禊巫女退魔録 ― 人形の家に響く鐘
Synopsis
「よろしくね、おにいちゃん、おねえちゃん」
「みんなも、一緒にあそぼ?」
「だって、ここは〝保育園〟だよ?」
――その無邪気な声は、闇に沈んだ園舎に甘く響く。
魔を祓う組織・禊機関(みそぎきかん)に所属する巫女の弥祀依与(やまつり・いよ)は、相棒の少年・柴名柊(しばな・しゅう)とともに、相次ぐ神隠し事件解決の指令を受け、廃園となった保育園へと足を踏み入れる。 人影の絶えたはずのその場所には、まるでついさっきまで子どもたちがここで騒いでいたかのような、生々しい気配が漂っていた。
そこで二人を待っていたのは、ゴスロリ幼女の姿をした妖魔・繰々李(くくり)。 無垢な笑顔の裏に底知れぬ悪意を宿す彼女の罠にかかり、依与と柊は結界の内に囚われてしまう。
始まるのは、終わりの見えない“あそび”。
着せ替え遊び。 おままごと。 そして、その先にある更なる屈辱――。
繰々李の妖しい“あそび”は、子どもの戯れを装いながら、二人の心と誇りをじわじわと侵食していく。
「さて、準備はいいかな?」
「思い出は、作っていくものだから、ね?」
「戦わなくていい。傷つかない。ずっと、二人一緒にいられる」
甘やかな囁きは救いのようでいて、どこまでも残酷だ。 永遠の“保育園”へと誘うその言葉は、二人の選択そのものを揺さぶっていく。
これは“遊び”の皮を被った呪い。 夜は深く、出口は見えない。
依与と柊は、この長い長い夜から抜け出すことができるのか。 それとも――昏い保育園で、永遠にあそび続けることになるのか。
(※2/17 挿絵の倍率を修正しました。)
Chapter1

弥祀 依与(やまつり・いよ)
退魔師の組織、「禊機関(みそぎきかん)」に所属する巫女。数百年続く弥祀神社の巫女の血筋。巫女としての強い信念を持つが、素直になれない 性格。
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柴名 柊(しばな・しゅう)
「禊機関」に所属する退魔師。依与の幼なじみで相棒。禊機関の一員として、冷静で真面目だが、自己評価は控えめ。
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繰々李(くくり)
ゴスロリ幼女の姿をした妖魔。純真な外見に隠された邪悪な本性を持つ。人間の感情や欲望を操ることを楽しむサディスティックな存在。
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リサ
「夜」の雰囲気を漂わせている。
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チカ
「夜」の雰囲気を漂わせている。
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ミカ
「夜」の雰囲気を漂わせている。
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東の空が、ゆっくりと白み始めていた。永遠に続くかと思われた長い夜が、ようやく終わりを告げようとしている。私と柊(しゅう)は、言葉もなく、ただ日が昇ろうとしている空を眺めていた。
ゴーン、ゴーン……。
重く、厳かな鐘の音が、甘いまどろみの中にいた俺の意識を揺さぶる。目の前には、ウェディングドレスに身を包んだ依与(いよ)の、幸せに満ち足りた
「しゅう! しゅう!」
どこからか、懐かしい声が聞こえる。幼い、少女の声だ。意識が、心地よいまどろみの中からゆっくりと引き上げられていく。
散々な目に遭った。だが、このドールハウスでの出来事が、結果的に、俺と依与(いよ)の間にあった見えない壁を、少しだけ壊してくれたのかもしれない。そう思うと、この屈辱も、無駄ではなかった気がした。こ







