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終わらない物語

終わらない物語

Última atualização: 2025-12-30 16:01:25
By: wenqing0
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Sinopse

霧深い森の中、同じ一日を繰り返す家で、少女・赤ずきんと狼、おばあちゃんは台本通りの役割を演じ続けています。老婆が差し出す選択の瞬間——壊れる朝か、終わらない夜か。そのなかで三人は、物語の隙間に“自分たちだけの平穏”を見出そうと新しい一歩を踏み出します。


Capítulo1

目を開けると、天井の亀裂が目に入った。


三枚目の板から稲妻のように裂け目が走り、先端で二股に分かれている。右側の方が細い。朝の光が斜めに差し込んで、亀裂の影を向かいの壁に投げかけている。影は亀裂本体よりも鮮明で、決して癒えない傷跡のようだった。壁の埃が影の周りに集まり、完璧な輪郭を形成している。その輪郭をあまりにもよく知っている。一度も位置が変わったことがないからだ。


またこの朝か。


そのまま横たわり、亀裂を見つめ続けた。もしかしたら起き上がらなければ、時間は止まるかもしれない。もしかしたらこの瞬間に永遠に閉じ込められて、階下に降りなくても、母の小言を聞かなくても、森に入らなくてもいいかもしれない。だが体はもう私の意志に反して動き始めていた。


指が勝手に動き出し、布団をはぐ。


布団が腰まで滑り落ち、着ている白い寝間着が露わになる。布団の小花模様は青い。そのうちの一輪がいつも私の胸のところに来る。手を伸ばしてその花に触れると、布地の質感が指先ではっきりと感じられる。一本一本の糸の走り方まで描き出せる。


ベッドを降り、裸足で木の床を踏む。床の温度は摂氏16度。冷たい感触が足裏から這い上がってくる。窓に向かって歩く。十二歩。一歩一歩の歩幅がセンチ単位で正確だ。七歩目のところで、床が軽くきしむ。足を下ろすと、予定通りの音が響く。


窓の外の森が朝霧の中に浮かび上がる。


木々は空高くそびえ立ち、樹冠が密集して空が見えない。幹はあまりに真っ直ぐで不自然だ。どれも高さも太さもまったく同じで、型で鋳造されたかのようだ。森の縁にある一番高い樫の木を見る。枝は十七本。目を閉じていてもそれぞれの位置と角度が言える。


階下から包丁がまな板に当たる音が聞こえる。


トン。間。トン。間。トン。


間の長さは正確に予測できる。1.3秒。0.01秒の誤差もない。


「赤ずきん、起きなさい」


母の声が上がってくる。目を閉じて、彼女の次の言葉に合わせて唇を無言で動かす。「今日はおばあちゃんのところへ行って。一人で森に住んでいるから、きっと寂しいわ」。一字一句間違えずに暗唱できる。


振り向いて階段へ向かう。


三段目がきしみ、七段目もきしむ。十二段目が一番大きく鳴る。それらの位置を踏むと、木の呻き声が予定通りに響く。音程も音量も記憶と完全に一致する。壁に掛かった額縁が私が通り過ぎる時に微かに揺れる。揺れの幅はいつも三ミリ。


母が台所に立ち、背を向けている。


微かに揺れている。振幅と頻度が振り子のように一定だ。近づくと鼻歌が聞こえる。同じ旋律が循環し、始まりも終わりもない。彼女の影が床に落ちているが、影の輪郭は非常に鮮明なのに、影の形と彼女の体が合っていない。影の方が痩せていて、歪んでいる。


振り向く。


顔に貼られた笑顔があまりにも平坦だ。紙を貼り付けたかのよう。目はただ二つの黒い穴で、瞳孔も白目も見えない。底知れぬ黒だけ。


「さあ朝ごはんよ」と彼女が皿を押してくる。「今日はおばあちゃんのところへ行って。一人で森に住んでいるから、きっと——」


「寂しいわ」。私が先回りして言い終える。


彼女の笑顔が固まる。口角に細い裂け目ができる。裂け目の中には何もない。血肉も歯もなく、ただより深い闇があるだけ。裂け目はすぐに癒え、笑顔が元通りになる。


「そうよ、早く行ってらっしゃい」


籠がテーブルの上で待っている。布を開けると、パンが真ん中に置かれ、バターとジャムが両脇に並んでいる。パンを手に取る。表面にはゴマ粒がびっしりと撒かれている。百三粒。増えも減りもしない。


