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腐海=ブロッコリー

腐海=ブロッコリー

อัปเดตล่าสุด: 2026-05-17 04:01:04
By: 白い月
เสร็จสิ้น
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เรื่องย่อ

ナウシカ漫画版にOCミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵とブラックヴァルキリー・カーラがお邪魔してブロッコリー食べる話


アニメナウシカとは色々違います。ナムリス出てくるし。


บท1

 肺の奥に刺さるような、硬質で不快な冷気があった。

 ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは、まず己の視界を覆う異様な色彩の氾濫を認識した。ヴァーレンス王国の王都で見られるような、生命の脈動がもたらす鮮やかさではない。それは、腐敗と結晶化が同時に進行しているかのような、病的なまでに美しい死の色彩だった。

 頭上を覆うのは、光を遮る厚い雲と、その下を漂う雪のような白い微粒子。だが、その粒子は肌に触れても溶けることはなく、むしろ吸い込めば内側から肉を蝕むであろう、鋭利な毒性を帯びて大気中に充満している。

 隣に立つブラックヴァルキリー・カーラが、不機嫌そうにその漆黒の翼を震わせた。彼女の黄金の瞳が、周囲の異様な光景を射抜くように動く。シルバーホワイトの髪には、すでに例の白い粉が薄く積もり始めていた。彼女の鼻腔をくすぐるはずの美味な香りはどこにもなく、代わりに漂っているのは、湿った土と、何かが永劫に分解され続けているような、鼻を突く菌類の臭気であった。

「……ミハエル、ここはわたしの知っている『下界』とは、ずいぶんと作法が違うようだ。

 おもてなしの精神が欠片も感じられないぞ。

 空気がこれほどまでに重苦しく、呼吸をするだけで魂が削り取られるような場所、ヴァルキリーの古い記録にもない」

 カーラは手にした槍の石突きで、足元の地面を軽く叩いた。そこには草の一本も生えておらず、ただ巨大なキノコのような、あるいは粘菌が硬化したような、不気味な隆起が大地を覆い尽くしている。彼女の言葉通り、この空間には「生」を歓迎する気配が一切なかった。

 ミハエルは金糸の刺繍が施された黒いコートの襟を立て、周囲の霊波動を静かに探った。彼の指先が空をなぞると、不可視の波紋が広がり、大気中の有害物質を一時的に押し広げる。

「おやおや、これは手厳しい歓迎だ。カーラ、君の言う通り、ここは美食家が訪れる場所ではなさそうだな。この空気の密度、そして霊的な沈黙……。

 まるで、世界そのものが巨大な肺になって、毒を吐き出しながら浄化を試みているかのようだ。

 見てごらん、あの巨大な植物――いや、菌類か。あれが放っているのは、単なる胞子ではない。単なるブロッコリーだぜ」

 ミハエルが指し示した先には、数階建てのビルほどもある巨大な「ムシゴヤシ」が、不気味な触手を空に向けて伸ばしていた。その表面からは絶え間なく、例の白い粉が煙のように噴き出している。彼が知る魔法の体系とは明らかに異なる、生物学的な必然に基づいた死の循環がそこにはあった。

 二人は、かつては文明の利器であったと思われる、錆び果てた金属の塊の影を歩き始めた。それは巨大な翼のようでもあり、あるいは打ち捨てられた巨人の肋骨のようにも見えた。ミハエルはその表面に触れ、指先に残る冷たい感触を確かめる。セラミックと金属が融合し、長い年月を経て腐食したその残骸は、この世界の住人たちがかつて高度な技術を持ち、そしてそれを自らの首を絞めるために使ったことを雄弁に物語っていた。

「ミハエル、あそこを見てくれ。あんなに汚れた風の中でも、何かが動いておるわ。こわっぱが」

「戦闘民族ブロッコリーだな」

 カーラの鋭い視線の先、腐海と呼ばれる森の深淵から、巨大な影がゆっくりと這い出してきた。それは、いくつもの眼球を頭部に備え、無数の脚で大地を揺らしながら進む、装甲を纏った巨大な虫であった。王蟲――その存在を知らぬ二人にとって、それは生理的な嫌悪感を通り越し、一つの完成された自然の驚異として映った。

 王蟲の数多くの眼は、今は深い漿液のような青色に濁っている。それが通り過ぎるたびに、周囲の菌類の森は共鳴するように微かな音を立てた。カーラは本能的に槍を構え、翼を半ば広げて戦闘態勢に入ったが、ミハエルは彼女の手を優しく制した。

