説明
アリウス達は火明星(ほあかりぼし)をちょっと出て、滅んだ星の調査に出る。
そこには文明が発展したからこそ、産業革命一気にしすぎたからこそ、滅んだ欠片が眠っていた。
エピソード1
無重力の静寂が支配する、滅びた惑星の軌道上。星々の輝きさえもが、死に絶えた灰色の地表に冷たく反射している。アリウス=シュレーゲルは、足元に広がる虚空を眺めながら、自身の背に宿る半霊半物質の白い翼をわずかに羽ばたかせた。
その隣で、金髪の貴族ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒが、目を疑うような光景を展開していた。彼はエリマキトカゲの威嚇を模した奇妙な首の反らし方をした直後、重力制御をあざ笑うかのような鋭いブレイクダンスのステップを踏んでみせた。
「あショイシイショイショイショーーーー! に゛ょーーーー! アーペイペイペイペイニ゛ョーーーー!」
大気圏すら存在しない真空の宇宙空間において、その動作は物理法則を無視した軽快なリズムを刻んでいる。ちなみに音が発生しないはずの宇宙空間で音を出している。こいつは。
「なぁ、アリウスくん。この滅びの景色、砂に埋もれた廃都市、何年も停電したままの地下シェルター、危険が潜むスカベンジャーの野営地、異形の生物が巣食うハイウェイ、旧世界の遺物である実験施設、どれだと思う?」
ミハエルはブレイクダンスを中断することなく、宙返りを打ちながら問いかけてきた。彼の指先が、眼下に広がる荒涼とした惑星の断片を指し示す。
「砂に埋もれた廃都市、何年も停電したままの地下シェルター、危険が潜むスカベンジャーの野営地、異形の生物が巣食うハイウェイ、旧世界の遺物である実験施設。……どれだと思う?」
アリウスは銀色の髪を宇宙の微風になびかせ、真っ赤な瞳で地表の情報をスキャンした。彼の脳内では、断片的な情報が瞬時にエネルギーへと変換され、論理的な構築物となっていく。
「……どれでもない、あるいは全てだ」
アリウスは落ち着いた口調で、手短に答えた。
「地表の構造を観測する限り、都市の残骸は砂に飲み込まれ、地下構造は崩落している。だが、エネルギー反応の揺らぎは、かつての実験施設が今もなお、異形の生物を培養し続けていることを示唆している。スカベンジャーたちの野営地は、そのハイウェイの死角に配置されているようだね。つまり、ここは『墓標の上に築かれた、終わらない実験場』だ」
その言葉を聞き、背後に控えていた一行がそれぞれのリアクションを見せた。
ミレーヌ=ローゼンベルグは、シルバートリムが施された黒のプレートアーマーを鳴らし、紺碧の瞳で地表を射抜くように凝視した。彼女はすでに数歩先を見据え、戦術的配置を脳内でシミュレートしている。
「実験場、ね。……忌々しい響きね。ラルス、あまり前に出ないで。不必要な形式主義は嫌いだけど、油断は命取りになるわ」
彼女の背後で、黒いコートに身を包んだラルス=ローゼンベルグは、前髪の下から覗く青い瞳に複雑な影を落としていた。父であるミハエルの圧倒的な才能に比べ、自分はまだ未熟だという焦燥感。彼は小さく頷き、母の隣で剣の柄に手をかけた。
「わかってるよ、母さん。……僕だって、足手まといになるつもりはないから」
一方で、漆黒の翼を広げたブラックヴァルキリー・カーラは、黄金の瞳を細めて面白げに鼻を鳴らした。彼女は現代都市の屋台の味を恋しがるような仕草で、無意識に指先を動かしている。
「実験施設? 魂を導く仕事に飽き飽きしていた頃ならともかく、今のわたしには刺激が強すぎるぞ。おい、ミハエル。戦闘が終わったら、この星の『異形』とやらが食べているもの、分析させろ? 意外と甘いものだったりしかねん」
彼女の不謹慎な冗談に、隣に立つ水鏡冬華が呆れたように溜息をついた。巫女装束の袖が宇宙の真空で優雅に揺れる。彼女は幕末から生き抜いてきた経験則に基づき、すでに周囲の霊波動を鋭敏に感知していた。
「頭が病めそうね。カーラ、あんたの食欲にはいつも驚かされるわ。……でも、アリウスさんの言う通り。ここはただの廃墟じゃない。呪禁道が反応してる。この星、まだ『生きている』わ。悪い意味でね」
ミハエルは着地し、ふっと笑みを浮かべた。その表情には、友や家族、そして己の限界を押し広げることへの純粋な好奇心が満ちている。
「全てが正解ってことか。なら、祭りの準備はできているな。……行くぞ。この星に、新しい歴史の刻印を押しに行こうか」
一行は、滅びた惑星の地表へ向けて、光の軌跡を描きながら降下を開始した。宇宙の塵が彼らの霊気に弾かれ、星々がその背後で、かつてない来訪者たちを静かに見守っていた。
最新エピソード
砂の粒子が、かつて文明と呼ばれたものの残骸を執拗に削り取っていた。アリウス=シュレーゲルは、足元に広がる錆びた鉄板の感触を確かめる。そこは、地表を走る巨大なハイウェイの成れの果てだった。アスフ
砂漠の風が、錆びた金属の骨格に埃を積もらせている。アリウス=シュレーゲルは、崩れかけたアーチの下で立ち尽くしていた。彼の銀髪は日差しに反射し、周囲の朽ちた建造物群との対比を強調する。
地下シェルターの壁面に苔蘇が灯りを点じている。薄緑の光が湿った石に吸い込まれ、また反射して、居並ぶ者たちの顔を不確かに照らし出していた。ミハエルは腰を下ろした大判の木箱の上で、膝の上に広げた
苔蘚の灯りが淡く照らす地下シェルターの通路を、一行は進んでいた。湿った石壁には古代の導管网らしき溝が刻まれ、空気は土と錆の匂いに満ちている。何年も停電したままのこの場所で、唯一の光源はアリウ
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