赤いマントを羽織り、ドアへ向かう。


「道を外れないように気をつけて」。母の声が後ろから聞こえる。音程の起伏を曲線で描ける。


振り返って彼女を見る。「もし外れたら?」


母の顔が痙攣し始める。口が開いては閉じ、水から上がった魚のように。目の黒い穴が拡大し、顔全体に広がって鼻も頬骨も額も飲み込んでいく。首も捻れ、骨がカチカチと音を立てる。


長い時間が経って、ようやく喉から声が絞り出される。


「あなた……は……しない……わ……あなた……は……いい子……だから……」


一語一語が長く引き延ばされ、最後の言葉を言い終えるのに五秒近くかかる。それから顔が突然正常に戻り、笑顔が元通りになる。まるでさっきの歪みなど起こらなかったかのように。


ドアを押し開け、過剰に明るい朝の光の中へ歩み出る。


村が眩しい白光に浴している。光が白すぎる。漂白剤のように白く、すべてのものから立体感を奪っている。家屋が整然と並び、白壁に赤瓦。どの窓もカーテンが同じ高さまで引かれている。通りの真ん中を歩くと、足音が空っぽの通りに響くが、十メートル先で止まる。見えない壁に遮られるように。


カーテンの後ろに影がある。


それらを見ない。前だけを見つめる。だが私には分かる。それらがそこにいて、ガラスに貼りついて、ぼんやりした顔で私を見つめている。足を速める。マントの裾が地面を掃き、さらさらと音を立てる。


森の入り口が近づいた。


二本の樫の木がアーチを形成し、幹には苔が生えている。左の木の樹皮に手を伸ばす。指先がくぼみに触れる。それは私の手形だ。一つではない。くぼみの中にはもっと多くの手形が重なり合っている。無数の私がここに押し当ててきた。手形が積み重なりすぎて、手のひら全体を嵌め込めるほど深くなっている。


手を引く。手のひらに樹皮の破片が付着している。破片は湿っていて、粘り気がある。何かの分泌物のようだ。マントで拭き取り、森に足を踏み入れる。


木々がすぐに背後で閉じる。


光が瞬時に消え、森の内部の光源が灯る。その光には発生源がなく、空気そのものから滲み出て、すべてを照らすが影は投げかけない。自分の足元を見下ろす。足下に影はなく、灰白色の地面が前方へ伸びているだけ。


温度が急降下し、吐く息が白い霧になる。白い霧が空中に留まって消えず、ゆっくりと半透明の氷晶に固まり、パタパタと地面に落ちて砕ける。


森が絶対的な静寂に包まれる。


砂利道を歩くと、足音は一メートルしか伝わらない。声を出してみると、喉から出た声が唇のところで消える。道の両側の木々が恐ろしいほど整然としている。樹皮の模様が完全に一致し、枝の配置角度が度単位で正確だ。一番近い木に手を伸ばして触れる。樹皮は冷たく湿っていて、ホルマリン漬けの死体のような触感だ。


歩き続ける。


五分ほど歩くと、狼が現れるはずだ。だが今日は来ない。


足を止め、辺りを見回す。木々が定位置で凝固し、葉が静止している。空気が膠のように粘っこく、呼吸するたびに肺を力いっぱい開かなければならない。


「近くにいるのは分かってる」と声を出すが、声はあまり遠くまで伝わらない。


茂みからガサガサと音がする。


一匹の狼がゆっくりと歩み出てくる。体格は大きく、灰色の毛並みは光沢を失い、灰をかぶったようだ。だが目がまったくおかしい。琥珀色の瞳には獣性がなく、人間だけが持つ疲労と絶望だけがある。


