เรื่องย่อ
王国と隣国での失敗後、ハマタケは再び王国の拠点へ戻ってきて豆苗を育て始めるも
水やりをサボって育成の段階で大失敗してしまい
ハマタケは酒に溺れる自堕落な生活を送っていた
บท1
サビ付いたシャッターの隙間から、湿った秋の風が入り込む。廃工場の空気は重く、油と埃と、それから安酒の入り混じった饐えた臭いが充満していた。
かつては機械の轟音が響いていたであろう広い空間に、今は不格好なプラスチック容器が整然と並んでいる。そこから申し訳程度に顔を出しているのは、元気がなくひょろひょろと伸びた「豆苗」の残骸だ。
「……終わったな」
西田は、膝の上に置いた通帳の数字を見つめ、力なく呟いた。数字は残酷だ。彼らが生きていくための「武力」となるはずの資金は、豆苗の栽培キット代に消え、残ったのは雀の涙ほどの端数。
「何が『非合法な豆苗ビジネス』ですよ。ただの園芸じゃないですか。しかも失敗だし」
視線の先では、この計画の首謀者である男――ハマタケが、一升瓶を抱えてコンクリートの床に転がっている。32歳、マフィアの皮を被った奇人。自称「天才」の頭脳は今、安物の焼酎によって完全に機能停止しているように見えた。
「うう……あー、腹たつわぁ。なんで豆苗、あんなにひょろひょろなんや……。わしの計算では、今頃この工場は緑のジャングルになっとるはずだったんだがや……」
ハマタケが寝返りを打つと、空のワンカップがカランと音を立てて転がった。うわ言のように繰り返される怪しいエセ名古屋弁。西田はもう、それを指摘する気力も残っていない。
工場の隅に置かれた、いつ拾ってきたかも分からないブラウン管テレビが、ザーザーと砂嵐混じりの映像を映し出していた。地方ニュースのキャスターが、妙に明るい声で季節の話題を伝えている。
『――続いてのニュースです。今秋、記録的な猛暑の影響により、山の王様・松茸が空前の高騰を見せています。市場では一本数万の値がつくことも珍しくなく……』
その瞬間。
床に転がっていたハマタケの体が、バネ仕掛けの玩具のように跳ね上がった。
「……ま、松茸?」
顔を上げたハマタケの目は、泥酔していたはずなのに爛々と輝いている。いや、輝いているどころではない。西田の目には、その瞳の中にくっきりと「¥」のマークが浮かび上がっているのが見えた。
「西田ぁ! 聞いたか! 今、数万円って言ったがや! 一本で! 豆苗何パック分だと思っとるんだ!」
「はぁ……。まあ、高いでしょうね。高級食材ですから」
「一本二万だとして、十本で二十万。百本なら二百万……。千本採れば二千万だがや! 億万長者も夢じゃないがや!」
ハマタケは汚れたシャツの袖で口角の泡を拭い、狂ったように手元のスマホ――これも画面がバキバキに割れている――を操作し始めた。指が震えているのはアルコールのせいか、それとも強欲のせいか。
「見てみぃ、このネットの記事! 『手入れのされていない天然の山には、お宝が眠っている』って書いてあるわ! 誰も入らん山なら、松茸なんて生え放題、取り放題に決まっとる!」
「……あの、ハマタケさん」
西田は、嫌な予感しかしない胸の鼓動を押さえながら、極めて冷静に声をかけた。
「まず、松茸はそんな簡単に生えません。その辺のキノコとは違うんですよ。それに、どこの山にも所有者がいます。勝手に入って採ったら、それは『窃盗』とか『不法侵入』の類になります」
「堅苦しいこと言いなさんな! 山の神様がくれた恵みだがや! 神様が『ハマタケ、おみゃあさんに授けるわ』って言っとるのが聞こえんのか!」
「聞こえませんね。あと、偽物の名古屋弁がいつも以上に酷いですよ」
ハマタケは西田の言葉など一切耳に入っていない様子で、立ち上がるとフラフラとした足取りで工場の奥へと向かった。そこにあるのは、かつての豆苗ビジネスで使おうとして結局出番のなかった、汚れた軍手とビニール袋の山だ。
