ただ寝てるだけで国を救ってしまった俺、周りからは「神算鬼謀の天才軍師」だと思われているらしい
Synopsis
始まりは三日分の食糧、寝そべっていたら建国の軍師になっていた
目が覚めると、そこは食糧が尽きた飢饉の時代の古代農村だった。
飢えで目がくらみ始めたその時、目の前にクエストウィンドウが現れた。「三日間連続で寝そべってください。報酬:一畝あたり三千斤収穫可能な神の食糧」
俺はすぐさま死んだように横たわったが、村長は俺が気絶したと勘違いした。「アン坊!こいつに粥を食わせろ!」
三日後、村長は村人を率いて神の食糧の種を丁重に迎え入れた。「アン坊は生ける仙人様だったとは!」
それを聞いた県令は俺を軍師として召し抱え、敵軍の包囲を破るよう命じた。
システムは新たなクエストを発令した。「評定の場で居眠りをしてください」
俺のいびきが轟くと、県令は俺が天機を推し量っているのだと信じ込んだ。
深夜、城壁が破られた。県令が評定の間に飛び込んできた。「仙尊様、お目覚めを!」
気持ちよく寝ていた俺は寝返りを打ち、手を振った。「うるさいな、寝てるんだ!」
翌日、敵軍は不可解にも突如潰走。投降した兵士は白状した。「昨夜、仙尊様が袖から仙剣を飛ばし、我が主将の首を刎ねたのです…」
Chapter1
第1章 始まりは三日分の食糧、寝そべりは神の糧をもたらす
虫が梁を蝕む微かな音が、死のような静寂の中で無限に増幅される。鉛を流し込まれたかのように重い瞼をこじ開けると、茅葺き屋根の隙間から漏れるいくつかの光点が、目の奥を酸っぱく刺した。土壁のひび割れには青黄色の苔がびっしりと生え、隅に置かれていた最後の半碗分の黄褐色のふすまは跡形もなく消えている。泥の地面には、鼠の爪跡が刃物で刻んだかのようにくっきりと残っていた。
腹の底から燃え上がるような激痛が喉元まで突き上げ、俺は冷たい筵の上で身を縮こませてえずいた。しかし、出てくるのは苦い胆汁だけだった。
「……おなか、すいた……」
隣の藁山からか細い声が漏れる。骨と皮ばかりに痩せこけた少女、周草(シュウソウ)が身じろぎし、汗で濡れた額に黄ばんだ髪が張り付いている。唇は数カ所ひび割れて血が滲んでいた。彼女は俺がこの世界に転移して三日目に「拾った」名ばかりの妹だ。三日間で、最後の僅かな玄米も観音土と混ぜて食い尽くしてしまった。この同姓同名の体の元の持ち主は、昨日、木の皮をかじっている最中に足を踏み外して死に、代わりに俺という現代の魂が入り込んだ。俺たち、一体どちらが不運なのだろう。
「草(ソウ)、力を温存しろ」俺は掠れた声でそう絞り出した。喉が紙やすりのように擦れる。四方から風が吹き込む土壁の家を見渡す。食糧も金もなく、あるのは錆びた柴刈り鎌が半丁だけ。まさか妹を……。
胃が再びねじ切れるように痙攣したその時、半透明の幽玄な緑色の文字が何の予兆もなく目の前に浮かび上がった。
【宿主の瀕死状態を検知】
【九九六(ククロク)祝福システム、強制バインド開始】
【初回インセンティブクエスト発令】
■クエスト名:【初級サボり】
■クエスト内容:72時間連続で寝そべり続けること。期間中、必要最低限の生理活動(注:瞬き、ゆっくりとした呼吸を含む。大笑い、疾走、大幅な身体動作は禁止)を除く一切の行動を禁ずる。
■失敗ペナルティ:永久的な低血糖(心拍数低下コース付き)
■クエスト報酬:神級交配サツマイモの種芋×10斤(一畝あたり三千斤収穫可能、耐寒性・耐貧瘠性あり)
俺はその文字を、目玉が飛び出るほど見つめた。なんだこのクソシステムは?寝そべるだけで食糧がもらえるだと?
その時、壁の隅をさっと灰色の影が横切った!最後の食糧を奪い去ったあの太った鼠が戻ってきたのだ。緑豆のような目で挑発的に俺を見つめ、柴刈り鎌のそばにしゃがんで前足を舐めている。その膨らんだ頬袋――ふすまが奴の歯の間で砕ける音まで想像できた!
腹の底から邪な炎が頭のてっぺんまで突き抜ける!
「失せろ――っ!」喉を引き裂くような叫び声。どこからか力が湧き、柴刈り鎌を掴んで飛びかかった!錆びた刃が空を切り、泥の地面に叩きつけられる。鼠はとっくに逃げ去り、刃は灰色の毛を半分ほど削ぎ落としただけだった。俺は力尽きて膝から崩れ落ち、目の前で星が散り、喉の奥から生臭いものが込み上げてくる。壁の隅には砕けた土と枯草しかなく、鼠の足跡は壁のひび割れの奥へと続いていた。
最後の一粒まで……本当に無くなった。
俺は冷たい泥の上に崩れ落ち、胸が激しく上下する。腐った藁の黴臭さ、土の匂い、そして血の匂いが鼻腔に流れ込んできた。
足掻くなんてクソ食らえだ。柴刈り鎌もクソ食らえだ。俺はゆっくりと、一寸ずつ、あの寝心地の悪い筵の上へと戻り、骨を抜かれた死体のように、身を投げ出した。
「ピン!」
耳元で軽い音が響いた。
【クエスト目標更新】
連続寝そべりカウントダウン:71:59:59
瞼がどんどん重くなる。朦朧とする意識の中、ただ一つの歪んだ思考が暗闇に浮かんでいた。
システム…てめえ…約束は守れよな……。
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