私の前で止まり、動作が硬い。関節が錆びついたかのよう。座り込むと、尻尾が硬直したまま地面を引きずる。


「またある朝だ」とその声が紙やすりを擦るようにかすれている。「ついに悲鳴を上げなかったな」


「他のすべての方法を試したから」と私も座り込む。小石が脚に食い込む。「逃げる、隠れる、懇願する、籠でお前の頭を殴る。全部無駄だった」


狼が頭を下げ、爪で土を掻く。一文字を刻む:囚。


筆画が深く、土が掘り返され、下から灰白色のものが露わになる。骨のように見える。


「いつ気づいた?」その文字を見つめて尋ねる。


「早かった」と顔を上げ、琥珀色の目が私を真っ直ぐ見つめる。「ある朝、自分の心臓の音を聞いて、突然前日とリズムが完全に同じだと気づいた。一拍一拍の間隔が恐ろしいほど正確だった」


爪が動き続け、もう一文字を書く:偽。


「その時分かったんだ。俺は本当に生きてはいないって」


喉が詰まる。「私はもっと遅かった。ある朝、母がパンを切る回数を数えた。三回。何日も観察した。毎日三回で、落とす位置の誤差が一ミリを超えない」


「だからお前も分かったんだな」と狼の声が空ろだ。


「私たちが閉じ込められているって」と籠を抱きしめる。「でも何に閉じ込められているのかは分からない」


狼が立ち上がり、体を震わせる。その動作があまりに意図的で、記憶の中の「狼」がすべきことを模倣しているが、本当の感覚はもう忘れたかのようだ。


「奥へ行くか?」と提案する。「おばあちゃんの家じゃなくて、どこまで行けるか見てみよう」


立ち上がり、スカートの泥を払う。「試してみよう」


砂利道を離れ、木々がより密集した方へ向かう。


光がだんだん暗くなるが、視界は常に鮮明だ。見えない光源が移動についてきているかのよう。長い間歩いたが、脚が疲れるべきなのに何も感じない。この両脚はただ機械的に「歩く」という動作を繰り返しているだけで、本当の歩行とは何の関係もない。


「止まれ」と狼が突然立ち止まる。


私も止まり、その視線の先を見る。前方に木があり、幹に瘤がある。形が目のようだ。


その木を回り込んで進む。五十歩ほど歩くと、同じ目の形の瘤がまた現れた。速度を上げるが、瘤が繰り返し現れ続ける。五十歩ごとに一本。


「その場にいる」と声が震える。


狼が急に振り返って走ろうとするが、来た道が消えている。目の前には木だけ。無限に続く木。すべての幹にあの目の形の瘤があり、すべての目が私たちを見つめている。


木々が近づき始める。


幹の間の距離が縮まっているが、木自体は動いていない。動いているのは空間だ。圧縮され、歪み、私たちをどんどん小さな範囲に押し込んでいる。


「森が出してくれない」と狼の毛が全部逆立つ。


「じゃあここに立っていよう」と深呼吸する。「何もしない」


同時に動きを止める。


その場に立ち、両手を握りしめ、体を完全に静止させようとする。時間がゆっくりと流れ、自分の心臓の音が耳元で轟いているのが聞こえる。八十拍目になった時、右足が勝手に動いた。


つま先が曲がり、膝が持ち上がる。私の意志に反して。


歯を食いしばって止めようとするが、脚はもう踏み出している。何かが私を操っているのが感じられる。見えない無数の糸が関節に絡みつき、一つ一つの筋肉の収縮を強制的に引っ張っているかのよう。


狼も抵抗している。四肢が硬直し、爪が泥に深い溝を掘り、四本の血痕を残す。だが体は引きずられて前進し続ける。


私たちは引っ張られて森を通り抜ける。


枝が顔を打ち、刺すような痛みが本当にある。茨が服に引っかかり、布地が裂ける音が静寂の中で特に耳障りだ。皮膚が切られたのが感じられ、温かい血が流れ落ちるが、止まれない。


