개요
魔王城を修復せよ!の続編。新たな冒険者達の襲来に頭を悩ます魔王ケーン。そんな魔王の前に現れる女神ラック。女神がもたらす力は果たして魔王ケーンに何をもたらすのか!?
장1
「ぜぇ…ぜぇ…」
漆黒の湖の上空から新型の浮遊魔法を駆使して襲来した冒険者たちを、ケーンは文字通り泥臭く撃退した。彼の足元には、修繕が完了したばかりの輝くような城壁の破片がいくつか転がっている。なんとかブラックレイクキャッスルを防衛することには成功したが、ケーンの心は全く晴れなかった。ボート事業という、敵の戦力をコントロールしつつ安定した収益を上げるという完璧なビジネスモデルが、技術革新という抗いがたい力によって根底から覆されようとしているのだ。
荒い息を整えながら玉座の間へ戻ると、そこにはすでに先回りしていたシュリが、いつもの冷徹な表情で待ち構えていた。
「魔王様、良い報告と悪い報告がございます。どちらからお聞きになりますか?」
ケーンは腐りかけだった木材が真新しい樫の木に取り替えられた玉座に、体重のすべてを預けるようにどさりと腰を下ろした。
「これ以上悪いことがあってたまるか。悪い方からで頼む」
もはや自暴自棄である。シュリは銀縁の眼鏡を人差し指でクイッと押し上げ、一切の同情を滲ませないフラットな声で報告を始めた。
「今回、冒険者が使用した新型の浮遊魔法ですが、どうやらあれはまだ試作品のようです。情報筋によりますと、あと一週間から10日前後で完全に完成するとのこと。そうなれば、現在の数十人規模ではなく、数百人規模の大群が、魔力を温存したままこの城に押し寄せてくることになります」
「……」
ケーンは言葉もなく天を仰ぎ、ガックリと首をうなだれた。終わった。完全に終わったのだ。せっかく手に入れた金のなる木も、ピカピカに生まれ変わった愛しの我が城も、技術の進歩という名の津波に飲み込まれてすべてが無に帰す。あの冒険者共め、魔王討伐そっちのけで技術開発に勤しみおって。本末転倒ではないか。
「魔王様、元気出してください!これ、フーマ特製・元気モリモリドリンクです!」
空気を全く読まないカエル男が、試験管に入った虹色に輝く怪しげな液体を差し出してきた。ケーンはもはや何も考える気力もなく、それを一気に呷る。すると、胃の底から不思議な活力が漲ってくるのを感じた。
(こいつ、毒薬はまったく作れんが、栄養ドリンクの調合だけは本当に天才的だな……)
ケーンは少しだけ持ち直した気力で、シュリに次の報告を促した。
「……で、良い報告とやらは何だ」
「はい。今回の戦闘で、撤退した冒険者がいくつかの戦利品を落としていきました。御覧になられますか?」
シュリが手招きすると、下級魔物たちが布の上に数点のアイテムを並べた。使い古されたポーションの空き瓶、刃こぼれした短剣、なぜか片方しかない手袋。ろくな物はない。やはり、こちらへの嫌がらせなのだろうか。そう思って諦めかけたケーンの目に、その中でひときわ異彩を放つ黄金の輝きが飛び込んできた。それは、精巧な細工が施された金色の腕輪だった。
「これは…」
ケーンがそれを手に取ると、横からシュリが覗き込み、冷静に解説を加えた。
「『幸福の腕輪』ですね。噂によれば、所有者台帳に選ばれし者として登録された者にのみ、絶大な幸運が宿ると言われています」
選ばれし者。なんとも胡散臭い、詐欺師が好みそうなワードである。だが、今のケーンたちに、藁にでも、いや、胡散臭い腕輪にでもすがりたいほどの余裕がないのもまた事実だった。ケーンは一縷の望みを託し、その黄金の腕輪を自らの手首に嵌めてみた。
………
……
…
「……何も起きないな」
「そうですね」
シュリが淡々と相槌を打った、その時だった。腕輪が突如としてまばゆい黄金の光を放ち始めた。
「うおっ…!こ、これはっ!!」
ケーンの腕から放たれた光は、瞬く間に玉座の間全体を包み込む。あまりの眩しさに誰もが目を固く閉じた。やがて光が収束していくと、その中心には、一人の女性が宙にふわりと浮いていた。
流れるような金色の長髪に、背中からは純白の翼が生えている。慈愛に満ちた聖母のような微笑みを浮かべた絶世の美女。しかし、その身に纏っているのは、体のラインがくっきりと浮かび上がる、極めてタイトな漆黒のワンピースだった。聖と俗が混在したアンバランスな姿は、見る者を妙に惑わせる。
