Tóm tắt
主人公の陽太は突然異世界に転移し、不安と混乱の中で可愛くてセクシーなスライム娘・ルルと出会います。最初の危機を共に乗り越える中で、陽太は自らの異世界の力を覚醒させ、二人は新たな冒険の道へ踏み出すことを決意します。
Chương1
――ズキリ、と左胸が疼いた。
授業中のことだった。数学の教師が黒板に無機質な数字を這わせている最中、僕は突然、心臓を冷たい手で掴まれた気がした。鉛筆が机に転がり、視界の端が波打つ。クラスメイトのざわめきが遠くなり、鼓動だけが大きくなる。
「……おい、大丈夫か?」
隣の席の山田が肘で小突いてくる。唇が動いているのに、声が遅れて届く。まるで水中で聞いてるみたいだ。
「ああ、ちょっと貧血っぽい」
答えた直後、黒板にひびが入った。チョークが「キイッ」と悲鳴を上げて折れる。亀裂は止まらず、壁を這い、天井へと走る。照明が瞬き、蛍光管が青白く閃く。
「なに……」
誰かの声がしたとき、床が抜けた。体が浮き、重力が逆を向く。教室の風景が縦に伸び、友達の顔が糸のように細くなる。息が詰まり、耳が詰まり、――次の瞬間、僕は真っ暗な穴の底に落ちていた。
意識が戻ったのは、鼻先に草の匂いを感じたときだった。土と腐葉と、湿った空気。耳に届くのは、自分の荒い呼吸と、遠くで鳴く鳥の声だけ。
「……ここ、どこ?」
のろのろと上半身を起こす。制服の袖が泥で茶色く染まっている。周囲は見慣れない森だった。木の幹は太く、枝が空を縫うように絡み合い、薄明るい緑のフィルターが地面を覆っている。太陽の位置も、時間の感覚も、おかしい。
立ち上がろうとして、足がぬるりと滑った。見下ろすと、そこにいた。
「あ、気づかれたぁ」
半透明の、水玉模様の生き物。人の形をしている――いや、しているつもりだ。輪郭がゆらゆらと揺れ、胸と腰の辺りだけ妙に実体がある。肌は薄い青で、内部に光の粒が渦を巻いている。大きな瞳は瑪瑙色で、まばたきするたびに睫毛がぷちゅんと音を立てる。
「……スライム?」
「スライム娘だよ? 『娘』を忘れると悲しいなぁ」
ぷくっと頬を膨らませる。すると、胸のふくらみも一緒に揺れた。視線が逃げる間もなく、彼女――いいや、それはにこりと笑った。
「あなた、異世界の匂いがする」
「……匂い?」
「うん。知らない土地の、知らない空気。それに――」
ぐい、と顔を近づけてくる。鼻先がくっつきそうになる。冷たくて、じめっとした触感が頬に纏わりついた。
「すごく美味しそうな緊張感」
「美味しいって……俺、食べられるの?」
「食べたりはしないよ? でも、かじっちゃいたくなるくらい、ドキドキしてる」
指先で僕の胸をつんつん突く。制服の布を通して、心臓の鼓動が伝わる。本当に、まるで音を立てて鳴っているみたいだ。
――ガサッ、と茂みが揺れた。
「……やばい」
スライム娘の表情が一瞬で引き締まる。彼女は僕の手を掴む。べちゃり、と冷たい感触が指を包んだ。
「逃げて。あれ、きた」
「あれ?」
問い返す間もなく、茂みが割れた。飛び出したのは、犬ほどの大きさの――蛙だった。だが、表皮は岩のようにごつごつし、目は赤く燃えている。口を開けると、中に並ぶ牙が岩を砕く音を立てた。
「ガシャアアアッ!」
「うわっ」
蛙が飛びかかる。僕は咄嗟にスライム娘を抱きかかえ、横に転がった。地面の石が肘を削り、熱い痛みが走る。だが、今はそれどころじゃない。
