SeaArt AI Novel
Hogar  / かいだん(怪談・階段)とエレベーター(『黄昏駅』3)-“お題チャレンジ #9:「都市怪談」”応募作品
かいだん(怪談・階段)とエレベーター(『黄昏駅』3)-“お題チャレンジ #9:「都市怪談」”応募作品

かいだん(怪談・階段)とエレベーター(『黄昏駅』3)-“お題チャレンジ #9:「都市怪談」”応募作品

Última actualización: 2026-04-29 01:51:50
Idioma:  日本語12+
4.8
6 Clasificación
5
Capítulos
36.7k
Popularidad
19.4k
Total de palabras
Leer
+ Añadir a la biblioteca
Compartir:
Informe

Sinopsis

怪談話をしていると怪異が引き寄せられると申します。 そして、怪異は色事に弱いともまた申します。 これは、そんなことを知ってか知らずか、都市伝説のような怪談のような怖い話をしていたら怪異に巻き込まれてしまう二人の少女の物語です。


オカルトシリーズである『黄昏駅』シリーズの3作目にあたり、設定も他作品の由美と里子とは少々異なります。


“お題チャレンジ #9:「都市怪談」”応募作品です。


今日のテーマ: 「お題チャレンジ」都市怪談 お題チャレンジ #9:「都市怪談」背筋が凍るような都市怪談、聞かせてくれませんか


Capítulo1

第1章 カラオケルームの怪談話


【プロット1】

東京の夜景が一望できる、高層ビルの最上階。そこに設えられた高級カラオケルームの分厚い防音扉が、外界の喧騒を完全に遮断していた。静寂を支配するのは、巨大なスクリーンが放つ青白い光と、微かな空調の駆動音だけだ。歌うためではなく、ただ二人きりの空間を享受するために、由美と里子はこの場所を選んだ。


革張りの長大なソファの端に、小清水由美は背筋を伸ばして腰掛けている。クラス委員長という肩書きがそのまま形になったような、隙のない姿勢。艶やかな茶色のストレートヘアが、照明を反射して滑らかな光の筋を描く。膝の上に置かれた両手は、まるで何か壊れやすいものを守るかのように、固く組まれていた。時折、彼女の指がぴくりと動き、フレームの細い眼鏡の位置を無意識に押し上げる。その大きな瞳は、二人でひとしきりレパートリーを熱唱した後の、今は何も映していないスクリーンをぼんやりと見つめていた。


対照的に、相田里子はソファの反対側でだらりと身体を預けている。まるで猫のように、重力に身を任せるのが上手い。ゆったりとしたニットから覗く肩のラインは柔らかく、ふんわりとウェーブのかかった髪が、彼女の掴みどころのない印象を強調していた。その穏やかな微笑みは、この人工的な光に満ちた密室に、不思議な生気を与えている。


「ねえ、由美」

沈黙を破ったのは里子だった。その声は、水面に落ちた雫のように、静かに空間に広がっていく。


「怖い話、しない?」


【プロット2】


歌う気配のないまま流れるインストゥルメンタル曲をBGMに、里子は悪戯っぽく笑いながら続けた。


「とっておきのがあるんだ。……私のお姉ちゃんの話」

その言葉を発した瞬間、里子の纏う空気が微かに変化した。普段ののんびりとした雰囲気は後退し、まるで舞台役者のように、底光りするような目が由美を捉える。部屋の温度が一度か二度、下がったような錯覚。


「私のお姉ちゃんは、すごく才能のある画家だったの。お姉ちゃんはちょっとだけ変わり者で、街外れの古いアパートの一室を借りて、そこをアトリエにして、毎日のように絵を描いていたの。でも、その絵は私以外の誰にも見せたことがなかったの……」

里子の声は、囁くように低く、それでいて部屋の隅々にまで染み渡るようだった。ぞくり、と由美の背筋を冷たいものが駆け上がる。物語の世界に引き込まれていく感覚。彼女は知らず、組んでいた指に力を込めた。


