Sinopsis
前書いた魔神の日の続編的位置づけの話になった。
けどこれ単独でも読める。はず!
Capítulo1
魔導機関『白緑の翼』の本部は、ヴァーレンス王都の中心部に聳え立つ塔の形をしていた。外壁は白亜の石材でできており、所々に緑の魔導線が光る模様が刻まれている。塔の頂上には巨大な水晶が輝き、王国全体の魔導ネットワークの中枢として機能していた。
アリウス・シュレーゲルは自分の執務室で、意味消滅魔法ナルキッソスに関する古代文書を広げていた。銀色の髪が机の上にさわり、真っ赤な目は複雑な魔法式に集中している。
「使いこなさないとね……せっかく魔神の日で得た新魔法なんだ。自己言及のパラドックス……これが鍵になるのか」
彼が呟くと、ドアが勢いよく開かれた。
「おーい、アリウスさん! 魔神の日について調べてるって聞いたけど、本当?」
天馬蒼依が跳ねるように部屋に飛び込んできた。ミニ丈の巫女装束が軽やかに翻り、黒い姫カットが揺れる。大きな胸がより強調される格好だが、本人は全く気にしていない様子だ。
アリウスは忙しそうに顔を上げた。
「蒼依か…ちょうど良かった。これは古代マケドニア時代の書記官、エウメネスから預かった資料なんだ。魔神の日と何か関係があるかもしれない」
「えっ、あの古代の?」
蒼依は興味津々に机に近寄り、資料を覗き込んだ。
「でもまずはみんな集まらなくちゃね。サリサたちも呼んでくる!」
彼女は駆け出そうとしたが、アリウスに制止された。
「待ってくれ。まずは整理しないと。魔神の日は二十一世紀の地球で起きた大災害だ。21世紀に日本に輸送されたアンティキティラの古代PCでの悪魔の召喚失敗がきっかけで東京が壊滅し、世界が変わってしまった」
その時、ドアが再び開き、サリサ・アドレット・ティーガーが現れた。銀色の長髪とホワイトライガーの耳が特徴的で、右目は赤、左目は黄金色に輝いている。
「おや、楽しそうな話に乗り遅れるところだったわ」
サリサは遊び心のある笑みを浮かべながら中に入ってきた。
「魔神の日と言えば、あの悪魔バラムの話よね? 元主天使で四十の軍団を率いる地獄の王だとか」
アリウスはうなずいた。
「正確には、バラムを召喚しようとした人間の失敗が災いの始まりだった。だが、我々が直接介入する義理はないと思っていた」
次の瞬間、窓辺に漆黒の翼が現れた。ブラックヴァルキリー・カーラが優雅に室内に舞い降りてきた。ゴールドのアクセントが効いた黒の鎧が月光にきらめく。
「そう言いながら、アリウスはやっぱり気になって調べてたんだろう?」
ブラックヴァルキリー・カーラはからかうような口調で言った。
「ヴァーレンスの平和ばかりじゃつまらんってのはわかる。わたしは食べ物さえあればいいが」
「そんなことない」
アリウスは少し照れくさそうに資料を整理した。
「ただ、意味消滅魔法ナルキッソスと何か関連が…」
ドアがそっと開き、月日リアナが控えめに入ってきた。黒い髪と赤い目が特徴的で、どうしても目立たないようにしているのが伝わってくる。
「あの…みなさん、お邪魔ですか? エウメネスさんが何か重要な発見をしたそうで…」
「ちょうど良かった」
アリウスは立ち上がり、一同を集めた。
「どうやら魔神の日と意味消滅魔法には深い関係があるらしい。エウメネスは古代マケドニア時代の書記官だが、彼の研究が何か手がかりになるかもしれない」
サリサが首をかしげた。
「でもなぜ今更? 魔神の日はとっくに過去の話じゃない」
「そうかもしれない――」アリウスは真剣な表情で言った。
「でも、この魔法が完成すれば、あのような災害を未然に防げるかもしれない。自己言述のパラドックスを利用した意味消滅…これは単なる攻撃魔法ではない」
天馬蒼依が興奮して飛び跳ねた。
「すごい!それで悪魔を消滅させられるの?」
「理論上はね」
アリウスは慎重に言葉を選んだ。
「だが、非常に危険な魔法だ。使用者自身も巻き込まれる可能性がある」
カーラが興味深そうに腕を組んだ。
「ふん…自己言及の罠か。ヴァルキリー時代に似た話を聞いたことがある。鏡に映った自分に恋して死んだ少年、ナルキッソスの話だ」
「うん、君があの時導いたように、まさにそれだ」
アリウスの目が輝いた。
「ナルキッソス魔法は、対象を無限の自己言及のループに閉じ込める。鏡の中の鏡のように、永遠に自分自身を映し続けることで、最終的には存在の意味そのものを消失させる」
月日リアナが不安げに言った。
「それって…とっても危ない魔法ですね。使い方を間違えたら大変なことになりそう」
サリサがにっこり笑った。
「でも興味深いわね! 自己言及のパラドックスが現実に影響を与えるなんて。本で読んだことはあるけど、実際に使える魔法があるなんて。それってわたしが霊気低い奴に負ける可能性ある魔法じゃん。わくわくする」
その時、ドアが再び開き、エウメネスが現れた。漆黒の短髪に鋭い眼差し、整った顔立ちながら常に無表情を保っている。
「遅れて申し訳ない」
エウメネスは静かに言った。
「カルディア時代の古文書を調べていたら、興味深い記述を見つけた」
アリウスは期待に胸を膨らませてエウメネスを見た。
「何か見つかったのか?」
エウメネスは羊皮紙の束を広げた。
