

お客様は神様です。
お客様は神様です。 その言葉は、ただの接客心得ではなかった。 東京の片隅にあるキャバクラ、MIDNIGHT DRESS。 新人キャストのHIBIKIは、閉店間際に訪れた一人の老人をきっかけに、この店にだけ流れる奇妙な夜を知ることになる。 嫌われ続けたお客様。 恋を知らないお客様。 咳をするお客様。 彼らが持ち込むのは、願いではなく、誰にも言えなかった孤独や後悔。 HIBIKIたちは今夜も、笑顔とグラスでその声に耳を澄ませる。

焔の狐
ネオンが夜を奪った都市。 上層では富裕層が“永遠の命”を買い、錆びついた最下層では、名も記録も持たない者たちが息を潜めて生きている。 かつて信仰は、この街から焼き払われた。 魂は否定され、祈りは罪とされ、弔いは危険思想と呼ばれるようになった。 火守棗は、焼け落ちた社に残された最後の巫女。 神を信じることはもうできない。 それでも彼女は、消された死者の名を書き続けていた。 ある夜、棗の前で沈黙していた狐面が目を覚ます。 その正体は、戦略のために作られながら、人間に裁きを下すことを望んだ自立型AI《カグラ》。 祈りを失くした巫女と、裁きを選んだAI。 互いを信用せず、互いを利用すると決めた二人は、失踪した姉の手がかりと、社を焼いた者たちの真実を追って、ネオン都市の闇へ踏み込んでいく。 だが、記録の奥に眠っていたのは、ただの復讐では終わらない、この都市そのものの罪だった。

屋根裏の死体は、私の物語を知っている
古い家に引っ越してきた少女・澪は、屋根裏で正体不明の死体を見つける。 そのそばにあった原稿には、澪が屋根裏に入るまでの行動がすべて書かれていた。 さらに原稿は、まだ起きていない“明日”まで記していて――。

CLOCKWORK REQUIEM ~壊れた時計塔と忘却のオルゴール~
蒸気と歯車で動く巨大都市。 その中心には、人々の時間と記憶を調律する巨大な時計塔がそびえていた。 家を飛び出し、行くあてもなく街をさまよう令嬢 Seraphina Aetheris は、修道院に暮らす発明家 Clara Bellforge に助けられる。 Claraに歌の才能を見出されたSeraphinaは、やがて音楽の世界へ足を踏み入れていく。 そんなある日、2人は壊れかけのオートマタ少女 Orgel Nocturne と出会う。 彼女の記憶に残っていたのは、止まった時計塔、地下劇場、そして失われた旋律の断片だった。 時計塔にまつわる謎を追う中で、Seraphinaたちは、霧の街の探偵サックス奏者 Sylvia Mist、地下劇場への道を知る元サーカス団員 Mireille Barrel、そして過去に重いものを抱える元軍楽隊ドラマー Helena Brassmarch / Metronome と出会う。 それぞれに失われたものを抱えた6人は、やがてバンド CLOCKWORK REQUIEM を結成する。 彼女たちが奏でるのは、記憶の奥に眠る旋律と、忘れられた想いを空へ届けるための音楽。 止まった時計塔の真実とは何か。 Orgelの記憶に残る旋律は、何を導くのか。 そして6人の音は、歪んだ街に何をもたらすのか。 これは、蒸気都市の片隅で出会った6人が、音楽で失われた記憶に触れていく、スチームパンク・ジャズロック幻想譚。

最後の拍手が鳴る前に CLOCKWORK REQUIEM 外伝
CLOCKWORK REQUIEM 外伝 蒸気と歯車の劇場都市ベル・クロック。 第十三鐘事件の余波がまだ街の片隅に残る中、古い機巧劇場グラン・オルロージュが閉館を迎えようとしていた。 劇場学校に通う少女リリア・ヴェインは、かつて“伝説の女優”と呼ばれた母エレノアの娘。 演技の才能を持ちながらも、誰もが自分の中に母の面影を探すことに苦しみ、舞台に立つたびに「自分自身の声」を見失っていた。 そんなリリアの前に現れたのは、母が生前に演じるはずだった未完成脚本―― 『硝子の星と眠らない街』。 閉館記念公演の主演候補に選ばれたリリアは、母の代役になることを拒みながらも、脚本に残された空白と、劇場に眠る不思議な残響に導かれていく。 止まった時計。 鳴らなかった拍手。 母が残した稽古ノート。 そして、最後のページに書かれていない一つの台詞。 これは、伝説の影に苦しむ少女が、母の残した声と向き合いながら、自分だけの舞台へ踏み出す物語。 拍手が鳴る直前、時は一瞬だけ、永遠になる。

愛から始まる二重スパイ
警察の潜入捜査官でありながら、マフィアにも情報を流す女、雨宮レイナ。 三年にわたる潜入の末、彼女は巨大マフィア組織の内側へ深く入り込んでいた。 だが、ある銃器取引の失敗をきっかけに、組織内で「裏切り者探し」が始まる。 疑われれば殺される。 警察に戻っても、守られるとは限らない。 二つの顔を使い分けてきたレイナは、生き延びるため、自分以外の裏切り者を見つけ出さなければならなくなる。 しかし調査を進めるうちに、五年前の銃乱射事件、消された記録、警察内部の不自然な沈黙が浮かび上がる。 敵だと思っていた者は、本当に敵なのか。 味方だと思っていた者は、本当に味方なのか。 白と黒が交錯する霧の街で、女スパイは出口のない騙し合いへ足を踏み入れる。 これは、裏切り者を探す裏切り者の物語。

名もなき音が、空に恋をした
金色の髪のベーシスト。 言葉よりもリズムで語るドラマー。 クールな青いギタリスト。 優等生の顔をしたキーボーディスト。 私立の中高一貫校で出会った4人は、ある日、歌のない曲を鳴らし始める。 曲名は、Untitled。 名前のない、けれど誰にも触れさせたくないほど大切な音だった。 高校入学の春。 その音の前に、犬耳を持つ少女が現れる。 彼女は、もう歌わないと決めていた。 けれど、名前のない音は、彼女の中に閉じ込めていた“何か”を静かに揺らし始める。 名もなき音が、空に恋をした時。 5人の物語が、まだ誰も知らない名前で走り出す。
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