Synopsis
クロエと共に、冒険者ギルドでの初仕事を終えたエバンリアッセは、男性3人のパーティーに遺跡の探索に誘われる。
SeaArt.AI小説で公開していた成人向け作品の、遺跡探索の話を、全年齢向けに再生成したものです。
Chapter1
夕方の温かな光が冒険者ギルドの窓から差し込む中、エバンリアッセとクロエは受付カウンターの前に立っていた。左側から前に垂らした銀髪を軽く払いながら、エバンリアッセは満足そうな表情で受付嬢に報告書を手渡している。
「グラハム子爵邸の件、無事調査完了いたしました」彼女は丁寧にお辞儀をしながら言った。「建物の使用者は正当な理由のある関係者で、問題ございませんでした」
「ご苦労様でした」受付嬢は報告書に目を通すと、にこやかに微笑んだ。「初回の依頼としては上々の結果ですね。こちらが報酬になります」
差し出された革袋には、思っていた以上の銀貨が入っていた。クロエも嬉しそうに頷きながら、「ありがとうございます」と丁寧に礼を述べる。
「お疲れ様でした、クロエさん」エバンリアッセは振り返りながら言った。「初めての冒険者としての仕事、とても勉強になりました」
「こちらこそ」クロエは黒いブラウスの裾を整えながら答えた。「エバンリアッセさんのおかげで、スムーズに完了できました」
二人がギルドの出口に向かおうとした時、背後から声をかけられた。
「ちょっと待ってくれよ、お嬢さんたち」
振り返ると、三人組の男たちが近づいてきた。先頭に立つのは三十代前半の浅黒い肌をした男性で、筋骨隆々とした体格に革の鎧を着込んでいる。その左右には二十代後半と思われる男たちが控えており、いずれも冒険者らしい装いだった。
「俺の名前はガレス」先頭の男が親しみやすい笑顔を浮かべながら自己紹介した。「こっちがトム、そしてこいつがジェイク。みんな冒険者だ」
「エバンリアッセです」彼女は丁寧にお辞儀をした。「そちらはクロエさん」
「よろしくお願いします」クロエも礼儀正しく挨拶したが、その赤い瞳にはわずかに警戒の色が浮かんでいた。
「さっき君たちの依頼報告を聞かせてもらったんだが」ガレスは前へ一歩踏み出した。「なかなか手際がいいじゃないか。実は、俺達ちょっと困ってることがあってさ」
「困っていること、ですか?」エバンリアッセは首を傾げた。
「実はな」ガレスの瞳に興奮の光が宿った。「この街から北へ二日ほど行ったところで、古い遺跡を見つけたんだ」
トムと呼ばれた痩せ型の男が続けた。「相当古いもので、魔法的な仕掛けが施されてる。入口の魔法陣を起動するのに、最低五人の魔力が必要らしい」
「五人...」クロエが呟いた。「それで私たちに声をかけたのですね」
「そういうことだ」ガレスは頷いた。「中にさえ入れれば、もしかしたら金銀の財宝が眠ってるかもしれない。古代の遺跡だからな、相当な価値があるはずだ」
ジェイクという名の若い男が身を乗り出した。「もちろん、見つけた財宝は平等に山分けする。どうだい、一緒に行かないか?」
エバンリアッセとクロエは顔を見合わせた。
「少し相談させていただけますか?」エバンリアッセは男たちに向かって言った。
「もちろんだ。じっくり考えてくれ」
二人は少し離れた場所で小声で話し合いを始めた。
「エバンリアッセさん」クロエは不安そうな表情で囁いた。「なんだか怪しくありませんか?初対面の私たちに、そんな貴重な情報を教えるなんて」
「そうですね...確かに唐突でした」エバンリアッセも考え込むような表情を見せた。「でも、必要な人数が足りないのなら、声をかけるのも自然かもしれません」
「でも...」クロエはまだ躊躇していた。「私には冒険者としての経験も浅いですし、足手まといになるかも」
エバンリアッセはクロエの肩に優しく手を置いた。
「大丈夫ですよ」彼女の青い瞳は自信に満ちていた。「私たちも少しずつ経験を積んでいけばいいんです。それに、こうした出会いも旅の醍醐味じゃありませんか」
その笑顔を見て、クロエの表情が和らいだ。確かにエバンリアッセと一緒なら、多少の危険も乗り越えられるだろう。
「...分かりました」クロエは小さく息を吐いた。「エバンリアッセさんがそうおっしゃるなら」
二人は男たちの元へ戻った。
「お話をお受けいたします」エバンリアッセは明快に答えた。「よろしくお願いします」
「よし!」ガレスは拳を握りながら声を上げた。「これで五人揃った。明日の朝一番に出発しよう」
翌朝、五人は街の北門から出発した。石畳の道から自然の小道へと移り、徐々に文明の痕跡から離れていく。エバンリアッセは白いゴシック風の服に旅装を整え、クロエも新調した黒いブラウスとスカートで歩調を合わせている。
道中、男たちは様々な冒険の話を披露した。魔物との戦闘体験や、他のダンジョンで見つけた財宝の話など、聞いている分には面白い内容ばかりだった。
「エバンリアッセちゃんは、どんな魔法が使えるんだ?」ガレスが歩きながら尋ねた。
「そうですね...少し特殊な魔法を」エバンリアッセは曖昧に答えた。彼女が取得した魔法は淫魔が使うものを応用した魔法であり、あまり気軽に話せる内容ではない。
「謙遜しなくていいって」トムが笑った。「昨日のギルドでの話を聞く限り、相当腕が立つようじゃないか」
クロエが補足した。「エバンリアッセさんは格闘技がとてもお上手なんです」
「ほう、武術も嗜むのか」ガレスは感心したように頷いた。「頼もしいパートナーじゃないか」