「これだ! これがあれば億万長者だがや! 西田、準備しろ! 今すぐ『黄金の山』へ出発だ!」
「正気ですか? 素人が適当な山に入って見つけられるようなもんじゃないですよ。遭難するだけですって」
「素人? 誰が素人だ! わしのこの『知性』があれば、松茸の心理を読むなんて赤子の手をひねるようなもんだがや! キノコはな、影を好むんだ。わしの暗い過去と同じだぎゃ!」
言葉の意味は全く分からないが、その勢いだけは凄まじい。ハマタケの目は、もはやこの現実の廃工場を見てはいなかった。彼の視界には、黄金色に輝く松茸の森と、札束で埋め尽くされたベッドが広がっているのだろう。
西田は深いため息をついた。
ハマタケは確かに「天才」の片鱗を見せることがある。かつて組織の窮地を、その常人離れした計算と根回しで救ったこともある。だが、その知性は常に決定的な方向性の間違いと、致命的な人間理解の欠如を伴っている。
(豆苗の時もそうだった。二酸化炭素の濃度と光の波長を完璧に計算したとか言ってたけど、結局、水をやるのを忘れてただけだし……)
「西田! 何をしとる! 早く車を出さんか! 銭が逃げてまうがや!」
ハマタケが、どこから持ってきたのかボロボロの麦わら帽子を被り、鼻息荒く叫んでいる。その姿は、およそマフィアの幹部候補とは思えないほど滑稽で、それでいて、何故か否定しきれない圧倒的な気迫に満ちていた。
「……分かりましたよ。行けばいいんでしょ、行けば」
西田は諦めたように立ち上がり、尻についた埃を払った。
結局、自分はこの男を見捨てられない。この破滅的な情熱の後に残る、無残な失敗の後始末をするのはいつだって自分の役目なのだ。
「ただし、警察に捕まっても僕は知りませんからね」
「何を言っとる! 捕まるのはわしらじゃねえ、松茸の方だがや!」
意味不明な宣言を残し、ハマタケはスキップするように廃工場の外へと飛び出していった。
外は、雲が低く垂れ込めた秋の夕暮れ。
冷たい風が吹き抜ける中、西田は中古の軽トラックのエンジンをかけた。助手席に乗り込み、まだ酒の臭いをプンプンさせているハマタケは、スマホで「松茸 最強 見つけ方」というページを必死にスクロールしている。
軽トラがガタガタと音を立てて走り出し、廃工場の重い空気を切り裂く。
目指すは、ネットの情報だけを頼りに決めた、誰も寄り付かないという深い山。
西田の心にあるのは、松茸への期待などではなく、山道で車がパンクしないか、あるいはハマタケが毒キノコを食って倒れないかという、極めて現実的で切実な不安だけだった。
山際が暗く沈み始め、遠くでカラスが鳴いている。
その鳴き声すら、ハマタケには「銭、銭」と鳴いているように聞こえているのかもしれない。
「見ていろ西田ぁ……。明日には、わしらは山を買う側になっとるがや……」
窓の外に広がる黒い山影を指差し、ハマタケが低く笑う。
その笑い声は、夜の静寂に吸い込まれ、ただ寒々しく響くだけだった。
二人の乗った軽トラは、街の灯りを背に、欲望と無謀が渦巻く闇の中へと突き進んでいった。
บทล่าสุด
抜けるような青空だった。
数日前のあの、暗く湿った地獄のような谷底が嘘のように、公園の空気は乾いていて、平和そのものだ。砂場では幼児がバケツで山を作り、滑り台からは園
谷底の空気は、湿った墓石のような冷たさを孕んでいた。
「……西田」
「はい」
「……ここは、三途の川のほとりだがや?」
「ただの泥沼です。生きてます
リアカーの車輪が、勝利の凱歌のように山道できしむ。背中のリュックは鉛のように重く、肩に食い込むストラップが西田の皮膚を容赦なく削っていた。しかし、その痛みさえも、今はどこか心地よい達成感へと
キィ、キィと、油の切れた車輪が悲鳴を上げる。
錆び付いたリアカーの取っ手が、西田の手のひらに食い込んでいた。赤や黄色に染まりきった山の斜面は、遠目には絵画のように美し







