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神刀と黒電話と忘れ去られた廃村-“お題チャレンジ #10:「終末サバイバル」”応募作品

神刀と黒電話と忘れ去られた廃村-“お題チャレンジ #10:「終末サバイバル」”応募作品

Son Güncelleme: 2026-07-15 04:31:01
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Rapor

Özet

目を覚ますと、小清水由美は見知らぬ部屋(昭和を思わせる木造の住居の布団の上。実は使われていない民宿の中)に居た。 彼女の衣装はロングスカートの清楚なドレス。旅行用にちょっとおめかししたものだ。 「たしか私は里子(親友)と一緒に旅行をしていたはずなのに……」と、ここに来るまでのことを思い出そうとするも、全く思い出せない。


ふと部屋を見渡す。人の気配は全くない。今時全く見ないダイヤル式の黒電話が鳴っている。 恐る恐る電話に出ると「ボクは駄目だった。君はどうか生き延びて。今すぐそこから出て祠を探すんだ」との謎の声が。由美はその言葉を信じ、(なんとなく不吉な気がする)この建物(民宿)から(特に家探しなどをせず)すぐに出て、祠を探すことにする。


この建物から出た由美が見たのは、人どころか生き物の気配すら全くしない、昭和時代の廃村のような光景だった。 何かの足音とうめき声のようなものが聞こえたので、咄嗟に物陰に身を隠すことに。


恐る恐る物陰から身を乗り出した由美が見たのは、よろよろと歩く人影だった。 自分の他にも人が居たのかと一瞬喜んだものの、人影の様子がおかしいことは直ぐに分かった。生きているという感じが全くしないのだ。


由美は足音を立てずに(はからずも内気で内向的で人見知りな彼女の特技が役に立った)静かに人影から遠ざかる。そして、他にもああいった人影がここには居るのではないか、という恐ろしい推測をしてしまい、恐怖で失禁しそうになるも、なんとかこらえる。悲鳴をあげそうになった口を咄嗟に両手で押さえた。


果たして由美はこの忘れ去られた廃村で24時間(以上)生存し、無事脱出できるのだろうか?


“お題チャレンジ #10:「終末サバイバル」”応募作品です。 今日のテーマ: 「お題チャレンジ」 お題チャレンジ #10:終末が訪れた街。忘れ去られたこの場所で、24時間を生き抜くことお題チャレンジ:終末サバイバル 今回のテーマ:終末が訪れた街。忘れ去られたこの場所で、24時間を生き抜くこと


この作品は、私自身が全プロットを考案し、「小説家」【Gemini 3.0 Flash】で執筆しました。 扉絵はGeminiで生成しました。


Bölüm1

第一章 見知らぬ天井


薄暗い視界の端で、天井の木目が歪んでいた。


古い杉の板だろうか。雨漏りのシミが黒い獣の輪郭を描いている。鼻腔を突くのは、ひどく湿った藁の匂いと、カビの胞子が舞うような埃っぽさ。背中に感じるのは、中綿の潰れた煎餅布団の硬さだった。


起き上がろうとして、体にまとわりつく布地に気づく。

いつもの制服ではない。旅行のために新調した、お気に入りのロングスカート。胸元を締め付けるシャーリングが、呼吸のたびにきつく皮膚を圧迫する。指先が鎖骨の間を彷徨い、そこにぶら下がったラピスラズリの守護石に触れた。青い鉱物は氷のように冷え切っている。


「……さと、こ?」


声を出したつもりだったが、乾いた喉から出たのは掠れた呼気だけだった。


頭の芯に、冷たい霧が立ち込めている。

思い出せない。里子と二人で、電車の切符を握りしめていたはずだ。改札を抜けて、窓の外に見える山並みを眺めて――そこから先の記憶が、完全に抜け落ちている。どうして自分がこんな、見知らぬ和室に倒れていたのか。


部屋を見回す。

四畳半ほどの狭い空間。壁の砂はところどころ剥げ落ち、畳はすっかり変色して黄色い砂のようになっている。錆びた金具のついた箪笥が一つ。窓の外は、どんよりとした灰色の空が広がっているだけで、電柱も道路も見えない。


その静寂を切り裂いて、金属的な音が鳴り響いた。


ジリリリリ、と鼓膜を震わせる高い音。

今時見かけることもない、黒いプラスチック製のダイヤル式電話機。部屋の隅、埃を被った小さな木机の上に鎮座していた。コードは壁の黒い保安器に直接繋がっている。


呼び出し音は容赦なく、狭い部屋の空気を震わせ続ける。


心臓が肋骨の裏側で激しく鐘を打つ。

出たくない。しかし、このまま音が鳴り続ければ、何か恐ろしいものが引き寄せられてしまうのではないかという予感が、足を動かさせた。


膝を擦り合わせるようにして畳を這い、受話器に手を伸ばす。ベークライトの冷たい質感が指先から全身に伝わった。


「……もし、もし」


受話器を耳に押し当てる。

返ってきたのは、激しい雑音だった。砂嵐のようなザラザラとした音の向こう側から、若い男の声が聞こえる。ひどく息が荒く、途切れ途切れだった。


『……ぼくは、だめだっ……た……』


「え……?」


『きみは、どうか、いきのびて。いますぐそこをでて、ほこらを……ほこらをさがすんだ』


「あの、あなたは誰ですか? ここはどこ――」


『すぐに出ろ! 奴らが――』


プツリ、と接続が切れた。

耳の奥に残ったのは、冷たい無音だけだった。


受話器を置く手が小刻みに震える。

受話器の表面に、自分の指紋が白く残っていた。

謎の言葉。しかし、その声に宿っていた切迫感は、本物だった。直感が告げている。この部屋に、この建物に留まり続けることは、死を意味するのだと。


部屋の引き戸に手をかける。建て付けが悪いのか、軋む音を立てて戸が数センチ開いた。

隙間から覗く廊下は、薄暗く長い。床板のあちこちが腐り落ちており、かつてそこが「民宿」と呼ばれる宿泊施設だったことを示す、擦り切れたスリッパが数足、乱雑に転がっていた。