「武器……ないのか?」
「私、体が柔らかいから、殴っても効かないの」
「じゃあ、魔法とか?」
「魔法も、まだ覚えてない……」
情けない声で呟く。一方、岩蛙は再度体を低く構え、今度は舌を弾くように射出してきた。肉厚な舌が僕の足首を巻きつける。一瞬で体が浮き、地面を引きずられる。
「ぐあっ」
「だめぇ!」
スライム娘が飛び出し、舌に噛みつく。べちゃっと音を立てて、彼女の体が薄く広がる。岩蛙が嫌そうに舌を振り、彼女を振り払った。だが、その隙に――
――胸の奥で、なにかが熱を帯びた。
「……熱い」
足首の痛みより、内側から湧き上がる熱の方が強い。喉の奥が渇き、目の奥が白く光る。握りしめた拳に力が漲り、血管がどくどくと脈打つ。
「あなた……光ってる」
スライム娘が目を丸くする。僕の体から、淡い銀の粒が立ち上っていた。まるで汗が光るように、無数の光が渦を巻き、空へと消えていく。
「行っけえええっ!」
叫んだ瞬間、足首の舌が弾けた。岩蛙が悲鳴を上げ、後ろに吹っ飛ぶ。地面を転がり、幹に激突して動かなくなる。
ぽかん、と口を開ける僕の前で、スライム娘がぱちぱちと拍手した。
「すごい、すごい! 初めて見る力!」
「……俺、やったの?」
「うん! あなた、異世界の力を覚醒させたんだ」
彼女はにじり寄ると、僕の手の甲に自分の手を重ねる。冷たくて、でも不思議と安心する感触だった。
「名前、まだ聞いてなかった」
「……高橋、陽太」
「陽太くん、私はルル」
微笑むと、唇の端からぷちゅんと泡が弾けた。
「ルル、ちょっと訊きたいんだけど」
「なぁに?」
「この世界、どうやって生きていけばいい?」
するとルルは、ふわりと空を見上げた。木漏れ日が彼女の半透明の体を通り抜け、虹を作る。
「まず、一緒に歩こう。歩けば、道はできる」
「……それって、少し都合いい言い回しじゃない?」
「天然っぽく言わないと、緊張してる陽太くんが逃げちゃうでしょ?」
ぺろりと舌を出す。思わず笑みが漏れた。胸の奥の熱はまだ残っているが、もう怖くない。
「じゃあ、歩こうか」
「うん!」
ルルが手を引く。ぬるり、と指が絡まり、離れない。森の奥、光の射す方へ、一歩踏み出したとき――
背後で、岩蛙の体が微かに蠢いた。がらり、と岩の皮が剥がれ、下から黒い煙が噴き出す。煙は空へ昇り、何処かへ消えていく。
ルルが、ちらりと振り返る。
「……まだ、終わらないね」
「え?」
「なんでもない。さあ、行こう。陽太くんの世界が、待ってる」
手を繋いだまま、二人は森の奥へ歩き出す。風が梢を揺らし、新しい冒険の匂いを運んできた。
Chương mới nhất
――朝の匂いが、腹の底まで届いた。
空はまだ薄い桃色で、街の屋根がぬるりと光っている。俺は石畳の端っこに腰掗けて、革袋を膝の上に置いた。中身は干し肉と硬いパン
――桃色の世界は、急速にその彩度を増していた。
陽太はルルを背負い、石畳を蹴り続ける。
だが、足元に広がる桃色の液は、もはや足首を没するほどに水位
――胃袋が自分の存在を訴えていた。
最初は小さな針で突かれる程度だったのに、いまは野太い鐘を撞かれている。陽太は森の出口に立ち、膝を抱えるようにしてため息をついた。
「
――屋敷の大広間は、燭台の火が「プチッ」と音を立てて跳ねるほど静かだった。
中央に描かれた円環の紋様が、ルルの桃色の体液でぬらぬらと光る。ぼくはその端に跪き、