午前中から歩き続け、昼食を取った後もさらに進んだ。夕方になる頃、一行は小さな森の中で野営することになった。
「今夜はここで休もう」ガレスが適当な空き地を指差した。「明日の昼頃には遺跡に着くはずだ」
男たちは手慣れた様子でテントを設営し、クロエは焚き火の準備を始めた。エバンリアッセは周辺の安全確認を兼ねて、少し離れた場所まで偵察に向かう。
「特に問題はないようですね」戻ってきたエバンリアッセが報告した。「魔物の気配もありません」
夕食は男たちが持参した保存食と、エバンリアッセが川で汲んできた真水で作った簡素なスープだった。焚き火を囲んで五人でそれを分け合い、湯気のたつ器を手に一息つく。
「美味いな」ガレスはスープを一口飲んで目を細めた。「野営の食事にしては上等だ」
「ありがとうございます。川で摘んだ野草を少し加えました」エバンリアッセは微笑んだ。「こういう知恵は旅の中で自然と身につくものですね」
「道中で薬草を見つけて即席のスープに...大した観察力だな」トムは感心したように言った。
火の向こうから、ジェイクが少し照れくさそうに口を開いた。
「なあ、エバンリアッセちゃん。聞いてもいいか。そんな強くて度胸もあって、しかも料理まで上手いって、どんな師匠に育てられたんだ?」
エバンリアッセは炎を見つめながら、少し懐かしそうな顔をした。
「変わった師匠でしたよ。山の中の小屋に一人で住んでいて、最初はお弟子入りをお断りになったんです」
「断られたのに、どうやって弟子になったんだ?」ガレスが身を乗り出す。
「一週間、師匠の小屋の前で待ち続けました。その間、薪を割ったり、水を汲んだり、できることは全部して。七日目の朝に扉が開いて、『やれやれ、根性だけはあるようだ』と言われました」
クロエが初めて、ほんの少し口角を上げた。
「...それは確かに、師匠が根負けするはずです」
笑い声が焚き火の周りに広がった。男たちも顔をほころばせる。
「それで、師匠からは何を教わったんだ?」トムが続けた。
「武術だけじゃなく、自然の読み方、人の心の動き方、そして――」エバンリアッセは少し間を置いた。「『力は守るためにあるのであって、奪うためにあるのではない』という言葉を、いつも教えてくださいました」
しばらく、焚き火だけが穏やかに燃える時間が続いた。
「いい師匠だな」ガレスは静かに言った。「俺の師匠は正反対だったぜ。『弱いやつから奪えばいい』ってタイプで、それが嫌で飛び出した。今思えば、あの選択は正解だったと思う」
「そうかもしれませんね」エバンリアッセは頷いた。「人がどんな師匠と出会うか、あるいはどの師匠のどの言葉を選んで胸に刻むか。それが、その人の歩む道を変えていくんだと思います」
「なんだか哲学的だな」ジェイクが苦笑いを浮かべた。「でも、まあ、そういう話も悪くない」
クロエは焚き火の炎を見つめながら、静かに言った。
「私も...師匠というわけではありませんでしたが、育ての親から剣の手ほどきを受けました。その人が教えてくれたのは、剣の技よりも先に、なぜ剣を持つのかを問いなさい、ということでした」
「なぜ剣を持つのか、か」ガレスが繰り返した。「深いな」
「私はまだ、その答えを探しています」クロエは静かに、しかしはっきりとそう言った。
誰も余計なことは言わなかった。五人はしばらく炎を眺め、それぞれの思いを胸の中で転がした。
やがてガレスが立ち上がった。
「そろそろ交替で見張りを立てよう。明日は遺跡探索で体力を使うからな」
「私も見張りに加えてください」エバンリアッセがすぐに手を挙げた。「夜目が利くほうですので、後半をお任せください」
「頼もしいな。じゃあ、最初の番は俺とトムで行く。エバンリアッセちゃんとクロエちゃんは先に休んでくれ」
テントに入りながら、クロエはエバンリアッセに小声で話しかけた。
「...思ったより、悪い人たちではありませんでした」
「そうですね」エバンリアッセは穏やかに笑った。「人は話してみないと分かりません。それに、自分が大切にしている言葉を持っている人は、信用できることが多いものですよ」
クロエは少し考えてから、小さく頷いた。
外では焚き火が静かに燃え続け、見張りの二人が低く言葉を交わしている。森の夜は静かで、遠くで梟の声がした。新しい仲間との、穏やかな夜が更けていった。
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エバンリアッセは慎重に崩れた壁の向こうへ足を踏み入れ、クロエもすぐ後に続く。
そして二人が目にしたものは—
「なんて...」
通路を進むエバンリアッセの足音が、石造りの廊下に規則的に響いていた。左側から前に垂らした銀髪が歩調に合わせて揺れており、ランタンの光が石壁に二人の影を映している。
遺跡の内部はひんやりとした空気に満ちていた。一行はガレスを先頭に、エバンリアッセが持参したランタンの明かりを頼りに、慎重に階段を下りていく。壁には奇妙な彫刻が施され、時折、隠された罠が作動した
森の朝は清々しかった。
木々の間から差し込む淡い光が地面に美しい影を落とし、小鳥たちのさえずりが静寂を破る。焚き火の残り火がまだわずかに温もりを保っており、そ
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