家探しをする余裕などはなかった。

何が潜んでいるか分からない暗闇に踏み込むより、外に出るべきだ。


由美はすり足で廊下を進んだ。

内気で、常に他人の気配を伺いながら生きてきた彼女は、無意識のうちに足音を殺して歩く術を身につけていた。つま先から静かに着地し、体重をゆっくりと移動させる。古い板張りの廊下は、彼女の体重を受けてもしなるだけで、音を立てなかった。


玄関と思われる場所に着く。引き戸のガラスは全て割れ、そこから外の空気が流れ込んでいた。

外へ一歩踏み出した瞬間、肺に流れ込んできたのは、生ぬるい、しかしどこか腐敗した泥のような匂いだった。


目の前に広がっていたのは、緑に飲み込まれかけた廃村だった。


アスファルトの道路はない。雑草が背丈ほどに伸びた土の道が、崩れかけた木造の家々の間をうねるように伸びている。

どの家も屋根が潰れ、柱が不自然な角度で折れていた。昭和の時代で時間が止まったかのような、静寂の底に沈む集落。


小鳥のさえずりも、虫の羽音もない。

ただ、湿った風が錆びたトタン板を小さく揺らす音だけが、遠くで聞こえる。


(里子……どこにいるの……?)


親友の名前を心の中で呟く。彼女の明るい笑顔を思い浮かべようとするが、目の前の灰色の景色がそれをかき消してしまう。


その時、背後の小道の奥から、異質な音が聞こえた。


――ベシャリ。


濡れた泥を叩くような、不快な足音。

続いて、喉の奥から空気を無理に押し出すような、低い呻き。


「……ッ」


喉から飛び出そうになった悲鳴を、両手で口を覆うことで防いだ。

ドレスの長い裾を両手で持ち上げ、泥で汚れるのも構わずに、近くの半壊した民家の軒下に身を潜める。崩れた土壁と、生い茂る葛の葉が彼女の体を隠した。


眼鏡の奥の瞳を凝らし、隙間から音のする方向を見つめる。


草むらを分けて、何かが現れた。

人影だった。

一瞬、胸の中に安堵の光が兆した。自分以外の人間がいる。助けを求められるかもしれない。


しかし、その期待は一瞬で凍りついた。


その人影の動きは、歩行とは呼べないものだった。

右足を引きずり、体全体を大きく左に傾けながら、ただ慣性に従って前に倒れ込むように進んでいる。

身につけているのは、泥と赤黒いシミに汚れた野良着。露出した首筋は土気色に変色し、皮膚の下の血管が黒く浮き出ている。


何より異常なのは、その頭部だった。

首が、あり得ない角度で真横に傾いている。まるで、骨が完全に砕けているかのように、肩の上に頭が乗っかっているのだ。


生きている人間の気配が、爪の先ほどもしない。


その目は開かれていたが、瞳孔は大きく散開し、濁ったガラスのようだった。焦点の合わない視線が、虚空を彷徨っている。


(あれは……何……?)


歯がガチガチと鳴りそうになるのを、奥歯を噛み締めて耐える。

あれが人間ではないことは、生物としての本能が理解していた。死んでいる。確実に死んでいるのに、動いている。


風が向きを変え、あの人影の側から、すさまじい死臭が漂ってきた。

胃の底から酸っぱいものが込み上げてくる。由美はきつく目を閉じ、胸元を両手で押さえた。豊満な胸が恐怖で激しく上下し、シャーリングのドレスが悲鳴を上げるように擦れる。


人影は、由美が隠れている民家の前で、ふと足を止めた。

首が、ギチ、ギチと音を立ててさらに傾く。濁った目が、彼女の潜む草むらに向けられた。


血の気が引いていく。

恐怖が急速に下腹部へと集まり、膀胱が強烈に収縮した。

(だめ、ここで漏らしちゃったら、匂いで気づかれる――)

内気な彼女にとって、そのような恥辱は死にも勝る恐怖だった。両腿をきつく密着させ、スカートの下で脚を震わせながら、必死に尿意をこらえる。冷たい汗が背中を伝い、太ももの内側を流れていく。


生きた心地がしなかった。

一秒が一年のように長く感じられる。


やがて、人影は興味を失ったのか、再びよろよろと足を引きずりながら、道の先へと消えていった。


足音が完全に聞こえなくなるまで、どれほどの時間が経っただろうか。


ゆっくりと息を吐き出す。

尿意はまだくすぶっていたが、なんとか最悪の事態は免れたようだった。

しかし、恐怖が去ったわけではない。


(あんなのが……他にもいるんだ……)


もし、この村全体にああいった「死人」が徘徊しているのだとしたら。

隠れ場所を見つけられなければ、自分もあのようになってしまう。


『ほこらをさがすんだ』


頭の中で、あの電話の声が繰り返される。

この地獄のような村から逃れる鍵は、その「祠」という場所にあるに違いない。


由美は濡れた草むらから這い出た。

ロングスカートの裾はすでに泥まみれになり、青いラピスラズリの首飾りが胸元で小さく揺れている。


目を凝らすと、村を囲む山の斜面に沿って、崩れかけた石段が上へと伸びているのが見えた。その先は、深い霧に包まれていて見通せない。


(里子、お願い、無事でいて……)


親友の無事を祈りながら、由美は足音を立てないよう、静かに、慎重に、異形の影が潜む廃村の奥へと歩き出した。

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