ハコノナカ
เรื่องย่อ
注意 この作品にはセンシティブな内容が含まれています
高城和真は前の学校で不祥事を起こし、逃げるように祖父母の住む田舎へと引っ越すこととなった。心配し一緒に転校してきた姉、優里とともに馴染めない生活を送ることとなる。しかしある日学校で倒れた姉がその日を境に人が変わったようになってしまった。姉が変わってしまったことにショックを受ける和真はその原因が学校に伝わる怪談に起因するのではないかと知る。友人の力を借りながら姉をもとに戻す方法を探り出す。
บท1
湿り気を帯びた熱が、皮膚の境界を曖昧にしていくような感覚があった。
薄暗い部屋、使い古されたベッドの軋む音だけが、粘りつくような沈黙の中で規則的なリズムを刻んでいる。和真は仰向けに横たわり、自分の上に跨り、腰を揺らす女の重みを感じていた。視界はひどく混濁し、女の顔は長い黒髪のカーテンに遮られて判然としない。ただ、激しく上下するたびに目の前で弾む、重量感のある肉の塊が、和真の理性を削り取っていく。彼は本能に突き動かされるまま、その柔らかな膨らみを両手で力任せに鷲掴みにした。指先が熱を帯びた先端を捉え、転がすように刺激を加えると、女の喉の奥から、甘く、それでいてどこか切迫した吐息が漏れ出した。
和真は自らの腰を突き上げ、女の動きに応じる。結合部から伝わる摩擦の快楽が、脊髄を駆け上がり、脳を痺れさせていく。これまでに抱いてきたどの女とも違う、吸い付くような肉の感触。向こうの街においてきた、数多の女たちの誰かだろうか。それとも、この見知らぬ土地で新しく出会った誰かなのか。思考は霧に包まれ、名前を特定することさえ拒絶するが、肉体が享受する悦びだけは、残酷なほどに鮮明だった。
もっとよく見たい。この最高の身体の持ち主が、どのような表情で自分を求めているのか。和真は衝動に任せて腕を伸ばし、女の顔を覆う黒髪を乱暴にかき上げた。
剥き出しになったその顔を見た瞬間、和真の心臓が、肋骨の裏側で大きく跳ねた。
そこにいたのは、姉の優里だった。
端正な眉、潤んだ瞳、そして和真を慈しむように見つめる、あの聞き慣れた穏やかな表情。
「姉さん……?」
喉から掠れた声が漏れる。それまで全身を支配していた甘美な熱情は、一瞬にして氷水へと変わり、指先から急速に体温が奪われていった。なぜ姉がここにいる。なぜ自分たちは、このようなおぞましい交わりを演じているのか。和真の瞳に恐怖の色が混じるのを、優里は静かに見つめていた。彼女の唇が、ゆっくりと弧を描き、この世のものとは思えないほど美しい微笑を形作る。
だが、その完璧な美しさが、和真には言い知れぬ恐怖として映った。目の前の存在は、本当に自分の知る姉なのだろうか。
疑念が脳裏を掠めた次の瞬間、優里の目尻から、一筋の紅い液体が伝い落ちた。
それは涙ではなく、粘り気のある濃い血だった。
血は目から、鼻から、そして微笑を湛えた口元から、堰を切ったように溢れ出し、彼女の白い肌を汚していく。優里は血に塗れた顔のまま、和真の名を呼び続けた。その声は次第に歪み、遠くの洞窟から響いてくるような、不気味な残響を伴って、和真の耳朶を打ち据える。
「――和真! 起きなさい、和真!」
鼓膜を震わせる鋭い声とともに、視界が激しく揺れた。
目を開けると、そこには淀んだ空気と、古びたシートの匂いがあった。
和真は大きく肩を上下させ、荒い呼吸を整えようとしたが、肺に入ってくるのは都会のマンションでは決して嗅ぐことのなかった、湿った土とディーゼル油の混じった臭気だった。窓の外を流れるのは、深い緑に覆われた山の斜面と、断崖の下に広がる細い川のせせらぎだ。
自分がバスの中にいることを理解するのに、数秒の時間を要した。
「……もう、ひどい顔をして。うなされていたわよ?」
隣から降ってきた声に、和真は弾かれたように顔を向けた。
そこには、夢の中の凄惨な姿とは似ても似つかない、いつもの穏やかな表情の姉、優里が座っていた。彼女は心配そうに眉を寄せ、和真の額に浮かんだ汗を、清潔なハンカチで丁寧に拭い取ってくれる。
「もうすぐ着くわ。しっかりして」
「……ああ。……夢、か」
和真はふうと深く息を吐き出し、胸を撫で下ろした。心臓の動悸は依然として速いが、目の前の姉は血を流してもいなければ、自分に跨ってもいない。ただの姉として、弟を気遣っているだけだ。
それにしても、と和真は自分自身の浅ましさに嫌悪感を抱かずにはいられなかった。よりによって、実の姉を相手にあんな夢を見るなど。この山奥に越してきて二ヶ月、女を抱く機会が一切なくなったせいだろうか。溜まっているのは事実だが、それにしても対象が間違っている。
和真が気まずさから視線を彷徨わせていると、優里がさらに顔を覗き込んできた。その瞳が、和真の内面を透かし見ようとするかのように、じっと固定される。
「どうかしたの? 顔色が悪いわよ。具合でも悪いの?」
「……いや。少し、車に酔っただけだよ」
和真は咄嗟に嘘をつき、窓の外へと顔を背けた。
いや、まったくの嘘というわけでもなかった。祖父母の家から学校までは、バスで一時間以上かかる。舗装こそされているものの、急勾配と急カーブが続く山道は、都会の平坦な道に慣れた身体にはこたえる。大型の車両が軋む音を立てながら旋回するたびに、三半規管が揺さぶられ、胃の底が持ち上がるような感覚に襲われるのだ。
