褪せることはないだろう。