家がついに現れた。


木造の小屋。窓から黄色い光が漏れている。煙突から白い煙が立ち上り、煙突の口からちょうど三メートルの高さで忽然と消える。


体がドアの前で止まる。


腕が勝手に上がり、ノックの姿勢を取る。全身の力を動員して止めようとするが、腕が激しく震え、関節が異常な音を立てる。狼の体が彫像のように張り詰め、筋肉が痙攣するほど緊張している。


抗い続ける。


汗が額から滴り落ち、目を濡らす。狼の口角から血が滲む。だが拮抗は数秒しか続かず、私の手のひらは結局落ちた。


コンコンコン。


三回のノック。力加減とリズムがプログラム実行のように正確だ。


「誰?」弱々しい声が屋内から聞こえる。


「私よ、赤ずきん」。言葉が勝手に口から出る。


「入って、鍵は開いてるから」


ドアを押し開け、狼が後に続く。


部屋の匂いが複雑だ。乾いた花びらとカビた布が混ざり、甘ったるい腐臭が少し漂う。暖炉で火が燃えているが、火の光が壁に映る影の形と部屋の物体が合っていない。テーブルの影は丸いのに、テーブル本体は四角い。椅子の影は脚が三本だが、椅子には明らかに四本ある。


おばあちゃんがベッドに横たわり、布団が顎まで掛けられている。皮膚が羊皮紙のように薄く、下の青い血管が見える。血管がゆっくりと蠕動し、何か生き物が中を這っているかのようだ。


「赤ずきん、来たのね」と息も絶え絶えの声で私を呼ぶ。「いつも通り」


いつも通り?ベッドに一歩近づく。


「おばあちゃん、前のこと覚えてる?」


視線が私を越え、ドア口の狼に落ちる。狼は牙を剥かず、唸らず、ただ静かにそこにしゃがんでいる。おばあちゃんがそれを見つめ、目に疲れた親しみが浮かぶ。


「全部覚えてる」とついに口を開く。声が沸騰したやかんのように沈んでいる。「毎回のノックの音、毎回の狼の足音、毎回の会話」


ベッドの縁を支えにして起き上がる。布団が滑り落ち、痩せ細った体が露わになる。ベッドを降り、裸足で床を踏み、テーブルへ向かう。彼女が踏んだところに、床に細かいひび割れができ、蜘蛛の巣のように広がる。


戸棚から三つのコップを取り出し、水を注ぐ。水面が三つのコップでまったく同じ高さまで上がる。定規で測ったかのよう。


「座って」とコップを私と狼に押す。「話さなきゃ」


テーブルの脇に座る。木の椅子が脚に食い込んで痛い。狼がテーブルに近づいてしゃがむ。姿勢が人間に近い。おばあちゃんが向かいに座り、コップを手に取って一口飲む。コップをテーブルに戻す時、澄んだ音がするが、水面には波紋が全くない。凝固したかのよう。


「あなたたちは逃げ出したいのね」と平静に述べる。


「はい」と私は濁った目を真っ直ぐ見つめる。「おばあちゃんは?」


「私もよ」とコップを置き、干からびた指がテーブルを軽く叩く。「色々な方法を試した。ドアを開けない、窓から飛び降りる、家に火をつける」


「全部失敗した?」


「毎回失敗した」と視線が部屋を巡る。「翌日にはまたベッドで目覚める。家は無傷。壁の埃も元の位置。一粒一粒の位置まで変わらない」


間を置き、指が叩き続ける。


「埃を数えたこともある。壁の隅に千七粒。毎日千七粒」


狼の低い声が響く。「俺は森に入らないことを試した。巣穴に隠れて、一日中出なかった」


振り向いてそれを見る。「何が起きた?」


「体が溶け始めた」と目が虚ろだ。「尻尾の先から透明になって、消しゴムで消されるように。正午には頭だけが実体として残った。怖くなって森に飛び込んだら、すぐに元に戻った」