「待ちな、カーラ。あの生き物からは、敵意も、あるいは知性ある存在への関心すらも感じられない。

 あれは、この壊れた世界を修復するための、歩く有機ロボットのようなものだ。……いや、失礼。装置と言うのは彼らに失礼かな。あれこそが、この星の新しい主人なのかもしれない」

「主人?  あんな不細工なブロッコリーがか?  冗談でしょう。わたしの故郷の神々の方が、まだしも美意識というものを持っていたわ。それに、見て。あの虫が通った後の魂の輝き……。あんなに薄っぺらくて、今にも消え入りそう。

 この世界の人間たちは、一体何を食べて、何を信じて生きているのだ。魂の欠片で食事代を払うなんて、ここでは夢のまた夢だな」

 カーラは空腹を思い出したのか、あるいはこの世界のあまりの「乏しさ」に呆れたのか、肩をすくめて溜息をついた。彼女にとって、魂の価値がこれほどまでに低く見積もられ、ただ生存することだけに全霊を捧げねばならない環境は、耐え難い退屈と苦痛を伴うものだった。

 ミハエルは、足元に転がっていた奇妙な形の仮面を拾い上げた。それは、人間の顔を覆うための防毒マスクであったが、フィルター部分はすでに朽ち果て、持ち主がどのような最期を遂げたのかを想像させるに十分なほど、無残にひしゃげていた。

「カーラ、君は雨が好きだったね。だが、この世界で降る雨は、おそらく君の翼を癒やすようなものではない。

 それは、大気中の毒を溶かし込み、大地をさらに不毛にする酸の雫だろう。

 ……ああ、困ったな。わたしの創意工夫をもってしても、ここをすぐに快適なリゾート地に変えるのは難しそうだ。何しろ、呪禁道で『不幸を禁止』しようにも、この世界そのものが不幸という土壌の上に成立しているのだからね」

 ミハエルは自嘲気味に笑い、マスクを再び地面に置いた。彼の青い瞳には、知的好奇心と共に、この絶望的な状況に対する深い同情が宿っていた。彼は、クラスメイトの失敗を身代わりになって引き受けるような、あの奇妙なまでの自己犠牲精神の持ち主である。この、世界規模で「漏らしてしまった」人類の過ちを前にして、彼が何も感じないはずがなかった。

「……でも、不思議だ。これほどまでに死に満ちているのに、あの森の奥からは、奇妙に澄んだ響きが聞こえてくる気がする。まるで、泥沼の底で真珠が磨かれているような、そんな不自然な清浄さ」

 カーラが耳を澄ませる。ヴァルキリーとしての彼女の感性は、物理的な汚染のさらに奥底にある、この世界の「目的」を微かに察知していた。それは、数千年単位で行われる、壮大な浄化の計画。人間という種を排除してでも成し遂げようとする、地球の自浄作用。

 二人は、風に乗って流れてくる腐海のざわめきを聞きながら、その場に立ち尽くした。遠くの方で、大砲の音のような鈍い響きが聞こえる。それは、この死にゆく世界でなおも争いを続ける、人間たちの愚かな足音であった。

「さて、公爵としての義務を果たしに行くとしようか。まずは、この喉を焼くような空気をどうにかするのが先決だが……。カーラ、君の『ブラックヴァルキリー・ハーモニー』で、私に『この世界の毒に耐える特性』を与えてくれるかい? お返しと言っては何だが、今夜の夕食は、私の魔法で再現できる最高級のローストビーフを約束しよう。……もっとも、材料となる『概念』がこの世界に残っていればの話だがね」

 ミハエルは冗談めかして右手を差し出した。カーラは鼻を鳴らし、不敵な笑みを浮かべてその手を取る。

「ローストビーフ、二皿分よ。それと、食後の甘いものも忘れないで。この不味い空気を吸わされた分、高くつくわよ、ミハエル」

 彼女の漆黒の翼が力強く羽ばたき、周囲の胞子を吹き飛ばした。二人の影が、薄暗い腐海の縁に長く伸びる。

 その時、風の向きが変わった。

 森の深部から、それまでとは比較にならないほどの巨大な咆哮が響き渡った。大地が震え、ムシゴヤシの枝から一斉に白い胞子が舞い上がる。それは雪などではなく、この世界が吐き出した、最後の、そして最も激しい拒絶の証であった。

 ミハエルは目を細め、その咆哮が放たれた方向を見据えた。そこには、ただの虫ではない、世界の意志を体現したかのような、巨大な青い光の群れが、地平線を埋め尽くすようにして迫っていた。

「……どうやら、挨拶回りの相手は向こうから来てくれたようだ」

 ミハエルの言葉が、風の中に消えていく。

 彼の足元では、先ほど置いた防毒マスクが、王蟲の接近による振動でカタカタと音を立てて震えていた。

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