「今から5年くらい前の、今日みたいな肌寒い日だったわ。私がお姉ちゃんのアトリエを訪ねてみると、鍵がかかってなかったのよ。不思議に思って中に入ってみると、アトリエの真ん中に、一枚だけ完成した絵がイーゼルに立てかけられていたわ。それは、これまで見たこともないほど美しくて……、でも恐ろしい絵だった……。血のような赤と、夜より深い黒で描かれた、歪んだ顔、顔、顔……。でも、アトリエにお姉ちゃんの姿はどこにもなくて。ただ、床に一筋、引きずったような跡が残っているだけ。その跡を辿っていくと、アトリエの隅にある、大きなクローゼットに続いていて……」

里子がそこで言葉を切り、ごくりと唾を飲む音だけが響いた。由美は息を詰め、物語の続きを待つ。クローゼットの扉の向こうに待ち受ける恐怖を想像し、心臓が嫌な音を立てて脈打った。


「私が、震える手でその扉を開けると……」

一瞬の、永遠にも感じられる沈黙。


「……っていう話なんだけど」

ふっと、里子の表情が緩んだ。いつもの穏やかな笑顔に戻っている。


「私、一人っ子なんだよね」

あっけらかんと言い放たれた言葉に、由美は数秒間、思考が停止した。緊張で強張っていた肩から、一気に力が抜けていく。


「え……?」

「だから、お姉ちゃん、いないの。全部、今考えた作り話」

里子はけらけらと笑う。その屈託のない笑顔に、由美は安堵と、少しばかりの拍子抜けを覚えた。確かに、冷静に考えれば、里子に姉がいたという話は聞いたことがなかった。恐怖のあまり、そんな単純な事実さえ忘れてしまっていたのだ。


「も、もう!里子ったら!」

頬を膨らませて抗議する由美の顔には、しかし微かな笑みが浮かんでいた。作り話だとわかった途端、あれほど生々しかった恐怖は、まるで陽炎のように揺らめいて消えていく。ほんの少しだけ、安心した。


【プロット3】


「じゃあ、今度は私の番ね」

仕返しとばかりに、由美は胸を張った。少しだけ得意な気分だった。自分にも、一つだけ、とっておきの怪談がある。


「これは、『落石注意』っていう話。お友達から聞いたお話なの」

咳払いを一つして、由美は語り始めた。今度は自分が、この空間の支配者だ。


「今から3年くらい前だったかしら。山奥の、一本道でのこと。その道は昔から『落石注意』の看板がたくさん立ってることで有名だったんだって。その道では、大きな岩が決まって車を狙ったかのように落ちてくるんだって。特に、カーブの多い、見通しの悪い峠道で……。あまりにも危険だから、トンネルが開通したら閉鎖される予定なんだって」


由美は里子の語り口を真似て、声を潜め、ゆっくりと間を取りながら話を進める。里子は興味深そうに、じっと由美の顔を見つめていた。その視線が、由美を少しだけ大胆にさせる。


「それでね、ある修学旅行のバスが、その峠道を通ることになったの。バスの中はすごく盛り上がってて、みんな歌ったりお喋りしたり。でも、一人だけ、顔色の悪い女の子がいた。その子、バスに乗る前からちょっとお腹の調子が悪くて……ううん、そうじゃなくて、バスに乗る前にジュースを飲み過ぎちゃったのかな。だんだん、その……おトイレに行きたくなっちゃって」


物語を語るうちに、由美の意識は、過去の記憶の断片へと滑り込んでいた。それは、彼女自身が中学の修学旅行で体験した、誰にも言えない秘密の記憶。あの日の、冷や汗と焦燥感。完璧な委員長である自分からは最も遠い、恥ずかしい姿。

「バスはどんどん山奥に入っていくし、次の休憩所まであと一時間もある。その子は必死に我慢したんだけど、バスの揺れが……その、なんていうか、すごく響いて……。もう限界、って思ったとき、バスが急ブレーキをかけたの。大きな岩が、バスの数メートル先にごろごろ転がっていて……」