両手を握りしめ、爪が手のひらに食い込む。痛いが、この痛みで自分にまだ感覚があることを確認できる。


「だから台本を演じきらなきゃいけない」と声がかすれる。「どの過程も欠かせない。さもないと消される」


おばあちゃんの指が叩くのを止める。「私たちは役を演じているんじゃない。私たち自身が物語なの」


立ち上がり、窓へ歩き、カーテンを開ける。窓の外の森が夕暮れに飲み込まれつつあり、空の端が橙赤色の夕焼けを帯びる。夕焼けの色が濃すぎる。非現実的なほど濃く、誰かが絵の具で塗ったかのよう。


「時々想像するの」と声が漂う。「もしかしたら森の外に他の世界があるんじゃないかって」


「でも行けない」と狼が伏せて、頭を前足に埋める。


おばあちゃんが振り返る。彼女の影が壁に映っているが、影の動作が半拍遅れている。音と映像が同期しない古い映画のように。


「消えない限りは」


テーブルに戻って座る。「提案があるの」


顔を上げる。


「次の輪廻が始まる時」と目が鋭くなる。「何もしない。あなたは森に入らない、狼は現れない、私もベッドに横たわらない。演じることを拒否する」


「そうしたら消える」と声が小さい。


「そうね」と認める。「でもそれは私たちの選択」


狼を見る。顔を上げ、琥珀色の目にためらいが光る。


「怖い?」と尋ねる。


「怖い」と正直に答える。「でもずっとこのままの方がもっと怖い」


おばあちゃんを向く。「あなたは?」


「飽き飽きした」と声が疲れている。「虚無がどんな感じか知りたい」


部屋が静かになる。暖炉の火が燃え続け、あの薪は何度燃やしても燃え尽きず、炎はただ同じ跳ね方を繰り返す。


「じゃあ試そう」と決心する。「次に目覚めたら、誰も動かない」


おばあちゃんが手を伸ばし、干からびた手が私の手の甲に重なる。手は冷たいが、今回の触れ合いには本物の温度がある。


「結果がどうあれ」と小声で言う。「少なくとも私たちは選択をした」


狼が立ち上がり、頭を私の肩に寄せる。毛並みは粗いが、この動作には優しさがある。


そのまま座り続け、炎が消えるまで、闇が降りるまで。


体が変化しているのを感じる。


指の縁がぼやけ始め、墨が宣紙に滲むように。手を上げて目の前に掲げる。だんだん透明になる皮膚を通して、下の骨が見える。骨も透明になり、骨髄が微かな光を発し、それから光も消え、骨が消えた。


「始まった」とおばあちゃんの声が闇から聞こえる。


振り向くと、輪郭が溶けつつある。皮膚、筋肉、骨格。すべての実体性が剥がれ落ち、最後にぼんやりした影だけが椅子の上に浮かぶ。


狼も消えている。灰色の毛が煙のように漂い、空中に上がると消える。体がどんどん薄く、どんどん透明になり、最後にあの琥珀色の目だけがまだ光っている。


「後悔してる?」と尋ねる。


「いいえ」とおばあちゃんの声がもう遠い。井戸の底から聞こえるように。「もっと早くすべきだったと後悔してるだけ」


狼は何も言わないが、目が私を見ている。その眼差しには平穏だけがある。


それから目も消えた。


まだ完全に消えていないのは私だけ。


崩壊する椅子に座り、崩壊する部屋を、崩壊する森を見つめる。壁が透明な膜になり、それらを透かして外の森が崩れ落ちるのが見える。木々が縁から消え始め、巨大な消しゴムに一本一本消されていく。空が裂け、白い光が亀裂から溢れ出る。


