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混沌に揺れる女戦闘員Jの憂鬱-“IP チャレンジ #7”応募作品

混沌に揺れる女戦闘員Jの憂鬱-“IP チャレンジ #7”応募作品

Last Updated: 2026-08-05 03:23:41
By: chokobox
Completed
Language:  日本語12+
4.8
5 Rating
45
Chapters
42.1k
Popularity
94k
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Synopsis

戦闘員と仮面ライダー。 普段交わることがない2人の女性に起きる物語。 2人を結びつけたキーワードは美容雑誌。


Chapter1

深淵図書館「アーカイブ・ゼロ」。


永遠に閉ざされた書架の隙間のような、

冷たく、そしてどこか甘い退廃の香りが漂う空間。

そこが、世界停滞打破結社「エントロピア」の心臓部であり、そして私の寝所でもある。


私は鏡の前に立ち、ゆっくりと身体をなぞった。

極薄の黒い戦闘スーツが、Gカップの豊かな胸の膨らみと、引き締まった五十八センチのウエスト、そして緩やかな弧を描くヒップラインを、まるで陶器の包み紙のようにタイトに拘束している。


鏡の中の自分は、完璧だ。


高校生の頃、あの息苦しい平穏の中で感じていた

「何か足りない」という乾きは、今のこの、死と隣り合わせの緊張感の中に身を置くことで、ようやく凪(なぎ)へと変わった。


かつての私は、委員長として優等生を演じ、空虚な日々をただ消費だけの命として過ごしていた。


あの頃の私は常に憂鬱だった。

だが今は違う。

壊すこと、乱すこと。


この組織が掲げる「リブート」という甘美な概念に、私は自分を捧げた。

名前も、感情も、未来も全てを。


「……また、雑誌を読んでいるの」

私はサイドテーブルに置かれた美容雑誌を手に取る。

戦場に出る前のルーティン。


肌の調子、髪の艶。

ここは悪の組織のアジトであり、理不尽が支配する暴力の揺り籠だ。にもかかわらず、私はここで女としての形を保つことに執着している。


誰かに見られるためではない。

鏡の中の自分が、かろうじて「私」であることを主張し続けるためだ。


ふと、胸の奥で小さな棘が疼く。


仮面ライダーένα(エナ)。

あの忌々しいヒロイン。


破壊を謳う私たちにとっての最大の障害であり、そして、私を最も強く苛む存在。


時折、彼女と戦場で対峙するたび、私は自分自身に違和感を覚える。


彼女を倒さねばならない。

なのに、なぜか彼女のアシストをしてしまうような、奇妙で倒錯した衝動が湧き上がる。


私が彼女を倒すことは、この世界を救うことになるのか、それとも、私のたった一つの「生きる理由」を奪うことになるのか。


「ねえ、ένα(エナ)……あなたが見ている世界は、私が見ているこの灰色の空よりも、少しはマシなの?」


部屋の静寂を切り裂くように、壁の電子モニターが鈍い音を立てて起動した。

警告灯が禍々しい赤色に染まり、広大な私室を血の海のように染め上げる。


モニターの中に浮かび上がったのは、悪魔のような美貌を湛えた女、第二幹部「アリア」の顔だった。

彼女の瞳は獲物を待ちわびる獣のように愉悦し、その唇は狂気を孕んで歪んでいる。


『J、準備はいい? 愛しのエナが、また私たちの庭を荒らしに来たわ』


アリアの声は、歌うような抑揚を持っていた。

それは心地よい響きであると同時に、戦場への死の招待状でもある。


私は持っていた美容雑誌をデスクに放り投げ、黒い手袋を指先まで整えた。

スーツの素材が皮膚と擦れる、艶やかな音が部屋に響く。


『今すぐ広域エントロピー発生炉へ向かって。彼女の首を差し出すのが、今日の私のリサイタルの幕開けよ。もし遅れたら、あなたの大好きなその顔に、一生残る傷を刻んであげるから』


通信が切れる。


心臓が、高揚感で脈打つ。

憂鬱は消え去り、そこには残酷なまでの充足感だけが残っていた。

私は鏡を見つめ、唇に軽く指を添える。


「……ようやく、会えるのね」


仮面ライダーένα(エナ)。

あなたを破壊するのか、それともあなたに破壊されるのか。


私は黒いタイツに包まれた足で床を強く蹴り、アジトの奥深くへと駆けていった。戦場という名の舞台へ向かうために。


廊下の角を曲がると、第二幹部のアリアが待っていた。

彼女は真紅のローブを翻し、戦場への扉の前で不敵に微笑んでいる。


「遅いわよ、私の小さなお人形さん」

アリアが私を指先でなぞりながら、耳元で囁く。

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