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ラグナロクでの男の天照と会ったブラックヴァルキリー・カーラの黄昏

ラグナロクでの男の天照と会ったブラックヴァルキリー・カーラの黄昏

更新時間: 2026-05-02 06:47:09
By: 白い月
連載中
語種:  日本語12+
4.6
7 評分
7
章節数
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简介

ラグナロクに現れた八百万の神、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊に会ったブラックヴァルキリー・カーラがたそがれる。


北欧神話も日本神話も共に多神教だからできる話。


章節1

灰が空を覆い、世界は終わったかのように見えた。ブラックヴァルキリー・カーラは漆黒の翼を広げ、焼け焦げた大地の上空を飛びながら、信じがたい光景を目にしていた。

「まさか、本当にラグナロクが来るとはな」

彼女の黄金の瞳は、かつて栄華を誇ったアスガルドの廃墟をゆっくりと睨みつけていた。神々の都はもはや瓦礫の山と化し、ユグドラシルの名残と思しき巨大な木の幹が無残に折れている。遠くでは、世界蛇ヨルムンガンドの巨大な亡骸が海に沈みかけ、その周囲の海水は毒に冒されて紫色に濁っていた。

カーラはゆっくりと降下し、ヴァルハラの入り口だった場所に足を着けた。ここにはかつて、戦死者たちの魂が集い、宴が絶えることのなかった。今では、黄金の扉は粉々に砕け、ホールは崩れ落ちている。オーディンの玉座さえも、何者かの力によって真っ二つに裂かれていた。

「オーディン様が…死んだ」

彼女の声は渇き、震えていた。かつては全能と思われた主神でさえ、終末の戦いには勝てなかった。フェンリルもオーディンの息子ヴィーザルに殺され、光の神バルドルは暗黒の国ニブルヘイムに囚われたままだ。

ふと、カーラは空を見上げた。ニーズヘッグが死者の魂を運んで飛んでいる。世界の終わりにあって、唯一変わらず役目を果たし続ける存在がいることに、彼女はある種の安堵を覚えた。

「お前だけは、相変わらずだな」

しかし、その安堵もすぐに複雑な感情に変わった。ヴァルキリーとしての彼女の役目は、戦死者の魂をヴァルハラへ導くことだった。だが今、ヴァルハラは崩壊し、オーディンは死亡した。彼女の存在意義そのものが問われる状況に直面していた。

雨が降り始めた。カーラはわずかに微笑んだ。彼女は雨が好きだった。雨音はいつも、彼女の心を落ち着かせてくれた。しかし今日の雨は、灰混じりで、肌に刺さるような冷たさがあった。

「カーラ?」

懐かしい声が背後から聞こえた。振り返ると、ノルニル三人組——運命の女神ウルズ、ヴェルザンディ、スクルドが立っていた。彼女たちはカーラがヴァルハラを去る前、まだ良好な関係を保っていた頃の顔をしていた。

「世界の終わりに、よくこんなところにいたわね」ウルズがゆっくりと近づいてきた。

ヴェルザンディは現在を司る女神として、悲痛な表情を浮かべている。

「運命の糸は全て乱れ切っている。もはや、私たちにも未来は見えない」

スクルドは未来を司る女神として、最も打撃を受けているようだった。

「未来が…ない。これはどういうことだ?」

カーラは深く息を吐いた。

「ラグナロクは予言されていた運命じゃないか? あなたたちなら、とっくに知っていたはずだ」

三人の女神は互いに顔を見合わせた。ウルズが答えた。

「予言は知っていた。だが、これほどの混沌は予想していなかった。世界は終わるべきだったが、新たに生まれ変わるはずだった。しかし今、この崩壊を見て…」

カーラの翼がわずかに震えた。彼女はヴァルキリーを辞めた理由を思い出していた。厳格なヒエラルキー、伝統的な役割の強要——それらすべてに幻滅し、自由を求めてヴァルハラを飛び出したのだ。