「外はこうなっているのか」と独り言を呟く。


体も溶けている。足首から上へ広がる。消える感覚が奇妙だ。痛くもかゆくもない。まるでその部分が最初から存在しなかったかのよう。


目を閉じる。


「さようなら」


虚無がすべてを飲み込んだ。


何も存在しない空間に漂っている。上下もなく、左右もなく、光もなく、闇もない。自分の体さえ感じられず、意識だけが残っている。宙に浮かぶ思念のように。


「ママ、もう一回赤ずきんのお話して」


子供の声が遠くから聞こえる。幼く澄んでいる。


だめ。お願い。やめて。


「いいわよ」ともう一つの声が響く。優しく成熟している。「昔々、赤い頭巾をいつもかぶっている女の子がいました……」


虚無が収縮し始める。


空間が私を押しつぶし、形作り、組み直している。骨が虚無から生え、血肉が包み、皮膚が最外層を覆う。


「やめて」と叫びたいが、まだ喉がない。


「……おばあちゃんは森の奥に住んでいました。ある日、ママが赤ずきんちゃんにおばあちゃんのお見舞いに行くように言いました……」


目が生えてきた。


目を開けると、天井の亀裂が元の場所にある。


また戻ってきた。


起き上がり、両手で顔を覆う。指はまだ私の指。皮膚はまだ私の皮膚。成功したと思った。ついに消えたと思った。


だがまた戻ってきた。


階下から母の声が聞こえる。


「赤ずきん、起きなさい」


震えながら階下へ降りる。母が背を向けてパンを切っている。トン、トン、トン。振り返ると、顔に空ろな笑顔が貼りついている。


「赤ずきん、起きたのね。さあ朝ごはん。今日はおばあちゃんのところへ行って。一人で森にいて、きっと寂しいわ」


じっと見つめ、声を震わせる。「なぜ?なぜ私たちは消えなかったの?」


母の笑顔が固まる。顔が痙攣し始め、目の黒い穴が拡大し、顔全体を飲み込む。口が人間の顔の構造を超えるほど大きく開き、中は虚空だ。


長い時間の後、虚空から声が出てくる。


「なぜなら……物語……まだ……語られて……いるから……」


一語一語が長く引き延ばされ、磁気テープが引っ張られるよう。それから顔が突然正常に戻る。


籠をつかんで飛び出す。


森へ向かって駆ける。マントが後ろでなびく。アーチをくぐり、木々が背後で閉じる。道を走る。砂利が足裏に食い込んで痛いが構わない。


「狼!」と叫ぶ。「どこにいるの!」


茂みが弾け、狼が飛び出してくる。私を見て、すぐに止まる。


見つめ合い、互いの目に同じ絶望を見る。


「失敗した」と息を切らす。


狼が頭を下げ、爪で地面を掻く。歪んだ文字を刻む:なぜ。


「私も分からない」と地面に崩れ落ちる。「もしかしたら消えることも台本の一部なのかも」


狼が顔を上げる。目の光が半分消えている。


「じゃあ永遠に出られない」


長い沈黙。森は相変わらず静か。狂いそうなほど静かだ。


長い時間が経って、ついに口を開く。


「考え方を変えるべきかも」


狼が首をかしげる。


「出られないなら」と立ち上がり、スカートの泥を払う。「繰り返しの中に新しいものを見つけよう」


「どういう意味?」


「台本は固定されてる。でも演じ方は選べる。これまでずっともがいて、苦しんでた。今度は受け入れて、その中に自分たちの瞬間を見つけよう」


狼が長い間じっと見つめ、それから頷く。


「おばあちゃんの家へ行こう」と森の奥へ向き直る。「今度はゆっくり歩こう」


砂利道を並んで歩く。私は走らず、狼も追わない。ただゆっくり歩く。散歩する二人の旅仲間のように。


周りに注意を向け始める。道端に小さな花が咲いている。青い花。しゃがんでじっくり花びらを見る。花びらがとても薄く、光が透けて見えるほど。細かい紋様が指紋のようについている。花芯は淡い黄色で、花粉が数粒付着している。


「前は気づかなかった」。手を伸ばして触りたいが、壊しそうで触れない。


狼も近づいて、鼻で軽く嗅ぐ。「ずっとあったのかも。急ぎすぎて気づかなかっただけ」


歩き続ける。幹に甲虫が這っている。甲羅に金属のような光沢があり、森の微かな光の中で緑色に光っている。とてもゆっくり這い、一歩一歩慎重に。触角が前で道を探る。


立ち止まって這うのを見る。長い時間をかけて、ようやく葉の上に這い上がり、葉の縁で止まる。葉の縁は鋸歯状で、歯の先端に一滴の露が掛かっている。露が光の中で虹色に輝く。


