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トライアングル・ウォーズ~翼に託す恋歌

トライアングル・ウォーズ~翼に託す恋歌

Última actualización: 2026-02-02 07:45:06
By: SkyDustAkina
En desarrollo
Idioma:  日本語12+
4.3
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15
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Sinopsis

戦場で歌うバルキリー少女、二人の男に挟まれてガチ恋勢。ミサイルと音楽で宇宙がヤバい。三角関係でメンタル崩壊寸前だけど、歌で敵も味方もイチコロ。愛と戦いで strongest になる系青春ストーリー。推しが尊すぎて生きるのつらい。


Capítulo1


(BGM: ライオン - May'n / 中島愛)

警告音が鳴り響いている。

アルタイルは操縦桿を強く握りしめた。YF-29「デュランダル」の機体が悲鳴を上げる。目の前のモニターは赤一色だ。

「遅い!」

彼は叫んだ。スロットルを叩き込む。四枚の主翼が展開し、マイクロミサイルの雨がバジュラの群れを食い破る。

「私達の歌を……聴けぇぇぇッ!!」

通信回線越しに、シェリル・ノームの絶叫にも似た歌声が響く。ランカ・リーの澄んだ声がそれに重なる。二つの歌声は螺旋を描き、戦場を支配するはずだった。

だが。

ザザッ――キィイイイイイ!!

ノイズ。

いや、違う。これは悲鳴だ。

シェリルの歌が歪んだ。フォールド波のモニタリンググラフが、美しい正弦波からギザギザの荒波へと変貌する。

「ぐっ……あぁっ!?」

モニターの片隅。シェリルの映像が乱れる。彼女が胸を押さえ、膝をつくのが見えた。首筋の紫色の結晶が、まるで生き物のように脈打ち、肌を侵食していく。

「シェリルさん!? ランカちゃん!?」

アルタイルは舌打ちした。視線をレーダーからデータ解析画面へと走らせる。

発生源はバトル・ギャラクシー。

グレイス・オコナーだ。あいつが「反転干渉波」を撃ってきた。歌姫の脳皮質を直接焼き切るつもりだ。

「クソッ、やらせるかよ!」

SMS本部からの撤退命令が届く。

『各機、一時後退! 歌が途切れた! これ以上は――』

「無視だ」

アルタイルは即答した。コンソールに指を走らせる。

『アルタイル!? 何をする気だ!』

「避雷針になる」

彼はリミッター解除のスイッチに指をかけた。

ISC(慣性蓄勢コンバーター)。フォールド・クォーツ。これらすべてを暴走させる。

警告表示が出る。「LIMITER FORCE OUT」。

機体がガクンと震えた。

「うおおおおッ!」

YF-29が金色の光を放つ。アルタイルは機体をシェリルたちのいるアイランド1とバトル・ギャラクシーの射線上に割り込ませた。

襲い来る干渉波。

見えない奔流が機体を叩く。

装甲が軋む音じゃない。骨がきしむ音がした。

「ぐ、がぁ……ッ!」

鼻から血が垂れる。視界が赤い。

全神経を焼かれるような激痛。だが、彼は笑った。

(効いてるじゃねえか……!)

干渉波がYF-29のフォールド・クォーツに吸い込まれていく。

歌姫たちの苦悶の声が止まった。

「今だ……歌えッ!」

アルタイルは血を吐きながら叫んだ。

「お前たちの歌は、こんなもんじゃないだろッ!」

その声が届いたのか。

シェリルが顔を上げた。瞳孔が開いている。死相がにじみ出ている。だが、彼女はマイクを強く握り直した。

ランカが目を見開く。

歌声が、戻る。

だが、代償は大きすぎた。

YF-29の許容量を超えた負のエネルギーが、機体内部で飽和する。

パリーン。

乾いた音がした。コクピットの計器が次々と爆ぜる。

ISCが限界を超えた。

機体の周囲の空間が歪む。爆発ではない。空間そのものが、黒く、深く、裂けていく。

「ゼロ・フォールト」……。

アルタイルの脳裏に、そんな単語が浮かんだ。常識外のエネルギー衝突が生んだ、次元の裂け目。

吸い込まれる。

操縦桿が効かない。スラスターも反応しない。

「アルタイル君!」

ランカの叫び声。

「あんた、まさか……!」

シェリルの絶句。

体が浮く感覚。重力が消えた。いや、逆転したのか。

金色の光が機体を包み込む。

アルタイルは最後の力を振り絞り、通信ボタンを押し込んだ。

「止めるな……続けろ、歌うんだ!」

それが最後だった。

光が彼を飲み込んだ。

レーダーから輝点(ブライト)が消失する。

「アルタイルーーッ!!」

戦場に静寂が落ちた気がした。だが、それは一瞬だ。

現実は残酷だ。

次元断層の向こう側へと飲み込まれたはずの機体。しかし、その「残骸」とも呼べる質量を持った物体が、再びレーダーに現れた。

ただし、動力反応はない。

魂の抜けた鉄の塊。

YF-29はゆっくりと、しかし確実に、バジュラ母星の重力に捕まった。

眼下には強酸の雲と、荒れ狂う嵐。

落ちていく。

「嘘……でしょ……」

シェリルは震える手で唇に触れた。

あいつが、いない。

守ってくれた。そのせいで、あいつが。

「ふざけないでよ!」

彼女は叫んだ。喉が裂けてもいい。血管が千切れてもいい。

「ノーザンクロス」。

絶望の淵で歌う鎮魂歌ではない。これは、引き留めるための歌だ。

「あぁぁぁぁぁッ!!」

リミッターを外したのは彼女も同じだ。V型感染症のウイルスが脳を侵食する速度が加速する。それでも、彼女は声を張り上げた。

届け。届け。あの馬鹿に届け。

隣で、ランカが膝をついた。

目は閉じられている。だが、彼女は歌うのを止めなかった。

(感じる……)

ランカの意識が拡散する。

「リトル・クイーン」。バジュラと心を通わせる力。

彼女はその感覚を極限まで研ぎ澄ませた。

物理的な距離じゃない。フォールド波のネットワーク、その広大な海の中に、彼女はダイブした。

アルタイルの波長を探して。

彼の「音」を、絶対に逃さないために。

二人の歌姫の絶唱が、バジュラ母星の大気圏へと落ちていく機体を追いかける。

しかし、YF-29は沈黙したまま、分厚い雲の中へと消えていった。

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