しかし今、世界が文字通り終わりを迎えようとしている。自由も束縛も、もはや意味をなさない。

「あなたたちはこれからどうする?」

カーラが問いかけた。

スクルドがうつむいた。「運命の糸が乱れた以上、私たちの役目も終わったのかもしれない」

「違う」突然、ヴェルザンディが強い口調で言った。

「運命が乱れたからこそ、新たな運命を紡ぐ必要がある。これが私たちの新しい役目だ」

カーラはその言葉に考え込んだ。新たな運命——それはつまり、まったく新しい世界の秩序を意味する。

彼女の目は遠くの廃墟を見つめた。

「私は…ヴァルキリーを辞めた」カーラはゆっくりと言葉を紡いだ。「もう魂を導く役目からは離れた。だが、生きている者を守ることを選んだ」

ウルズが理解を示すように頷いた。「あなたの選択は正しかったのかもしれない。今、必要なのは死者の導き手ではなく、生き残る者たちの守護者だ」

雨が強くなり、カーラの銀白色の髪を濡らした。彼女はかつての仲間たちを見つめながら、ある決意を固めていた。

世界は終わった。しかし、終わりは常に新たな始まりを意味する。ラグナロクは破壊であると同時に、再生の機会でもあった。

「私は下界に戻る」カーラが宣言した。「生き残った者たちがいる限り、守る価値のあるものはある」

ノルニルの三人は静かにそれを受け止めた。運命の女神たちでさえ、これからの世界の行く末を予測できない今、それぞれが自分の道を選ぶしかないのだろう。

カーラは漆黒の翼を大きく広げた。雨滴が翼の表面を伝い落ち、地面に小さな滴りを作る。彼女は最後に崩壊したヴァルハラを見つめ、深く息を吸った。

「さようなら、アスガルド。そしてありがとう、すべての思い出に」

彼女の翼が一閃し、灰混じりの雨空へと飛び立った。背後には、世界の終わりを見つめる運命の女神たちの姿が残された。

カーラは飛びながら考えた。

(下界は無事だろうか? )

ラグナロク後の世界は混沌としている。しかしカーラは、その混沌の中にこそ、真の自由と可能性があると信じていた。古い秩序が崩壊した今、新たな秩序を築くチャンスが訪れている。

彼女は高度を上げ、より広い視野で世界を見渡した。ところどころに、かすかな生命の気配が感じられる。生き残った者たちが、この荒廃した世界で必死に生き延びようとしている。

ブラックヴァルキリーとしての力——相手に特性を与える「ブラックヴァルキリー・ハーモニー」は、これからの世界でより重要な意味を持つだろう。破壊された世界を再建するため、人々に新たな力を与え、希望を取り戻す手助けができる。

雨がやみ、灰の雲の合間からわずかな陽光が差し込んだ。カーラはその光を見つめ、小さく微笑んだ。

たとえ世界が終わろうとも、生命と希望は永遠に続く。彼女はその証として、これからも飛び続けるだろう。

翼を一杯に広げ、カーラは新たな世界へと飛び立った。

最新章節

第7章 おさらばで、ございます

次の日。

ラグナロクの劫火が去った後、ヴァルハラは静寂に包まれていた。かつて神々の宴が催され、戦士たちの歓声が響き渡った宮殿は、今や煤けた石柱と割れたガラスの残骸でしかない。空は常

最後更新: 2026-05-02
第6章 不敬だぞバルドル!

「ああ、そうだ…」

カーラは、胸の内の霧が晴れていくような感覚を覚えていた。

(これが、わたしが求めていたものなのかもしれない)

秩序も、伝統も、運命さえも

最後更新: 2026-05-02
第5章 瀬織津姫、ウガヤも降臨

「癒しも破壊も、選択はあなた方次第だ。我はただの道標に過ぎぬ」

天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊の言葉は、ヴァルハラの瓦礫の中に静かに響き渡り、やがて吹き抜ける風に溶けていった。その瞳

最後更新: 2026-05-02
第4章 ケンカ別れ

灰と煙の匂いが立ち込める中、ブラックヴァルキリー・カーラは漆黒の翼をゆっくりとたたみながら、崩れ落ちたヴァルハラの入り口に立っていた。かつて輝きに満ちていた黄金のホールは、今や無残な瓦礫の山と

最後更新: 2026-05-02

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