「きれい」と小声で言う。


狼も見ている。「前はこういうのに気づかなかった」


さらに前へ進む。道端に石が木の根に嵌まっていて、表面が鏡のように滑らかだ。しゃがんで、石の表面に映る姿を見る。映っている私ははっきりしているが、表情が今の私と合っていない。映像は笑っているが、私は笑っていない。


「見える?」と狼に尋ねる。


狼も覗き込む。「俺の映像もおかしい。眠っているのに、俺は起きている」


石の表面を撫でる。冷たく滑らか。映像の私も手を伸ばすが、指が石の表面に触れる時間が合っていない。映像が約半秒遅れている。


「ここのすべてがおかしい」と手を引く。


「でも少なくとも存在している」と狼が言う。「少なくとも感知できる」


いつもよりずっとゆっくり歩く。太陽が沈み始め、空の端が橙赤色の夕焼けに染まる。ここの夕焼けを見たことがない。いつも午後には家に着いていたから。


夕焼けが本当にきれいだ。


色が深い橙から淡いピンクへ段階的に変化し、雲が金色の縁取りを帯びる。光が雲の隙間を透過し、森に何本もの光の柱を投げかける。光柱の中に微細な塵が漂い、浮遊する星のようだ。


足を止め、空を仰ぐ。


「これは見たことなかった」


「俺も」と狼が隣に座り、同じく空を仰ぐ。


そのまま座って、夕焼けがゆっくり変化するのを見る。色が橙赤から紫紅へ、紫紅から深い青へ。星が現れ始める。一つ、二つ、三つ……数えようとするが、途中でやめる。星の数も固定されているかどうか知りたくないから。


「行かなきゃ」と狼が立ち上がる。


「うん」


歩き続け、ついに家が見えた。


おばあちゃんがドア口に立っている。ベッドに横たわっていない。きれいな灰色のロングドレスを着て、髪がきちんとまとめられている。顔に弱々しい表情はなく、目にむしろ少しの平穏がある。


「遅かったわね」と口を開く。声に笑みすら含まれている。「迷ったのかと思った」


「景色を見ていた」と彼女の前に立つ。「前は気づかなかったものをたくさん見た」


「価値あった?」


「とても」


おばあちゃんが体を横にずらす。「入って」


部屋に入る。狼も続く。部屋の匂いが変わっている。腐臭やカビ臭ではなく、淡い薬草の香りが漂う。暖炉の火が勢いよく燃え、火の光が正常な橙赤色で、温かく柔らかい。


テーブルにはもう三つのコップが並び、水が注がれている。


テーブルの脇に座る。今回は逃げ出すことを議論せず、真相を分析しない。ただ座って、炎が跳ねるのを見て、薪がパチパチ音を立てるのを聞く。


おばあちゃんが沈黙を破る。「これで十分かもしれない」


顔を上げる。「どういう意味?」


「明日にはまた最初からになるけれど」と炎を見つめる。「でも少なくとも今この瞬間は私たちのもの。ここに座ることを選び、平穏を選んだ」


狼が頭を前足に乗せる。「でも明日にはまた閉じ込められる」


「だから今日だけを考える」と狼を見る。「明日のことは明日」


コップを手に取る。水は冷たいが、飲み込む時、喉を通り、胃に流れ込むのが感じられる。これは本物の感覚だ。たとえこの世界が偽物でも、この瞬間の感覚は本物だ。


座り続ける。火の光が顔に踊る。誰も話さないが、この沈黙はもう圧迫的ではない。むしろ奇妙な安らぎがある。


炎がだんだん消え、部屋が闇に包まれる。体がまた透明になるのを感じる。


「また始まる」と小声で言う。


「また会おう」とおばあちゃんの声が闇の中で響く。


「また会おう」と狼が応える。


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