เรื่องย่อ
ハマタケ
銭が大好きな32歳男性で怪しいエセ名古屋弁を使う
天才的な頭脳の持ち主だが知の探求には全く興味がなく銭のことしか頭にない
マフィアに入ったのも自分に無い武力が欲しいだけで特に思い入れはない
最近は某王国では非合法な「豆苗」の栽培ビジネスに夢中
根回し、計算、においては非常に優れたパフォーマンスを発揮するが
普通の人間の考え方を理解できないため最初はうまくいっても最後には大失敗するパターンが多い
บท1
ガタゴトと、不格好な音を立てて木製のリアカーが跳ねる。
石畳の舗装がいびつなわけではない。某王国の土木技術は、無駄に高いのだ。
問題は引いている側。三十代にもなって、怪しげなエセ名古屋弁を操る男――ハマタケの、その情緒不安定な足取りにある。
「なあ、ニシダ。土なんてのはそのへんの山で拾えばええんだわ。わざわざホームセンターで高い金払って買う必要なんて、一ミリもにゃーて」
「……拾うっていうか、掘るんですよね。あと、某王国では許可なく土砂を採取するの、厳密には条例違反っすよ」
「硬いこと言うな。銭になるビジネスには多少のリスクはつきものだぎゃ」
ハマタケが引くリアカーの横を、舎弟のニシダは死んだ魚のような目で歩く。
この某王国。スマホもあればコンビニもある、そこそこ高度な文明社会である。法整備もしっかりしている。
ただ一点。なぜか「豆苗」だけが、現国王の独断によって徹底的に禁止されている。
理由は不明。学術的な根拠もなし。ただ「なんか嫌いだから」という噂があるくらいだ。
かつては普通にスーパーの棚に並んでいた豆苗が、今や地下へと潜り、一部の熱狂的なファンの間で高値で取引される禁断の野菜となっている。
そんな魔の植物の自家栽培に手を出そうとしているのが、ニシダが「天才」と仰ぐ(最近はその知性に疑問符がつき始めているが)ハマタケである。
「見てみろ、このリアカー。あえて木製で自作したんだわ。金属探知機にも引っかからん、ステルス仕様だぎゃ」
「いや、ただの節約でしょ。あとめちゃくちゃ目立ってますよ、そのギシギシ言う音」
「うるせー。これぞ知略だわ。銭を産む土を運ぶ聖なる乗り物だぎゃ」
山道へ差し掛かったあたりで、近所のガキ共が数人、こちらを指差して笑っていた。
「見てー! 変なおじちゃんが木の車引いてるー!」
「だっせー! 今時あれ、博物館にもなくない?」
「ププッ、貧乏人の乗り物だー!」
ハマタケの動きが止まる。
ニシダは嫌な予感がした。この男、知能指数とプライドが異常に高い反面、沸点は異常に低い。
「……おい、ニシダ。今の聞こえたか? 若い衆の教育がなっとらんな」
「無視しましょうよ、ハマタケさん。相手は子供っすよ」
「子供だろうが顧客候補だろうが、俺様の『タケちゃん』を馬鹿にする奴は許さんわ」
ハマタケはリアカーの取手を放すと、肩を怒らせて子供たちへ歩み寄った。
「おい、小僧共。この素晴らしきウッド・モビリティの価値が分からんとは、親の顔が見てみたいんだわ。この美しい流線型、そしてサステナブルな素材選び……おみゃーらの持つ最新のゲーム機より、よっぽどハイ・ポテンシャルなんだぎゃ!」
子供の一人が、めんどくさそうにハマタケの脛を蹴った。
「うわっ、おじさん臭い! あっち行けよ!」
「痛っ?! おみゃー、今やったな!? 俺様はこれでも裏社会の人間なんだわ! 武力行使に出てもええんだ……ぐふっ」
子供たちの連携攻撃は凄まじかった。
一人が抱きつき、一人が鞄で殴り、一人が足をかける。
