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うらしゅま

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Cập nhật lần cuối: 2026-03-25 03:40:56
By: 大根DJ
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竹取の翁が竹林で不思議な少女と出会います


Chương1

そろそろ日が落ちきる。竹林を渡る風は薄刃のように鋭く、竹内茂雄の厚い作業着の襟元から入り込んでは、老いた肌の温もりを容赦なく削いでいった。初冬の空は鉛を溶かしたように低く垂れこめ、光を失った竹林は深閑とした墨絵の世界へと変貌しつつあった。茂雄は切り出したばかりの真竹の束を肩に担ぎ、節くれだった指で汗を拭う。これが最後のひと仕事だ。明日からの竹細工に使う、青く、硬く、生命力に満ちた竹。それを抱えて家路につけば、妻の千代が点した温かい灯りと、湯気の立つ夕餉が待っている。

その、いつもと変わらぬはずの日常へ帰る一歩を踏み出した時だった。

茂雄の耳が、竹の葉が擦れ合う音とは異質な、微かな衣擦れの音を拾った。獣か。いや、違う。もっと、かそけき何か。茂雄は足を止め、息を殺して気配を探る。視線を巡らせると、密集した竹の根元、枯葉が積もった薄闇の中に、ちんまりと丸まった「何か」があった。

近づくにつれて、それがぼろ布の塊ではないと分かった。布の下から、黒く艶のある髪がのぞいている。人間だ。それも、小さな、おそらくは子供。


「おい、どうした」

茂雄が声をかける。返事はない。ただ、布の塊がびくりと震えた。茂雄は担いでいた竹の束をそっと地面に下ろし、ゆっくりと膝を折った。枯葉が乾いた音を立てる。

布がわずかにめくれ、中から一対の瞳がのぞいた。暗闇の中でも分かるほど大きく、そして底知れない恐怖に濡れた瞳。それは茂雄という存在を、人間としてではなく、ただ得体の知れない脅威として捉えているようだった。肌は雪のように白く、顔立ちはこのあたりの田舎では決して見ることのない、彫りの深い異国のものだった。唇は青くひび割れ、明らかに長い時間、何も口にしていないことを示している。年は十六、七といったところか。


「大丈夫か。けがでもしたのか」

茂雄はできるだけ穏やかな声で問いかけるが、少女は答えない。言葉が通じていないのか、それとも恐怖で声が出ないのか。ただ、大きく見開かれた瞳が、怯えた小動物のように茂雄を射抜くだけだった。その視線は、助けを求めるものではなく、ただただ、こちらが次に何をするのかを見定めるための、絶望的な警戒心に満ちていた。


茂雄はため息を一つつくと、少女を背負う覚悟を決めた。このままでは凍え死んでしまう。抵抗されるかと思ったが、少女にはもうその力さえ残っていないようだった。古びた布ごしに伝わる体は、鳥の雛のように恐ろしく軽かった。


「お前さん、それは…」

家の土間に足を踏み入れた茂雄の背中を見て、台所から顔を出した妻の千代が言葉を失った。


「竹林でな。倒れておった」

茂雄は少女をゆっくりと居間の畳の上に下ろす。千代は駆け寄ると、少女の顔を覗き込み、はっと息をのんだ。「まあ、可哀想に。ひどい恰好じゃないか」。その声には、驚きよりも先に、母性的な憐憫が滲んでいた。

それからの千代の動きは早かった。すぐに湯を沸かし、汚れた体を拭くための手ぬぐいを用意する。茂雄は押し入れから古い布団を引っ張り出した。少女はされるがままになっていたが、その瞳だけは、警戒を解かずに部屋の隅々、そして茂雄と千代の顔を交互に観察していた。

子供に恵まれなかった。それが、茂雄と千代が長年抱えてきた、言葉にしない空白だった。かつて、千代の胎内で育つはずだった小さな命は、産声を上げることなく天に還った。それ以来、この家で子供の笑い声が響くことはなかった。だからだろうか。この名も知らぬ異国の少女の出現に、二人は言葉にできない運命の采配のようなものを感じていた。

千代は温かい粥を匙にすくい、少女の口元へそっと運ぶ。「さあ、おあがり。少しでいいから」。少女は一瞬ためらったが、やがておずおずと口を開き、こくりとそれを飲み込んだ。一度口にすると、堰を切ったように、夢中で粥を求めた。その姿に、千代の目元が緩む。ただ生きようとするその必死さが、愛おしくてならなかった。

茂雄は黙ってその光景を眺めていた。竹細工一筋で生きてきた不器用な男だ。どう接していいか分からない。だが、冷え切っていたはずの少女の頬に、粥の湯気のせいか、ほんのりと赤みが差していくのを見ていると、胸の奥底に、忘れかけていた温かいものがじんわりと広がっていくのを感じた。