「まだこちらに来て二ヶ月だもの。慣れるまで大変よね。でも、頑張らないと」
優里は溜息混じりに言い、和真の肩を軽く叩いた。その仕草には、姉としての慈しみと、どこか母親のような包容力が同居している。
二ヶ月前まで、彼らは東京都心の高層マンションで、何不自由ない生活を送っていた。それがなぜ、携帯の電波さえ怪しいような、父方の祖父母が住む辺境の地へ追いやられることになったのか。
理由は単純明快であり、同時に救いようのないほど泥沼だった。
和真が当時付き合っていた女たち…それも一人や二人ではない――のうち、三人が同時に妊娠したことが発覚したのだ。
その後の展開は、まさに地獄絵図だった。
学校に連絡が行き、保護者同士が顔を突き合わせ、狭い応接間で罵声と号泣が飛び交う。和真は父親から、それまで一度も振るわれたことのないような暴力的な力で殴り飛ばされ、腫れ上がった顔のまま、それぞれの女の家を回って土下座を繰り返した。堕胎の費用と慰謝料、そして消えることのない怨嗟。相手の両親から許しが得られるはずもなく、和真は「高城家の恥」として、逃げるように転校を余儀なくされた。
本来なら、和真一人がこの山奥へ流刑に処されるはずだった。しかし、なぜか優里が「私も一緒に行く」と強く主張したのだ。受験を控えた高校三年生という大事な時期に、友人関係も、進学校でのキャリアもすべて捨てて、問題を起こした弟に同行するなど、正気の沙汰ではない。両親も当初は猛反対したが、優里の頑なな説得に、最後は折れるしかなかった。
「姉さんこそ、わざわざこんなところまで来ることなかったのに」
窓の外を見つめたまま、和真がぼそりと呟く。
すると、隣の優里が、わざとらしく頬を膨らませて彼を睨みつけた。
「またそういうことを言う。なに? 和真はそんなにお姉ちゃんと離れたいの?」
「……そういうことじゃなくて」
和真は言葉を濁し、口をつぐんだ。
優里は東京では常に注目の的だった。その美貌と知性、そして誰に対しても分け隔てなく接する態度は、同性からも異性からも絶大な支持を得ていた。和真の周囲にも、姉を紹介してくれと執拗に迫ってくる男たちが絶えず、彼はそれを追い払うのに苦労したものだ。
そんな彼女が、弟の不祥事のとばっちりを受け、好奇の目に晒されることになったのだ。彼女の将来を台無しにしたのは、他ならぬ自分なのだという罪悪感が、和真の胸を鋭く刺す。
「私がそうしたいと思ったから、こっちに来たのよ。和真のせいじゃないわ」
まるで見透かしたような言葉に、和真は肩を震わせた。優里は微笑みながら、彼の制服の襟元を直し、指先で軽く整える。その動作には、拒絶を許さないような静かな強制力が宿っていた。
バスの車内に、機械的なアナウンスが響き渡る。
『次は――崎守高校前、崎守高校前――』
目的地に到着したようだ。プシューという排気音とともにドアが開き、二人はステップを降りて、アスファルトの熱気が立ち上る路上に立った。
目の前には、古いコンクリート造りの校舎が、鬱蒼とした森を背負うようにして建っている。
「今日も一日頑張ろうね、和真」
優里は明るい声で言い、前を歩いていた女子生徒たちのグループに手を振った。彼女は転校してわずか二ヶ月で、この閉鎖的なコミュニティに完全に溶け込んでいた。どこへ行っても、彼女は太陽のように中心に居座り、人々の視線を集める術を知っている。
それに引き換え、自分はどうだろうか。
和真は重い足取りで校門をくぐり、校舎を見上げた。
クラスに馴染めていないのは、自業自得だ。周囲の男子生徒からは、都会から来た「鼻持ちならない美形」として警戒され、女子生徒からは好奇の混じった視線を投げかけられる。だが、彼を憂鬱にさせているのは、そうした人間関係の摩擦だけではなかった。
校舎の影、湿った廊下の隅、あるいは風に乗って運ばれてくる微かな腐敗臭。
この学校全体を覆っている、言いようのない淀みのようなものを、和真は敏感に感じ取っていた。それは夢の中で見た、姉の顔から溢れ出した血の色に、どこか似ているような気がした。
和真は無意識のうちに、自分の手のひらを見つめた。
夢の中で姉の乳房を掴んでいたその感触が、まだ指先に残っているような錯覚に陥り、彼は慌てて拳を握りしめた。
背後で、優里が友人たちと笑い合う声が聞こえる。
その明るすぎる声が、和真にはどうしても、現実とは乖離した何かの予兆のように思えてならなかった。
和真は、逃げるようにして昇降口へと向かった。
บทล่าสุด
夏休みという季節の終わりが、すぐそこまで迫っている。
高城和真は、旧校舎の前に立ち尽くしていた。蝉の声は心なしか勢いを失い、代わりに乾いた風が砂を巻き上げている。
地下室の空気は、吐き出す息さえ白く染まりそうなほどに冷え切っている。
和真と優里は、湿ったコンクリートの上に、言葉もなく向かい合って座っていた。和真の視界の端で、優里の影
「では、健人兄はなぜ屋上から飛び降りたんだ?」
静寂を裂くように、杉本の声が低く響いた。
地下の湿った空気が、彼の眼鏡のレンズを微かに曇らせている。
優里は小さく
懐中電灯の細い光が、もうもうと立ち込める埃を白く照らし出していた。
コンクリートの冷気がズボンの膝から染み込んでくる。急激な光の明度に目を細めながら、和真は自分が確かに旧校舎の地下室に帰っ