物理的な戦闘力において、ハマタケは平均的な十歳児を凌駕していなかった。
「あだだだだ! ニシダ! 助けろ! 戦争だぎゃ! 全員捕まえて強制労働させてやるんだわ!」
「……いや、流石に子供相手に大人二人はちょっと。だいたい大人一人でもどうかと思うのに、負けてるじゃないっすか」
ニシダが傍観しているうちに、ハマタケは地面に転がされていた。
「やーい、弱いおじさん! 豆鉄砲みたいな顔してる!」
「だ、豆……豆苗を侮辱するな! 貴様ら、後悔させてやる……あっ」
子供の一人が振り上げたプラスチックのおもちゃの剣を見た瞬間、ハマタケは急に腹を押さえてうずくまった。
「痛っ! ……うっ、あああああ! 急にお腹が! 盲腸が爆発するんだわ! ニシダ、救急車だぎゃ! 死ぬ、俺様はここで野垂れ死ぬんだわ!」
「…………」
突然の激しい悶絶(の演技)に、子供たちは引き気味に顔を見合わせた。
「……なんか、やばくね?」
「警察呼ばれたら面倒だし、行こうぜ」
クモの子を散らすように去っていく子供を見送り、ハマタケはそっと片目を開けた。
「……行ったか?」
「ええ、完勝っすね。情けなさの極致において」
「ふん、これが策士の『擬死』だわ。無駄な争いは銭を生まないんだわ」
立ち上がったハマタケは、土埃を払いながら再びリアカーを握る。
そこからの道中、地獄だった。
「なあニシダ。あのガキ共、将来的にどうやって搾り取ってやろうか。まず実家を突き止めて、周辺の駄菓子屋の利権を全て買い取る。そしてあいつらが買おうとするチョコ菓子だけを八倍の値段に釣り上げるんだわ。もしくは、公園の砂場を有料化して、あいつらから一時間につき50ゴールド徴収する。どうだ、この計画」
「セコい。とにかく話がセコいっすよ、ハマタケさん」
「銭に貴賎はないんだわ。あいつらが泣きながら『おじ様、チョコ一個売ってください』と這いつくばる姿が見えるようだぎゃ。ふははは、笑いが止まらんわ!」
ニシダの精神力は、ガリガリと削られていった。
子供への復讐という、大の男が語るにはあまりにも矮小な野望を聞かされ続け、山の中腹にたどり着く頃には、足腰よりも心が疲弊していた。
「……ようやく着きましたよ。ここなら良い土が掘れそうです」
「よし、ニシダ。掘れ。俺様は監督してやるんだわ」
「自分で掘らないんかい」
それでも、ニシダは文句を言わずにシャベルを手に取った。
ハマタケの「1ゴールドでも安く済ませるための復讐計画」を延々と聞かされる苦痛に比べれば、硬い地面を掘り返す土木作業の方が、よほど神聖で清らかな労働に思えたからだ。
無心でシャベルを振るう。腐葉土の混じった、黒々とした豊かな土。
これなら豆苗もよく育つだろう。法に触れる緑の絨毯。
「……終わりました」
目標の量をリアカーに積み込むまで、驚異的な短時間だった。作業効率の跳ね上がり方に、ハマタケも少し引いていた。
「おみゃー、意外と才能あるんだな。将来はプロの穴掘り職人として売り出してやるんだわ」
「……ただ今の話から解放されたかっただけっすよ」
帰り道、山を下りる彼らの前に、一匹の子猫と一匹の子犬が現れた。
捨てられたのか、どこからか迷い込んだのか。
路傍でじゃれ合うその姿は、殺伐とした某王国の空気の中で、唯一の癒しのように見えた。
「おい、邪魔なんだわ。そこどけ、この毛むくじゃら共」
ハマタケが足先で追いやろうとした瞬間だった。
子猫がシャーッと威嚇し、子犬がその小さな牙でハマタケのズボンの裾を噛んで引っ張った。