二日後、少女は少しだけ元気を取り戻した。千代が用意した古着の浴衣に着替え、布団の上にきちんと正座している姿は、まるで精巧な人形のようだった。言葉はまだ一言も発しないが、時折、千代の顔を見て、こくりと頷くくらいの反応は示すようになった。


「千代、そろそろ警察に届け出た方がいいだろう」

居間の隅にある黒電話に手を伸ばしながら、茂雄が言った。それが筋だ。保護責任者遺棄なんてことになったら面倒だ。何より、この子の家族が心配しているに違いない。常識的に考えれば、それが最も正しい選択だった。

受話器に手をかけた、その瞬間。

「──────っ!!」

声にならない絶叫が、静かな家を切り裂いた。

見ると、それまで人形のように座っていた少女が、顔を蒼白にして布団から転がり落ち、四つん這いになって後ずさっている。その目は、電話機を、いや、電話機に手をかける茂雄を、まるでこの世の終わりのような恐怖で見つめていた。その震えは演技ではない。魂の根源から湧き上がる、純粋で絶対的な恐怖だった。

「やめろ! やめろ!」とでも叫ぶかのように、少女は片言にもならない音を喉から絞り出し、首を狂ったように横に振る。そして、激しく抵抗するように手足をばたつかせたかと思うと、白目をむいてがくんと体の力を失った。


「おい、しっかりしろ!」

茂雄が慌てて駆け寄る。千代も悲鳴を上げて少女の体を抱きしめた。「どうしたの、どうしたのこの子…」。その腕の中で、少女は再び熱を出し、浅い呼吸を繰り返している。

茂雄は呆然と立ち尽くす。さっきまでの穏やかな空気はどこにもない。ただ、電話機という文明の利器が、まるで怪物のように黒々とした存在感を放っていた。

あの反応。あれは、ただの人見知りや警戒心ではない。公的な権力、組織、制度そのものに向けられた、骨髄からの恐怖だ。この少女が、どれほど過酷な状況から逃れてきたのか。茂雄と千代は、その計り知れない闇の一端を垣間見て、言葉を失った。


その夜、茂雄と千代は囲炉裏を挟んで向かい合っていた。ぱち、ぱち、と炭の爆ぜる音だけが、重い沈黙を破る。奥の部屋からは、荒いながらも少し落ち着きを取り戻した少女の寝息が聞こえていた。


「お前さん…どうするんだい」

千代が絞り出すように言った。その声には、警察に突き出すことへの明確な拒絶が滲んでいる。

茂雄は黙って火を見つめていた。正しいこととは何か。法に従い、少女を役所に引き渡すことか。それとも、あの怯えた瞳を信じ、法を破ってでもこの家にかくまうことか。子供のいなかった自分たちのもとに、まるで天からの啓示のように現れたこの子。

「昔、ばあさんから聞いたことがある」茂雄がぽつりと言った。「竹の中から、それはそれは美しい女の子が見つかったっていう、昔話だ」

千代が顔を上げる。

「かぐや姫…」

「ああ。俺たちには過ぎた話かもしれんが…」茂雄はそこで言葉を切ると、意を決したように顔を上げた。「この子のことは、俺たちで預かろう。警察には届けない。俺たちの…孫ができたことにするんだ」

千代の目から、大粒の涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。彼女は何も言わず、何度も何度も、強く頷いた。冷え切っていたこの家に、思いがけず舞い込んだ小さな光。それを手放すことなど、もう二人にはできなかった。


「名前をつけないとな」茂雄が照れくさそうに言った。「輝く夜、と書いて、『輝夜(かぐや)』。どうだろうか」

「ええ…ええ…」千代は涙声で笑った。「いい名前です。とても、いい名前…」

老夫婦が、ささやかな共謀の喜びに震えているその時。

奥の部屋で寝息を立てていたはずの少女──輝夜と名付けられた存在のまぶたが、かすかに開いた。

薄闇の中、その瞳は冷徹な光を宿していた。聞こえてきた会話のすべてを、彼女は理解していた。老夫婦の孤独、子供への渇望、そして、自分に向けられる無垢な慈愛。そのすべてが、彼女の計算通りだった。


(使える)


輝夜は内心で、安堵の息を漏らした。ここは安全だ。この老人たちは、自分の孤独を埋めるためなら、喜んで法を犯し、嘘をつき、自分を匿ってくれるだろう。彼らの純粋な善意は、生き延びるための最も強固な盾になる。利用できる。この上なく、都合がいい。

か細い寝息を再び演じながら、輝夜はゆっくりと目を閉じた。唇の端に、誰にも気づかれることのない、氷のように冷たい笑みが浮かんでいた。この日本の片田舎で、新たな人生が始まる。いや、新たな「仮面」での生活が始まるのだ。


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