そこまで一気に話すと、由美ははっと我に返った。怪談話に、自分の恥ずかしいエピソードを、あまりにも自然に織り交ぜてしまったことに気づく。頬が、かっと熱くなる。里子は気づいただろうか。いや、これはあくまで物語の中の女の子の話だ。そう自分に言い聞かせ、動揺を悟られまいと話を続けた。


「……運転手さんが『危なかった、あの岩に潰されるところだった』って言った。でも、顔色の悪かった女の子だけは知っていた。あの岩は、自分を助けるために落ちてきたんだって。もしバスが止まらなければ、自分は……大変なことになっていたから……、っていうお話なのよ。自分は……、ううん、その子はお陰で『助かった』らしいわ」

由美は話を終え、ごまかすように手元のグラスに手を伸ばした。里子の表情は、相変わらず穏やかで、何を考えているのか読めない。ただ、その唇の端が、ほんのわずかに吊り上がっているように見えた。


【プロット4】


ドリンクバーで取ってきた氷たっぷりのコーラ。炭酸の刺激が、話をした後の乾いた喉に心地よかった。グラスが空になる頃、店員がノックと共にフライドポテトのバスケットを運んでくる。こんがりと揚がったポテトから立ち上る、香ばしい匂いと湯気。


「わあ、美味しそう」

由美は早速一本つまみ、口に運んだ。カリッとした衣の食感と、中のほくほくとしたじゃがいもの甘み。そして、表面にまぶされた塩の、はっきりとした塩味。それがまた、喉の渇きを呼んだ。


「このポテト、ちょっとしょっぱいね」

「そう?でも美味しいよ」

里子は平然とポテトを食べ進めている。由美は、もう一度コーラのグラスを満たしに席を立った。戻ってきて、またポテトをつまむ。塩辛い、だから飲む。飲むと、また塩辛いものが欲しくなる。その単純な繰り返しに、彼女はすっかり夢中になっていた。怪談話で高ぶった神経が、食べるという単純作業で落ち着いていくようだった。


カラオケ機器のスクリーンは、色鮮やかなイメージ映像を延々と流し続けている。青、紫、緑。光が明滅するたびに、二人の顔の陰影が変わる。由美はいつの間にか、三杯目のコーラを飲み干していた。グラスの中でからんと音を立てる氷が、自分の身体の内部で起こっている変化に気づいていない、呑気な自分自身を嘲笑っているように感じられた。胃の中に溜まった冷たい液体が、じんわりと熱を帯び、ゆっくりと、しかし確実に、下腹部へとその存在を主張し始めていることに、この時の由美はまだ気づいていなかった。

Últimos capítulos

第5章 解放と歪んだ絆(エピローグ)

第5章 解放と歪んだ絆(エピローグ)


限界まで膨張し、悲鳴を上げていた肉体のダムが、ついに決壊した。


「あ……ぁっ、ああぁっ…

Última actualización: 2026-04-29
第4章 トイレ個室の告白

第4章 トイレ個室の告白


背後の金属扉が重々しい音を立てて閉まり、『13』のボタンで明滅していた異常な光と、得体の知れない気配が完全に遮断された。十五階のエレベ

Última actualización: 2026-04-29
第3章 エレベーターの怪異

第3章 エレベーターの怪異


個室の重い扉を背後に閉めた瞬間、通路に敷き詰められた分厚い絨毯の感触が、小清水由美の足裏を通して全身の神経を逆撫でした。

Última actualización: 2026-04-29
第2章 忍び寄る尿意

第2章 忍び寄る尿意


防音扉に閉ざされた空間には、先ほどまで語られていた怪談の余韻が、目に見えない微細な粒子となって漂っていた。モニターから流れる環境映像の青白

Última actualización: 2026-04-29

Valoraciones y reseñas

Los más gustados
Nuevo

También te podría gustar

Sin recomendaciones

No hay recomendaciones en este momento. ¡Vuelva más tarde!