「うわあああ! 噛まれた! 狂犬病だぎゃ! 虎だ、こいつらは虎の子供に違いないんだわ! ニシダ、武器を持て! 射殺許可を出すんだわ!」
「……ただの生後二ヶ月くらいの子猫と子犬ですよ」
ハマタケは子猫の猫パンチ(爪は出ていない)を顔面に食らい、尻もちをついた。
「ひぎぃっ! ……あーっ、ダメだ! 腰が、腰が砕けたんだわ! 労災だ! 誰か助けて……ううっ」
またしても始まった悶絶演技。今度は子犬に足の指をあま噛みされ、絶叫をあげる。
ニシダは溜息すら出なかった。ただ黙って子猫の首根っこを掴んで脇に除け、子犬を抱き上げて草むらへ放した。
「……何やってるんすか、本当」
「くそっ、あいつら絶対俺様の財布を狙ってたんだわ。集団で襲って身ぐるみ剥ぐタイプのマフィアの飼い犬だぎゃ」
「被害妄想が過ぎる」
命からがら(本人談)拠点へと辿り着き、リアカーの土を下ろす。
廃工場の片隅。ここが彼らの、禁断の豆苗栽培ベースだ。
ハマタケは土まみれの服を叩きながら、ニシダにドヤ顔を向ける。
「いいか、ニシダ。この土で豆苗を大量生産する。某王国の市場は飢えているんだわ。一束500ゴールド、いや1000ゴールドで売り捌く。利益率は驚異の九割超えだぎゃ」
「まあ、材料費タダっすからね……土もシャベルも作業員(俺)も」
「そしてだ。銭が唸るほど入ってきたら、俺様は新規事業を立ち上げるんだわ」
ハマタケは、先ほどの子猫と子犬がいた山の方向を指差した。
「あいつらだ。山にいた子猫と子犬を捕まえて……いや、雇用して、『アニマル爆裂労働カフェ』を経営するんだわ」
「……動物カフェ、っすか?」
「ただのカフェじゃにゃー。あいつらに注文を取らせ、皿を洗わせ、客の肩を揉ませる。もちろん給料は煮干しと骨っこ一本。二十四時間年中無休で働かせて、俺様は椅子に座って札束を数えるだけでいいんだわ。どうだ、この完璧なスキーム!」
ネコが皿を洗えるわけがない。
犬が肩を揉めるわけがない。
そもそも動物愛護団体が黙っていない。
ニシダは何も言わなくなった。何かを言えば、またこの男のセセこましい夢に付き合わされることになる。
薄暗い廃工場の中、ハマタケはまだ見ぬ「豆苗御殿」と「動物労働カフェ」の幻影を見つめて、下卑た笑みを浮かべていた。
夕暮れの光が、リアカーの木目に弱々しく反射している。
「……まずは、種を蒔きましょうか」
「そうだな。銭の種を、たっぷりとな」
某王国、豆苗の呪い。
二人の暗黒ビジネスの第一歩は、驚くほど情けなく、どこまでも地面に近い場所から始まったのだった。
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「……待て待て待て、待ちやがれだぎゃ!!」
叫び声が二重に重なり、路地裏の空気が震える。
ニシダの前で繰り広げられているのは、もはや生物学的なバグとしか言いよ
「ガラガラッ、キィー……」
錆びついたリアカーが、アスファルトの上で断末魔のような悲鳴を上げている。
王国の片隅、西日が斜めに差し込む裏路地。ハマタケは
いつもなら、地響きのような大いびきで起こされるはずだった。
築数十年の廃工場、そのひび割れたコンクリート床に敷いた薄いせんべい布団の上で、ニシダは毎朝、鼓膜を激しく
「らっしゃい、らっしゃい! これを見にゃー、人生の損失だぎゃ!」
王国の片隅、露店の並ぶ路地裏。そこには、およそ食用とは思えない色彩が鎮座していた。
ハマタケ