「我が名は幸福の女神ラック。貴方に、幸運にも1億ゴールド分の金貨を授けましょう♪」
突然の出来事に、ケーンもフーマも、そしてシュリでさえも、ただ呆然と口を開けてその光景を見つめていた。その静寂を破ったのは、シュリの冷静すぎる分析だった。
「魔王様、これは先日セミナーの講師が警鐘を鳴らしていた『祝福給付型』と呼ばれる特殊詐欺の手口かもしれません。何の見返りもなく金貨1億ゴールドを渡すなど、論理的に考えてあり得ません。怪しすぎます」
シュリの言葉に、ケーンはハッと我に返った。そうだ。髑髏ペンダントにしろ、ボート事業にしろ、ここまで事業を軌道に乗せるのにどれほどの苦労があったか。金貨一枚を稼ぐことの重みを、ケーンは誰よりも知っている。
「ほとんど原価ゼロのボッタクリ商売でしたけどねっ!」
背後から聞こえたフーマの的確すぎるツッコミに、ケーンは振り向きもせずに特大の魔力弾を放ち、カエルを黙らせた。そして、再び目の前の女神へと向き直る。
「ラックと言ったな!あまりにも話がうますぎるぞ!金貨というものが、そんな湯水のように湧いて出てくるものではないことくらい、この俺が一番よく知っている!」
ケーンの剣幕に、ラックと呼ばれた女神は「あらやだ、変なのが腕輪を拾っちゃった」とでも言いたげな、心底呆れた顔をした。
「仕方ありませんね♪ では、信じられないという貴方のために、少しだけお見せしましょう!」
ラックが優雅に指を鳴らすと、ケーンの目の前の玉座の上に、チャリン、と軽い音を立てて一枚の金貨が降ってきた。
「ん?なんだ、たかが金貨一枚ではないか。俺を馬鹿にして……」
ケーンが鼻で笑った瞬間、視界の隅でフーマが「魔王様!!上!上です!!」と絶叫しているのが聞こえた。
ケーンが何事かと頭上を見上げる。
そして、絶句した。
玉座の間の天井が、完全に金貨で埋め尽くされていたのだ。いや、違う。天井そのものが消失し、無限とも思える黄金の奔流が、滝のようにこちらへ向かって降り注いできていた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ケーンの悲鳴は、凄まじい金属の雪崩によって一瞬でかき消された。ブラックレイクキャッスルの部屋という部屋が、廊下が、階段が、瞬く間に金貨で埋め尽くされていく。修繕されたばかりの窓ガラスが内側からの圧力で粉々に砕け散り、城の外壁の隙間から大量の金貨が滝のように湖へと流れ落ちていった。
「ぷはぁっ!!」
しばらくして、こんもりと盛り上がった金貨の山から、ケーン、シュリ、フーマの三人が時間差で顔を出した。まるで金色の砂風呂に浸かっているかのようだ。ケーンが口から数枚の金貨をペッと吐き出すと、頭上からは変わらぬ慈愛の笑みを浮かべたラックが見下ろしていた。
「さて、この金貨、まずは一週間で使い切ってくださいまし♪ もしそれができたら、今度はボーナスとして30億ゴールドと、このお城があと100城は軽く建設できる、一等地の素敵な土地をプレゼントしますよ♪ さあ、この機会をお見逃しなく!」
ケーンの目には、目の前の女神が、どう見ても怪しい金融商品を強引に売りつけてくる悪徳セールスレディの姿にしか映っていなかった。
최신 회
「じゃあ、30億ゴールド出しますね~♪」
敗北の宣言を終えた悪辣な詐欺師――いや、女神ラックは、純白の翼を優雅に羽ばたかせ、まるでスーパーで特売品の卵でも買う
冒険者達の協力(?)とも呼べる、前代未聞の金のばら撒き作戦が功を奏し、残り1日という期限を目前にして、玉座の間を埋め尽くしていた1億ゴールドの金貨の山は、もはや可愛らしい小山程度の大きさにまで縮
「待てよ……」
満腹で地面に転がる部下たちと、まだ山のように残っている食材の木箱を交互に見つめながら、ケーンの脳内で一つの冷静な思考が芽生
あまりにも、きな臭すぎる。1億ゴールド分の金貨をたった1週間以内に使い切れば、ボーナスとしてさらに30億ゴールド分の金貨と、魔王城が100城は建都心の一等地が貰える。そんな美味い話が、この過酷な
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