異常生存者

彼は東京に生きる、ごく普通のサラリーマンだった。満員電車と退屈な書類に不平を言う、ありふれた毎日。 故郷の火山が全てを飲み込むまでは。家族も、過去も、全てを失い、彼は死の海を漂流する。 流れ着いたのは、地図にない絶海の孤島。生きる希望を見出したはずのその場所は、無数の毒蛇がとぐろを巻く煉獄だった。 先人たちの遺物、墜落したドローン、異常な蛇の群れ。全ての手がかりが指し示すのは、島の中心に存在する禁忌の地――緑色の光を放ち、あらゆる生命を引き寄せる『熱泉』。 最後の力を振り絞り、死の淵で狂気の狼煙（のろし）を上げた彼を待っていたのは、救助隊ではなかった。影の世界から現れた、謎の『組織』。 火山、孤島、放射性『アンカー』…彼の生存は偶然ではなかった。地球の『地脈』を巡る巨大な陰謀に巻き込まれた、必然の結末。 『選ばれてしまった』彼は、次に消される犠牲者となるのか、それとも…真実を解き明かす、唯一の鍵となるのか？