개요
ミハエル一行は、地底にある蝶の図書館を訪れた。
この世は胡蝶の夢に過ぎないというのだろうか?
それに本を通じて近づいてゆく。
장1
地下の空気は冷たく、かび臭い匂いが鼻を刺す。遺跡都市デュポンの地下通路は、無数の年月を経た石壁が薄暗い光の中で微かに輝いていた。一行の足音だけが、静寂の中に反響する。
空夢風音は慎重に前方を見据え、脇差を握る手に少し力が入る。セーラー服の上に羽織った千早が、地下の微風にふわりと揺れた。
「ずいぶんと深いところまで来たね」
アリウス=シュレーゲルが銀髪を揺らしながら呟く。彼の背中からは真っ白な翼がほのかに輝き、周囲をほのかに照らしていた。
「ヴァーレンス王国が管理する遺跡とはいえ、ここまで来る者はめったにいないだろう」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒが軽く笑う。
「面白いものが見つかる予感がするよ。遺跡の果てに隠された図書館だなんて、ロマンチックじゃないか」
フィオラ=アマオカミは大きなあくびをして、黒竜のしっぽをだらりと振りながら言った。「本ばかりの場所か……まあ、たまには静かなところもいいわね。でも、何か面白い骨董品でもないかしら」
サリサ=アドレット=ティーガーは白虎の耳をピンと立て、金色と赤の異色瞳をキラキラさせていた。
「わくわくするね! どんな物語が眠っているんだろう。乙女の恋物語とか、ロマンチックな冒険話とか……」
エウメネスは無表情ながらも、目に僅かな興味の色を浮かべている。
「書き終えられなかった物語、か。歴史のifを記録する場所というのは……興味深い」
ユイリーナ=シエル=ブレイユとエルファーネ=ストラード=ブレイユの姉妹は、それぞれ白い翼を微妙に震わせながら、用心深く周囲を見渡していた。十二支神獣族の感覚が、この場所の非凡な気配を告げているようだ。
通路はさらに深く続き、やがて巨大な石造りのアーチが現れた。その向こうには、信じられないほどの広さの空間が広がっている。天井は視界の届かぬ高さに消え、左右には果てしなく本棚が続いていた。
「これが……決して扉を閉じない図書館」
アリウスが感嘆の息を漏らす。
本棚は古代から現代まであらゆる様式のものが混在し、羊皮紙の巻物から革装幀の分厚い本まで、無数の物語が収められていた。空気中には古紙とインクの匂いが漂い、どこか懐かしくも悲しい香りがする。
どこからか微かな灯りが差し込み、無数の塵がきらめいていた。まるで時間そのものがここでは別の流れ方をしているかのようだ。
「ようこそ、物語の海原へ」
優しい声が響く。銀髪の少女が現れた。彼女は簡素な図書委員の服を着て、銀色の瞳は深遠な知性を湛えている。手には銀のトレイに乗ったティーセットがある。
「お茶でもいかがですか? 少し休まれてもいいでしょう」
ミハエルが警戒しながらも興味深そうに少女を見る。
「君がこの図書館の管理者か?」
少女は静かに微笑む。
「管理などという大層なものではありません。ただ、訪れる方々のお世話をさせていただいているだけです」
彼女は優雅に動作し、各々に温かい紅茶を提供する。茶器は古びているが、手入れが行き届いている。
サリサが興奮して耳を震わせながら尋ねる。
「ここにはどんなお話があるの? ロマンチックな恋物語は?」
「ええ、ありますよ」
銀髪の少女は優しく答える。
「叶わなかった恋、伝えられなかった想い、結ばれなかった縁……そんな物語が無数に眠っています」
フィオラはしっぽをゆっくり動かしながら、本棚を見渡す。
「で、ここに何の用で来たの? まさか読書会じゃないでしょ」
アリウスが真剣な表情で応じる。
「伝説の図書館だ。ヴァーレンスの歴史書にもほとんど記録されていない。ここに何か重要な情報が眠っているかもしれない」
エウメネスが一冊の分厚い本に手を伸ばす。それは古代マケドニアの文字で書かれた本だ。
「ディアドコイ戦争の……別の結末?」
彼の声には驚きが滲んでいた。
ユイリーナが優雅に紅茶を一口すすりながら言う。
「空のように果てしない知識の海ね。でも、なぜここが"決して扉を閉じない"のかしら?」
銀髪の少女は微笑んだまま答える。
「どんな物語にも、語り終えるときが来ます。でもここでは、すべての物語に終わりが来ることを拒否しているのです。未完のまま、可能性のまま、永遠にここに留まることが許されています」
空夢風音はため息をつく。
「ちょっと切ない場所ね……。でも、なぜ私たちをここに導いたの?」
「それはあなた方それぞれが、ここに残すべき物語を持っているからかもしれません」
少女の銀色の瞳が微かに輝く。
「あるいは、ここに眠るある物語を探しているから」
ミハエルは腕を組み、思考に耽る様子だ。
「わたしたちの世界の……ifの物語か。もしあの時、別の選択をしていたらという話か」
突然、遠くの本棚から微かな光が輝いた。それは呼びかけるように、ゆらめいている。
「どうやら、あなた方を待っている物語があるようです」
銀髪の少女が優しく囁く。
「今日は、どんな物語を紐解きますか? それとも……あなたの物語を、ここに残していきますか?」
アリウスの赤い瞳が深く輝き、彼は無意識に胸元に手を当てた。何かが彼の心を揺さぶっているようだった。
果てしない本棚の海で、銀髪の少女の問いかけが静かに反響する。それぞれの胸中に去来する、語られざる物語の数々——。
空夢風音は千早の袖をそっと握りしめ、ミハエルを見つめた。彼女の胸の中には、まだ誰にも語ったことのない想いが渦巻いていた。この場所が、それを永久に閉じ込めるにはあまりにも美しかった。
최신 회
天井の所在すら曖昧になるほどの巨大な空間に、青白い魔力の光源が静かに瞬いている。ヴァーレンス王国の遺跡都市デュポンの地下深く、決して扉を閉じない図書館。古紙と乾いたインク、そして気の遠くなる
天井の所在すら曖昧になるほどの巨大な空間に、青白い魔力の光源が静かに瞬いている。ヴァーレンス王国の遺跡都市デュポンの地下深く、決して扉を閉じない図書館。古紙と乾いたインクの匂いが沈殿するその静
ヴァーレンス王国の辺境に位置する遺跡都市デュポン。その地下深くには、王国の歴史よりも古くから存在するとされる「決して扉を閉じない図書館」が広がっていた。
天井の所在すら曖昧になるほどの
ミハエルの唇から紡がれた言葉は、聖槍アレスが残した神代の狂気とはまた異なる、冷徹で知的な衝撃となって図書館の静寂を切り裂いた。アレスの槍が剥き出しの暴力と情念の化身であるならば、ミハエルの語
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