最後の黄金色を、半分こ
Synopsis
理論派で筋力のない狐の少女・紺(コン)と、直感派で食いしん坊なタヌキの少女・ぽんこ。
秋の夕暮れ、二人は古びた大樹のてっぺんに残された、手の届かない「黄金の木の実」を見つけます。紺は「自然落下を待つべき」と計算しますが、ぽんこの激しい空腹に押され、二人は等身大の身体能力だけで実に挑むことに。
紺の道具を使った作戦も、ぽんこの力任せの体当たりも空回りする中、二人はプライドを捨てて「肩車」という一番泥臭い方法を選びます。凸凹な二人が互いの重みを信頼し、限界まで背伸びをして手を伸ばした先で、ついに最高に甘い秋の味覚を分け合う、心温まる小さな冒険の物語。
Chapter1
秋風がからりと吹き抜けるたび、山の頂に近い森は、からからと乾いた乾いた音を立てて波打ちます。
夕暮れ時の光は、まるで濃い蜂蜜のよう。その斜陽を一身に浴びて、一本の古びた広葉樹のてっぺんで怪しく、そして神々しく輝くものがありました。
梢の最も高い場所、細い細い枝の先に、たった一房だけ残された「黄金の木の実」。それはまるで、秋が森に置き忘れていった小さな太陽のようでした。
「……計算上、実の成熟度、現在の風速、および枝のしなり具合を考慮すれば、あと三日。いえ、正確には七十二時間と十五分待てば、重力に従って自然落下してくるはずです」
薄紫色の着物の裾をきっちりと整え、懐から取り出した小さな算盤(そろばん)をパチリと弾いたのは、狐の少女・紺(コン)でした。彼女は何事も「賢く、効率的に」進めることこそが美学。冷たい秋風に、自慢のふかふかな尻尾が揺れるのを、心持ちすました顔で眺めています。
「冬支度の備えとしても、あの実は貴重。だからこそ、無駄な体力を使わずに待つのが最も聡明な選択と言えます」
紺が眼鏡のブリッジを押し上げるような仕草で(眼鏡はかけていませんが)胸を張った、その時でした。
——ぐううぅぅぅ。
静かな森に、およそ緊張感のない、けれど地響きのように立派な音が響き渡ります。
音の主は、茶色いポンチョを羽織ったタヌキの少女・ぽんこでした。
ぽんこは、木の実から一瞬たりとも目を離さず、口元から今にもこぼれ落ちそうなヨダレを手の甲でぬぐっています。
「紺ちゃん、ぽんこのお腹のセンサーがね、あ実は『今が一番おいしいよー』って言ってるの。三日も待ったら、鳥さんにつつかれちゃうか、干からびてシワシワになっちゃうよ?」
「それは野生の勘という名の、ただの空腹でしょう。だいたい、あの高さを見てみなさい。私たちの等身大の身体能力では——」
——きゅ~ぅ、るるる。
今度は、さらに派手な音がぽんこのお腹から鳴り響きました。
ぽんこは、ぽてっとしたお腹をさすりながら、ポケットに入れているお気に入りの丸い石をぎゅっと握りしめ、上目遣いで紺を見つめます。
「……紺ちゃん、いま動かないと、ぽんこ飢え死にしちゃうかも」
「大袈裟な!……はぁ」
空腹という名の、あまりにも不可逆的で理不尽な衝動。
ぽんこの切実すぎるお腹の音に、紺の完璧だったはずの「七十ニ時間待機計画」は、あっけなく音を立てて崩れ去るのでした。
紺は呆れたようにため息をつくと、思考が袋小路に入ったときの癖で、自分のふかふかな尻尾の先をじっと見つめ、毛並みを整え始めました。
「仕方がありませんね。では、即時採取のための作戦を立案します。……ただし、泥臭い真似はナシですよ?」
「やったぁ! さすが紺ちゃん、頭いい!」
こうして、凸凹な二人の、高すぎる秋の味覚への無謀な挑戦が幕を開けたのです。
Latest Chapters
「いたた……。やっぱり、私の計算に『ぽんこの背伸び百倍』という不確定要素を組み込まなかったのは、最大の論理的ミスでした……」
紺は、お尻に伝わるじんわりとした痛みに顔をしかめながら、
「……いいですか、ぽんこ。絶対に、絶対にふらつかないでくださいね。もしあなたがここでステップでも踏もうものなら、私たちの身体は物理の法則に従って、極めて無様に地面へと叩きつけられることになります
「よろしいですか、ぽんこ。物事を解決するには、まず構造を理解し、道具を正しく使うことです」
紺は、足元に転がっていた手頃な小石を拾い上げると、頑丈そうなツタを器用に巻き付けました。即
秋風がからりと吹き抜けるたび、山の頂に近い森は、からからと乾いた乾いた音を立てて波打ちます。
夕暮れ時の光は、まるで濃い蜂蜜のよう。その斜陽を一身に浴びて、一本の古びた広葉樹のてっぺ







