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好感度MAXより重い愛

好感度MAXより重い愛

Last Updated: 2025-11-23 06:55:11
By: buma
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Language:  日本語0+
5.0
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6
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Synopsis

乙女ゲームに転生!完璧王子と天才魔術師、選ぶだけの楽勝ルートのはずが——


彼らの愛情は『好感度』じゃない。息が詰まるほどリアルで重い、本物の【激重感情】だった!?


恋を選べば破滅する。ならば、姫が選ぶのは——恋じゃない、「戦略」という名の全く新しい道!


Chapter1

柔らかな絹のシーツが肌を撫でる感触と、知らない花の甘い香りで、ユキは意識を浮上させた。重いまぶたをこじ開けると、視界に飛び込んできたのは、見たこともない豪華絢爛な天蓋付きベッドの天井だった。

(……どこ、ここ?)

体を起こすと、艶やかなサテンのネグリジェが滑り落ちる。見渡す限り、部屋はロココ調とでも言うべき、優雅で洗練された家具で満たされていた。大きな窓の外には、絵本で見たような美しい庭園が広がっている。

状況が全く飲み込めない。昨夜は確か、大学のレポートを片付けるために徹夜して、明け方にようやく自室の安物のベッドに倒れ込んだはずだ。こんなお城のような場所にいるはずがない。

混乱したままベッドから降り、ふらふらと豪奢な姿見の前に立つ。そして、ユキは息を呑んだ。

鏡に映っているのは、自分ではなかった。

そこにいたのは、プラチナブロンドの柔らかなウェーブヘアが肩まで流れ、アメジストのように紫に輝く大きな瞳を持つ、まるで人形のように美しい少女。陶器のように滑らかな白い肌、華奢な手足。それは、ユキがここ数ヶ月、夢中になってプレイしていた乙女ゲーム『永遠のコンチェルト』のヒロイン、ソフィア・アストリア王女その人の姿だった。

「嘘……でしょ……?」

自分の口からこぼれたのは、ソフィアのものと思われる、鈴を転がすような可憐な声だった。恐る恐る自分の頬に触れると、鏡の中の少女も同じ動きをする。

(マジか。マジで、私、ソフィア姫になってる!?)

いわゆる、異世界転生。オタクの端くれとして何度も創作物で目にしてきたシチュエーションだが、まさか自分の身に起こるなんて。頭がくらくらする。

『永遠のコンチェルト』は、アストリア王国の王女ソフィアが、十八歳の成人式を機に、二人の求婚者の中から未来の伴侶を選ぶという物語だ。一人は、同盟国エリシオンの完璧王子、カイサル。もう一人は、幼馴染で王国を守る天才大魔術師、イーロ。

(つまり、今って、ゲームのオープニング直後ってこと!?)

そう理解した瞬間、重厚な扉がノックされ、ゆっくりと開かれた。入ってきたのは、威厳のある壮年の男性。立派な髭をたくわえ、きらびやかな礼装を身につけている。ゲームで見た、ソフィアの父親でありアストリア国王その人だった。

「ソフィア、起きていたか。昨日の成人式の疲れは取れたかな?」

「お、お父様……」

咄嗟に、ゲーム知識から絞り出した敬称で呼びかける。国王は満足そうに頷き、娘のそばまで歩み寄った。

「うむ。さて、お前ももう立派な大人だ。今後の王国のためにも、身を固めることを考えねばならん」

(来た!これ、強制イベントだ!)

ユキの内心が警報を鳴らす。

「お前も知っての通り、エリシオン王国のカイサル王子と、我が国が誇る大魔術師イーロ殿、双方からお前への婚姻の申し出が届いている。どちらも、これからのアストリアを支えるために不可欠な存在だ。……だから、ソフィア。お前の心に従い、一人を選びなさい」

それは、命令だった。拒否権などない、王女としての義務。

(いやいや、待って。心の準備が!いきなりルート選択とか無理だから!)

顔は引きつり、冷や汗が背中を伝う。しかし、目の前の国王は有無を言わさぬ表情でユキ——ソフィアを見つめている。

「彼らはもう、下の応接室で待っている。さあ、顔を見せておやりなさい」

強制的に腕を取られ、わけもわからないまま壮麗な廊下を歩かされる。頭の中では「推しに会える!」というオタクの歓喜と、「どう対応すればいいんだ!」というプレイヤーのパニックが激しくぶつかり合っていた。

やがて、小さな応接室の前にたどり着く。深呼吸一つ。メイドが扉を開けると、そこに、二人の男性が立っていた。

一人は、陽光を溶かし込んだような輝く金髪に、空色を映した瞳を持つ青年。寸分の隙もない立ち姿、優雅な微笑み。まさしく、ゲームのスチルから抜け出してきたような完璧王子、カイサル・フォン・エリシオン。

もう一人は、月光を紡いだような静かな銀髪に、知性を宿した紫水晶の瞳を持つ青年。黒を基調とした魔術師の装束をまとい、どこか近寄りがたい雰囲気を漂わせている。幼馴染にして天才、大魔術師イーロ。

(うわあああ!本物だ……!動いてる……!)

あまりの衝撃に、ユキは思考を停止させた。カイサル王子が優雅に一歩進み出て、ソフィアの手を取り、その甲に恭しく口づける。

「麗しのソフィア姫。成人おめでとうございます。この日を共に祝えること、心より光栄に存じます」

甘く響く声。完璧な王子様ムーブ。ユキの心臓が、ゲームの時とは比べ物にならないほど激しく高鳴った。

その一方で、イーロは数歩離れた場所から、ただ静かにこちらを見つめている。彼の視線には、カイサルのような熱っぽさはない。けれど、その奥に何かを探るような、懐かしむような、複雑な色が揺らめいていた。

「……おめでとう、ソフィア」

短く、それだけを告げる。しかし、その声には聞き覚えのあるような親密さがあった。

太陽のような王子と、月のような魔法使い。

キラキラと輝く金髪と、静かに艶めく銀髪。

熱烈な好意を向ける視線と、静謐な観察者の視線。

二人の伝説の攻略対象に左右から挟まれ、ユキことソフィアは完全にフリーズした。

(嘘でしょ……ゲーム開始早々、クライマックスじゃないの、これ?)

これから始まるであろう波乱の物語を予感し、ソフィアはただ、その場で立ち尽くすことしかできなかった。

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