「魔神の日に関与した悪魔バラムだが、彼はもともと主天使だった。地に落ちる前は、『見られずに見る方法』を教える存在だったという」
カーラが眉を上げた。
「見られずに見る?それはヴァルキリーの能力に近いな」
「そうだ」エウメネスはうなずいた。
「そして面白いことに、この『見られずに見る』という概念が、意味消滅魔法ナルキッソスと深く関連しているようだ」
天馬蒼依が首をかしげた。
「どういうこと?」
エウメネスは説明を続けた。
「ナルキッソスという魔法は、対象を自己言述のループに閉じ込める。つまり、自分自身を見つめ続けさせ、外界から孤立させる。これは『見られずに見る』の逆の概念ではないか?」
アリウスは考え込みながら顎に手を当てた。
「つまり…バラムの元々の能力が、魔神の日を経て、あるいはそれに反発する形で、意味消滅魔法として結実した可能性があると?」
「その通りだ」
エウメネスの目がかすかに輝いた。
「古代マケドニアの資料にも、類似の概念が散見される。自己の内省の果てにたどり着く無の境地…これは哲学的な概念であると同時に、極めて実用的な魔法になり得る」
サリサが興奮して白虎の耳をピンと立てた。
「すごい!それでね、もしこの魔法が完成したら、魔神の日みたいな災害を防げるかもしれないじゃない?」
「そう願いたい」
アリウスは慎重な口調で言った。
「だが、この魔法は諸刃の剣だ。使用者の精神状態によっては、自分自身がナルキッソスの罠にかかる可能性もある」
リアナが心配そうに言った。
「それじゃあ、とても危険ですね…試すのはやめた方がいいのでは?」
カーラはふんっと鼻を鳴らした。
「危険を承知で挑むからこそ意味があるんだよ。ヴァルキリー時代だって、安全ばかり求めてたら何もできなかった」
エウメネスが資料をめくりながら付け加えた。
「記録によれば、この種の魔法は過去にも試みられていたようだ。『名もなき王』の逸話や『静かの図書館』の伝説は、自己言述魔法の失敗例かもしれない」
アリウスは深く考え込んだ。
「まるで…歴史そのものが、この魔法の危険性を警告しているようだな」
天馬蒼依が突然閃いたように手を叩いた。
「でもね、みんなで一緒に研究すれば大丈夫じゃない?一人でやるから危ないんでしょ?」
サリサが同意してうなずいた。
「蒼依の言う通りよ。知恵と力を合わせれば、きっと安全に魔法を完成させられるわ」
「そうだな」
アリウスは初めて笑顔を見せた。
「我々ウィザード組織『白緑の翼』の本来の目的でもある。魔力を平和的な目的に役立てること」
エウメネスが古代の地図を広げた。
「それならば、私は古代マケドニア時代の知識を提供しよう。ディアドコイ戦争の記録や、アレクサンドロス大王周辺の出来事にも、ヒントが隠されているかもしれない」
カーラは翼を軽く広げた。
「ヴァルキリー時代の知恵も役立つだろう。魂の本質や、存在と非存在の境界については詳しいからな」
リアナが少し自信なさそうに言った。
「私はそんなに役に立たないけど…でも、普通の人間としての感覚なら提供できるかもしれません」
アリウスは一同を見渡し、決意に満ちた表情で言った。
「よし、これで決まりだ。我々は意味消滅魔法ナルキッソスの完成を目指す。そして、魔神の日のような災害が二度と起きないようにするのだ」
彼は窓の外を見やり、ヴァーレンス王国の街並みを見下ろした。魔導灯がゆらめき、人々が平和に暮らす街並みが広がっている。
「しかし」
アリウスは静かに付け加えた。
「この研究は極秘で進めなければならない。もし悪用されるようなことがあれば、取り返しのつかないことになる」
サリサが真剣な表情でうなずいた。
「もちろんよ。わたしたちの目的は平和のためだからね」
エウメネスは古代の印章を取り出した。
「では、誓いを立てよう。この研究が善意のもと進められることを」
一同は環状に立ち、それぞれの手を重ねた。アリウスの冷静な手、サリサの柔らかい手、カーラの鎧に覆われた手、リアナの小さな手、そして天馬蒼依の温かい手。
「魔神の日の悲劇を繰り返さないために」
「意味消滅魔法で平和を守るために」
「我々の知恵と力を結集して」
彼らの誓いの言葉が、魔導機関『白緑の翼』の執務室に静かに響き渡った。窓の外では、ヴァーレンス王国の夕暮れが訪れようとしていた。
Últimos capítulos
「でも、君への用は済んだ」
アリウスは静かに告げると、消えかかった魔方陣を冷ややかに見下ろした。その声には、先程までの研究者の探究心とは全く異なる、氷のような温度が宿っていた。
魔導機関「白緑の翼」の地下最深部、六角形の召喚室に冷気が満ちていた。黒曜石の壁面には古代語の刻印が這い、床の魔方陣は青白い燐光を放っている。アリウス=シュレーゲルはその中心に立ち、銀髪を静かに
彼が次の頁をめくると、そこには奇妙な円形の砂漠の絵が描かれていた。
「ある朝、隣国の年代記編者がペンを走らせていると、昨日まで記していたはずの『アウレリア王国』という単語の意味が、ど
魔導機関「白緑の翼」の最深部にある円形の研究室は、無数の古書と最新の魔導器機が同居する奇妙な空間だった。アリウス=シュレーゲルは銀髪を少しかきあげながら、黒曜石の机の上に広げた古い帳簿をじっと睨
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